063_奇襲
スラム街の襲撃で元々予定していた作戦は決行出来なくなった。
そしてレイラ達は騎士に捕らえられて連行されてしまった。
レイラ達は捕らえたという事は、殺すにはまだ猶予があるという事だ。
そう何度も目の前で人が襲われているのを我慢できるはずもなく、スラムの騎士達を倒しておいた。
まだスラムには火の手があったが、襲撃する騎士がいなければ逃げる事も火を消す事も出来るだろうと火は放置するしかなかった。
「どっちみっち、今日で帝国とはおさらばだ!」
俺は頭を捻る事もなく正面突破で騎士舎を襲撃する事にした。
「誰だ、貴様!?」
「暗殺ギルドの残りか!?」
「生きて帰れると思うな!」
俺は取り囲んだ騎士達は、警戒して前へ出てこなかったが一人が飛び出すと次々と俺へと攻めてくる。
「はっ!」
スラムで戦った時にも思ったが、彼ら騎士団の練度は低く冒険者と暗殺者の二足の草鞋を履いていた俺に敵うはずはなかった。
次々にやってくる攻撃を躱して騎士達を倒していく。
「遅い、そこだ!」
騎士の剣を躱し、蹴り飛ばし、また躱し、今度は剣で斬りつける。
横や背後から攻撃されたらダガーで防ぎ、また同じように蹴るか斬るかで次々と騎士達を相手にしていく。
「化け物か、こいつは」
「これが暗殺ギルドの力なのか!」
「早い、捉えられん!」
騎士たちはやられていく仲間を見て、そんな言葉を口にする。
弱い・・・弱すぎる。
というかさっきの力だけ強い騎士はいないのか?
帝国に来てから、無茶とも思えるような暗殺ばかりをしてきた。
そのおかげで対人スキルがかなり上がっていた。
それとギーに剣術を学んだのが大きいだろう。
帝国式剣術。
俺はギーにそれを習った。
だからこそ騎士達の動きが分かってしまう。
「はぁ、スラムにいた騎士達の方が強いじゃないか」
思った事が口に出てしまった。
「なっ、貴様。親衛隊を倒したのか?」
「あ?そりゃそうさ、スラムであんなに暴れて街の人を襲ってたんだ。全員倒しておいた!」
「あのバケモノ達を・・・!」
騎士が動揺する。
「喰らえっ!」
「ぐあっ」
油断していたから、一発いれて卒倒させる。
「早い!くそっ!」
横から騎士が斬りかかる。
斬ったつもりがそこには俺がいなかった。
「俺の幻だ!」
ファントムアタック。
幻を斬らせ、今度は俺が横から剣の柄でダメージを与える。
「がはっ、くそ」
「レイラはどこにいる?」
「レイラ・・・親衛隊が連れてきた奴らか。中にいるんじゃないか」
「ありがとう!」
俺は礼を言うと膝を着いている騎士を気絶させる。
騎士舎に入るまでおよそ50m。
敵はまだまだいる。
俺は歩みを徐々に早くする。
車のギアを上げていくように、スピードをあげ高く飛び上がる。
そして騎士の集団に飛び込むように降下する。
着地する前に剣とダガーをしまい、両手に武器屋で買ったシルバーランスを2本出す。
着地の勢いで回転をつけ、なぎ払う。
「槍を両手に!?」
「何だ、それは」
騎士は驚きの声を上げながら、次々と倒されていく。
槍は遠心力を使いなぎ払うように、敵を倒す。
「はぁっ!」
俺の攻撃が止まった隙を着き、残っている騎士達は一斉に斬りかかる。
アイテム袋から鉄の大盾を左右に一つ出す。
斬りかかる瞬間を見計らい、魔力で剣撃を弾き返す。
「なっ、我らの攻撃を防いだ!?」
大盾に攻撃を弾かれた騎士達は勢いで後ろへ少し下がる。
大盾に身を隠すように伏せ、槍をしまい、また剣とダガーに持ち帰る。
そして騎士達の左右に回りこみ、斬り伏せる。
騎士舎の入り口を塞いでいた騎士達は退けた。
騎士舎に入ろうとすると人の気配を感じ後ろへ距離を取る。
「なんだ、お前ら見張りも出来ないのか?」
「賊はお前一人か?」
新たに来た騎士達を見る。
目がスラムであった騎士達と同じような目をしていた。
「スラムの騎士と同じ目か・・・親衛隊だな。お前らも力が強化されてるのか?」
「ああ、そうだ。俺らは騎士の中でもさらに選ばれた存在だ」
「選ばれたか、、、いいから早く来い!問答は不要だ!!」
「くそっ、親衛隊を舐めやがって!」
そう言うなり、親衛隊の騎士たちは斬りかかってくる。
あの力じゃ剣を受け止めるのは難しいな。
躱すしかない。
スラムにいた親衛隊は一人ずつ倒したから問題なく戦えたが、まとめて来られると危険を感じる。
腕から血がでる。
躱したつもりが裾にかすったようだ。
あの力だと、場所によってはかすっただけでも、ダメージがでかいな・・・
騎士達の攻撃を躱し、一人に的を絞る。
魔銀の剣に魔力を込め、打ち払う。
「ぐあぁっ」
すぐに敵の攻撃が来る。
それを躱す。
「おいっ、魔導騎士!」
「はい」
聞き慣れない単語に警戒を強める。
すると何かが飛んでくる。
火の玉だ。
「くそっ、魔法か!」
魔法を見たのはキュウル以来だ。
次々と魔法が放たれる。
躱し続け、MP切れを狙いたいが、騎士達が俺が隙を生むのを狙っている。
何度か飛来する火の玉を避けながら観察する。
頭の中で理解が進んでいく。
やってみるしかっ!
俺は火の玉を手で受け止める。
ジリジリ
手のひら全体を針で刺されたような感触だ。
「くそぉーーー!」
痛みでどうにかなりそうなのに、頭では理解が進む。
ピロン
魔力操作 - 散
を習得しました。
俺は得たスキルを元に、火の玉を握りつぶす。
「バカな、魔法を握りつぶすだと!」
「関係ない、数で押せばやれるだろ!もっと放て!」
次に来た火の玉を手で弾くようにする。
一瞬熱さはあるが、俺の皮膚が燃える前に火の玉を消えてくれた。
「なるほど、こう使えばいいのか。武器を使いながらも魔法を消せそうだ」
火の玉を防ぐ術を覚えた俺は前へ進む。
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