061_帝国騎士団長アディーラ
憲兵が殺された。
ふとそんな話を城で聞いた。
犯人は暗殺ギルドじゃないかと。
城の兵士達がスラム街を捜索をしたらしいが、すぐに引き上げたみたいだ。
手がかりなしと。
「いつもの事だな」
思わず呟く。
貴族が殺される時も簡潔な調査で手がかりなしとされる。
「今回も目ざとい暗殺ギルドの仕業という訳か」
今は勇者が国に来ているという事もあり、城は警戒に当たらなければならない。
王国では魔王軍の突如の来襲で勇者が一人失われたとか。
だが、今警戒すべきは暗殺ギルドではないのか。
当時ガルシア様が即位された際に協力していた貴族は次々と殺されている、暗殺ギルドによって。
あろうことかガルシア様はそれを黙認しろと仰った。
何でもあの忌々しいラッセルの娘レイルーシアが気に入ってるからだ。
犯人が分かっており貴族とはいえ帝国の大事な国民が殺されているのだそれを放置するなど言語道断。
手の空いている騎士に命令を告げる。
「おい、誰かいるか!?」
「お呼びでしょうか、アディーラ様」
「暗殺ギルドの者を俺の前に連れて来い!抵抗するならば殺して構わない」
当時、ラッセルによって私の親類は次々と投獄されてしまった。
ラッセルはただ一言、わかってくれと言い、俺の大事な物を奪っていった。
俺はラッセルが憎くてしょうがなかった。
そんな時に出会ったのがまだ皇太子であったガルシア様だ。
ガルシア様はまさに力の象徴、帝国に相応しい人物だ。
俺にお前のその憎しみはまだ使う時ではない、相応しいタイミングを与えてやると言われた。
私の忠誠は騎士団の正義などではなく、力の象徴であるガルシア様へと捧げた。
だが俺は初めてその皇帝の命令に背く。
ガルシア様は俺に騎士団を与えてくれたが、それとは別に軍を設立しそっちに執心だ。
我ら騎士団のやる事と言えば、殺される貴族の処理だけだ。
調査や犯人探しをしてはならないと。
騎士たちに命令を告げた後で、俺はガルシア様の元へ向かう。
城に入り、階段をいくつか上り、まっすぐと玉座へ向かう。
何の用向きもないのにガルシア様の元へ向かうのだ、衛兵に止められるかと思ったがその姿は見当たらない。
だが好都合だ。
俺は玉座の間の扉を開ける。
玉座には兵士達が綺麗に整列をしている。
その先にガルシア様がいた。
血まみれになり、伏せている。
「ガルシア様!」
俺は急いでガルシア様の元に向かい、体を起こす。
俺が忠誠を誓った皇帝陛下は死を迎えようとしていた。
もう助からないだろう。
「・・・・・」
ガルシア様は掠れた声で俺に最後の言葉を伝えた。
必死にそれを伝えると逝ってしまわれた。
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