059_不穏
「その後、私がガルシアに加担した貴族を調べた。明らかな不正がある者を中心にレイラへ共有して、裁きを行っていた・・・」
「けして、許される行為じゃないのは分かっています・・・」
「悔しい事だが私達が初めて暗殺を行った後、私達は帝国から手配されると思ったがそうならなかった。おそらくガルシアが容認したのだろう」
俺は二人の話を聞いて、唖然としてしまった。
クーデターから始まり、レスカ家の没落、レイラの仕打ち。
こいつらにとっては暗殺という手段を取ってしまった事は、認めたくはないが納得してしまう。
しかし、前から気になっていたが帝国は暗殺ギルドを率先して処罰しようという雰囲気はなかった。
今まで暗殺を行っていた貴族は、暗殺ギルドの存在を警戒して傭兵や私兵・奴隷達で固めている者は多かった。
帝国が黙認する理由は何だ。
ガルシアはおもしろがっている。
だからレイラのする事を黙認したというのか。
俺は得た知識から帝国は、樹立したその時から大きな戦争はしていない。
勇者と魔王の戦いがあるからだろうと思っていたが、実際は腐敗しきったこの国・貴族では戦争をしかける余力がなかったのだろう。
だがガルシアは今、軍備に力を入れていると耳にした事がある。
「そうか・・・。お前らはガルシアに利用されているんだな」
「どういう事でしょうか!?」
レイラは俺の言葉に反応するが、ギーは動じていない。
ギーは分かっていたようだ。
「ギー、お前は分かっていたんじゃないのか?」
「・・・ああ、そうだ」
「どういう事なんですか、ギルバート!?」
レイラがギルバートに問い詰める。
「すみません、、、お嬢様。ガルシアは我ら暗殺ギルドを国力増強の為に利用していたと思われます」
「・・・っ!」
レイラは歯噛みをする。
「我らが今まで暗殺してきた貴族共は腐敗しきった者達。それらを殺すという事は国の為になるのです」
「それがどうして!?」
「つまり、、、ガルシアは腐敗をこの帝国から取り除きたいのですよ」
「そんな、あいつが・・・。あいつは貴族派をまとめあげた男なのよ!」
「だからです、、、ガルシアは自分が皇帝になる為に貴族を利用したのです。そして皇帝となった今、腐敗している貴族は不要なのですよ。自信は貴族派の後押しがあり、皇帝となった。だから率先して貴族派を罰するのは体が悪い。そこに我ら暗殺ギルドが登場した・・・」
「俺の考えだが、ガルシアは戦争をしかけるつもりなんだろう。その為に腐った貴族を始末して、国力を増強する」
「事実でしょう、、、お嬢様はあまり外に出られないから気づかなかったでしょうが。ガルシアは帝国内で徐々に人気があがっております」
「そ、、、そんな・・・・」
レイラはショックのあまり呆然としてしまう。
ギルバートは側により、レイラの背中を優しく擦る。
「なぁ、いつまで続けるんだ?レイラ。お前は自分がやってきた事が意味を為してないと分かっただろ?」
「でも・・・!私のこの想いはどうすればいいの!?憎しみが消せないのよ!」
憎しみ・・・。
俺はこいつを見て、思う。
このような目に合わされ、自分が生きていく糧は暗殺という手段しかなかった。
そして自分をレスカ家笑った民、そしてガルシアに暴行されかけた時。
人が恐くて、堪らないのだ。
その結果、このような姿になってしまった。
「お前は、、、今の自分を見てどう思う?俺はお前とでかけた時にまるで脅える動物のようだと比喩した。お前が暗殺を続ける限り、お前は元の自分に。レイルーシアに戻れないんじゃないか?」
レイラはボロボロと泣き始める。
声にならない声でギルバートにしがみつく。
「お嬢様、、、私も京の考えに賛同致します。もう、、、良いではないですか?」
「でも、、、でもっ!!」
「復讐を遂げるまでは、終われないのか?」
「憎いのよ!ガルシアが!そしてお父様を嵌めたアディーラが!」
取り乱し話を聞かないレイラ。
どうにか打開策が出来ればいいのだが、ここで話しても無駄だと判断する。
「ふぅ、今日はもう話しても意味ないだろう。俺は帰らせてもらう」
「あ、ああ。お嬢様は私が見ておく」
「そうしてくれ」
「京、、、ありがとう」
ギーがお礼を述べてくれる。
俺は少し溜めてから返事をする。
「いや、、、気にするな」
俺は宿屋に戻り、ベッドに飛び込む。
眠ろうとするがレイラの事で頭の整理がついていなかった俺は中々寝付けなかった。
翌日になり、レイラがいるかと思い教会へと向かう。
教会の戸に手をかけると、中から人が出てくる。
「おっと、失礼」
「いえ、こちらこそ」
憲兵のようだ。
「すまないが、我々は今スラム街を調査していてね。君は誰だ?」
「えっと、ただの冒険者ですよ」
ギルドカードを見せる。
俺は帝国に来てから、ギルドカードを手に入れておいて良かったと思った。
「冒険者か。すまない、ここへは何をしに?」
「教会ですからね、お祈りですよ。最近良くない事ばっかりだったので」
「あぁ、そうか。ところで暗殺ギルドって知ってるか?」
「まぁ、名前くらいなら。街で噂になってますからね」
「ああ、そうだな。もし暗殺ギルドについて何か分かったら城へと報告してもらえると助かる」
「野暮ですが、何かあったのでしょうか?」
「ああ、実はな憲兵が殺されたのだ。暗殺ギルドは今まで義賊として、巷で持て囃されていたようだがついに帝国へと牙を向けたみたいだ」
「そう・・・なんですね」
「時間を取らせてすまなかった」
兵士達は教会から去っていく。
教会の中を見渡したが、レイラはいなかった。
そろそろ潮時だな、、、師匠が戻ってくるのが早いか。
もう手を引くべきか・・・
兵士達が動いている。
暗殺ギルドが活動できるのは難しくなるだろう。
俺は普段行かない、城の近くまで足を伸ばす。
そして遠巻きにある建物を観察する。
騎士団の兵舎。
何人かの騎士は外で剣の練習を。
窓から見える部屋の中では、騎士が書類を見ている。
一通り観察し終えた俺はギルドへと向かう。
「な、、、何だこの人混みは・・・」
普段から帝都の大通りは人が溢れているが、今回はその比じゃない。
人混みを掻き分けながら、ギルドへとたどり着く。
「はぁ、はぁ」
「あら、京さん」
いつも通り、リディアさんが元気に挨拶をしてくれる。
「あの人混みは一体何なんですか?」
「聞いていないんですか?」
「何か祭りとか?」
「いえ、帝国に勇者様が来られてるのよ」
「勇者!?」
思わず声を上げてしまう。
「え、ええ。何でも事件があったらしくて、各国で勇者を育てるという事になったみたい」
「その事件って?」
「魔王が王国に攻めてきて、勇者の一人を殺したらしいって話ね」
「そうなんですね・・・」
「まぁ、それで各国で話し合って勇者を王国以外の国に来てもらってそこで強くなってもらうって話よ」
「なるほど」
「あぁ、それとギルドにも通達があったんだけど。勇者が一人失踪してるらしくて、探して欲しいって依頼があったわ。尋ね人の依頼になるんだけど、情報が名前と年齢くらいだから、お手上げね。なんて名前だったけなぁ・・・」
リディアさんは後ろの棚にある書類を取ろうとする。
「あー、そうなんですね。さて俺はこの依頼を受けようかな」
「ああごめんね。依頼受けに来たんだよね?」
俺は何とか話を逸らせて安心する。
リディアさんが依頼に受付を行っていると、タスラさんが姿を現す。
「京。ちょっといいか?」
「え、ああ、いいですよ」
俺はタスラさんに呼びつけられ、ギルドの応接室へと入る。
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