056_真相1
「すまない、迷惑をかけた」
泣き止んだレイラはしばらくしてそう声をかけてきた。
「あ、ああ、本当にお前、平気か?」
「ああ、大丈夫だ」
「京・・・」
「なんだ?」
「ありがとう」
「気にするな。いやむしろ俺のせいだったのかもな」
事の始まりは俺がこいつを連れ出したせいだ。
そんな事をしなければと、後悔する。
「・・・・いや、お前は私を守ってくれた。それに、お前は私らの仲間と言ってくれた」
兵士を殺した時だ。
もう言い逃れの出来なかった俺は、そう兵士に言い放っていた。
「ふと、そう口にしてただけだ」
「ありがとう」
さっきからレイラは感謝の言葉を続けている。
「憲兵・・・、哨戒任務と言ってたな」
「ああ」
「哨戒任務なら、城へ報告に行く。しかし戻らないとなると城は何かあったと騒ぎ出すな・・・」
俺は憲兵の件について、どうなるかを考える。
「下手すると、暗殺ギルドへと目が向いてしまうかもしれない」
「・・・・」
「ギーへ報告した方がいいよな?」
「あ、ああ。京?」
「何だ?」
「悪いんだが、、、今日はここに居ていいか?」
「は!?」
「違う、そういう意味じゃない!!」
「あ、ああ」
「もうすぐ日が明ける。憲兵の件もあるから今から隠れ家に行くのはまずいと思ったんだ」
「そういう事か」
「それと、、、、ギーに会ったら、全てを話す」
「分かった」
俺は一緒の部屋にいるのはまずいと言い部屋を出る。
宿屋の主人に事情を話し、その日は空き部屋で寝ることにする。
夜になり、暗殺ギルドの集会場へと向かう。
「ギー、京に全てを話す」
「いいのか、レイラ?」
「ええ、彼は・・・私を助けてくれました。私が話したいと思ったのです」
ギーは驚いていたが、一呼吸おいて納得する。
「お嬢様・・・分かりました」
「もう気付いているとは思いますが、私の名前はレイルーシア・レスカ。かつての騎士団長ラッセル・レスカの娘です」
「私はギルバート。幼い時、身寄りがなく彷徨っている所をラッセル様に拾われた。レスカ家に忠誠を誓い、成人するまではレスカ家で執事をしていた。その後は騎士団に入団して、親衛隊として活躍をしていた。ピエールとはその時に知り合った」
「なるほど。そしてレスカ家に何かがあり、没落。お前らはその時の事を復讐の糧としていた・・・という事か」
「いえ、この復讐は私が始めたものです。ギルバートは協力してもらっていただけなのです」
ギルバートは否定はしない。
「事の発端は私から話そう」
ギルバートは過去の話を始めた。
話は5年前に遡る。
その当時の帝国は、旧皇帝が健在。
力による腐敗が進んだ帝国の歴史の中で旧皇帝は異端と呼べる存在だった。
平和を愛した皇帝、そう呼ばれていたそうだ。
そして皇帝の友と呼ばれた男ラッセル・レスカ。
前の騎士団を率いていた団長だ。
平和を愛する皇帝と、不正を正せる力を持ったラッセル。
腐敗しきった帝国の貴族は相当に憎んでいたそうだ。
「とはいえ、心優しい貴族ももちろんいた。そういった者達は当時の皇帝やラッセル様の側についていた」
「ようするに派閥争いって訳か。かつての騎士団も貴族たちを刺激しなければ良かったんじゃないか?」
「そうなのだがな、、、皇帝は現状をかなり憂いていたのもあるし、ラッセル様は正義の心が厚い方だった。お前も腐った貴族達をたくさん見ただろう?目の前で奴隷として売られていく民がいるのだ。それを見過ごすのはラッセル様には出来なかったのだ」
その志は騎士団にも浸透していたそうだ。
かつての騎士団は民から愛され、騎士団とは民を守る存在として騎士達も志高くあった。
だが、騎士団の中にも貴族出身のものは多くいる。
その中には騎士団による貴族の弾圧を許せない者もいた。
それらの筆頭だったのが現騎士団長のアディーラ・メルク。
レスカ家を貶めた人物だ。
そんな派閥同士のいざこざが拮抗した状態が続いていたそうだ。
それを覆したのが、現皇帝であるガルシア。
ガルシアはまだ皇帝ではなく、帝位継承者を持った次期皇帝と目されていた。
他の帝位継承者、ガルシアの兄弟達は次々と不幸な死を遂げ、残っていたのはガルシアのみだった。
老齢であった旧皇帝の引退は近いとされていたが、それでも皇帝の座から降りなかったのはガルシアの力による支配を認められず、帝位を渡せずにいた。
ガルシアは対皇帝派の貴族をまとめると、騎士団のアディーラ達を抱え込んだ。
そしてある日、ガルシアは騎士団や貴族の私兵と共に帝都の城へと攻めこんだ。
「公にはされていないが、、、クーデターだ」
帝国はこの事実を緘口令を敷いたそうだ。
旧皇帝はクーデターに動じなかったそうだ。
何故なら、ラッセルは帝国最強の騎士と呼ばれていた男が側にいたからだ。
だがクーデターの際、ラッセルは助けに来れなかった。
「お父様は、このような事態がいつ起きるか分からなかったから帝都は離れないようにしていた」
「じゃあ、どうしてだ?」
「アディーラよ。毒を盛られたのよ」
「しかし、そいつは貴族派だったのじゃないか?」
「お父様も他の者も皆気づけなかったのよ。アディーラはラッセル様に忠実だった。幼少の頃から可愛がり、剣を教えていた。兄様達とも親友と呼べる間柄だったわ」
「皆、騙されてたという事か・・・」
アディーラは、城の兵士を次々と殺し玉座へガルシアを導いた。
そしてそこで旧皇帝は討たれた。
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