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キリングワンアナザー ~8人の勇者と4人の魔王~  作者: 日進月歩
第ニ章 帝国篇 暗殺ギルド
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052_約束

俺はリディアさんに連れられ、カフェに入る。

この世界に来てから、カフェに入ったのは初めてだ。

街の色んな店を見て回る余裕がなかったのもあるが、師匠と男二人でカフェに入るという発想がそもそもなかった。


「それで知り合いがどうしたの?」

「まぁ、こんな感じなんですけど」

俺は暗殺やレスカなど帝国の人間が反応しそうなワードは避け、説明をする。


・知り合いAレイラが昔とても嫌な事があった。それもトラウマレベルの。

・知り合いB(師匠)は忙しくて助けられない、だから俺が助ける事に。

・俺はその子を助けるのは、為にならないと思う。

・しかし約束をやぶる訳にはいかない。

・知り合いAの事情を知るまでは、知り合いBに顔向けできないし、助けるのを辞めることもできない


「うーん・・・複雑ね」

「ええ、まぁ・・・」

「ちなみに、その知り合いAっていうのは女の人?」

「はい、そうです。何ていうか、すげー気が強いっていうか。敵対心剥き出しというか」

「今の事情から察するに、君は放り出したくない。けど事情は聞かないと辞められないと・・・」

「ええ・・・」

「私、個人的には京くんが嫌なら辞めてもいいんじゃないかって思うんだけど、知り合いBさんに申し訳ないんだよね」

「ええ、ちなみに補足すると知り合いCというのもいまして、その人からAさんを助けるように頼まれてます」

「はぁ・・・」

リディアさんは俺の雁字搦めの状況を嘆いてため息を着く。


「そうね、少しでもいいからAさんを理解してあげられるように頑張るしかないかな」

「理解・・・ですか」

「ええ。その前に、あなたは味方だって事を分かってもらえるようにしてあげるのがいいかな」

「味方・・・」

「話を聞いてると、Aさんは余程余裕がないのね、そんな感じがするわ」

「まぁ、そうですね」

「ギルドの受付嬢ってね、意外と知識が多くないと努められないのよ」

「え、どうしたんです、突然」

「まぁ、いいから。しかもねぇ、荒くれ者が多いじゃない・・・、だから人を見る目と話す事は必要になるわ」

「はぁ、そうですよね」

「受付嬢になる為には、試験があるのよ。それも難関と呼ばれる程ね」

冒険者の受付嬢は俺が思ってるより就職が難しいらしい。


「そうなんですね、、、じゃあリディアさんはそれに受かったと」

「ええ、努力のおかげかな。でもね、試験に受かろう受かろうと思って徹夜で何日も勉強してた事があったわ」

「そんなに」

「でも、根を詰める程、勉強した内容って頭に入ってこないのよ。ある日、父さんが狩りに連れて行くって無理やり連れてったの」

「はい」

「もちろん反対したわ、噛み付いたり、腕を引っ掻いたり」

リディアさんは昔を思い出し笑いながら話してくれる。


「でも、狩りは楽しかったわ。私自身、冒険者と比べると戦い慣れては居ないけど、それでも久しぶりに外に出たのは良い気分転換になった」

「それからかな、無理しないように自然体でやってたら、試験も合格してたって訳」

「はぁ・・・」


女性は・・・話が長い。

けど、ヒントはくれた。


「なるほど、、、、気分転換ですね」


まぁ何も進展しないなら、何かしてみるか。





「京、この間は見事だった」

いつもの暗殺ギルド集会。

アンドラス子爵の暗殺は先日、無事に終えた。

その時の事を珍しくギーは褒めてくる。


さて、解散する前にレイラを連れ出す約束をしなければ。とは言え、なんて誘うかなぁ・・・


普段、この暗殺ギルドで調子を合わせた口調にしている。

それを突然、気分転換に行こう等と誘ったら断りの返事が来るのが目に見えている。


「おい、レイラ」

「何だ?」

「昼間、何をしている?」

「答える義理はない」


駄目だ、こりゃ・・・。

ならば強行手段しかない。


「俺はお前のために、かなり身を粉にしたと思っている」

「・・・突然どうした」

「一つ、俺に付き合え」

「・・・断る」

「なら、俺と勝負しろ。勝てば俺の要求を飲んでもらう」

俺が勝ったなら事情を話せと言えば良かったのだが、それは間違いだったろう。

こいつが自発的に、話さないかぎり俺が納得出来ない気がしたからだ。


「分かった。ついて来い」

俺はレイラの後を追う。

着いたのは、レイラと初めてあった寂れた教会だった。


「ここか」

あれから三ヶ月経つのか、染み染みと実感する。


「殺しはしない。だが、本気でやらせてもらう」

俺は全力でやるつもりだ。


「負けるつもりはない」

レイラはナイフを抜く。

前から思っていたがとても綺麗な作りのナイフだ。

どこかの大貴族から奪ったのだろう。

俺は剣とダガーを取り出す。

剣の柄を見たレイラが呟く。


「あの剣・・・」

一瞬の隙を見せた所を襲う。


「くっ、貴様!」

「隙を見せたお前が悪い」

分が悪いと判断したレイラは壁側へと飛び退ける。


「相変わらずの身のこなしだ」

俺も魔力を足に振り、レイラに追いつく。

レイラは二刀での攻撃を捌くので精一杯だ。


「ここがおろそかだな」

俺はがら空きの腹部へ蹴りをお見舞いする。


「くっ、、、、」

壁に叩きつけられる。


「レイラ、お前の負けだ」

勝負を見ていたギーが声をかける。


「いや、まだだ!私は戦える!」

腹を抑えながら、レイラは立ち上がる。


「いいだろう。お前が負けたと認めるまで付き合ってやる」

俺は剣をしまい、ダガーを残す。


「ハンデのつもりか?」

「お前が負けたと認めるまで付き合うと言っただろ?剣を持ってたら勝負にならなかったからな。ダガーだけにしてやった」

レイラは俺のことを睨む。


「それでも駄目なら素手で相手してやる。ちなみに格闘術も会得しているからな」

「分かった、、、次で最後にする」

レイラはナイフを構える。

俺もダガーを構える。

お互い加速し合い、ダガーとナイフが交差する。


パサッ


交差した際にレイラの頭巾を切り裂いたようだ。

俺は構わず着地すると同時に反転し、レイラの喉元へダガーを着きつける。


「私の負けだ・・・」


そう宣言したレイラに俺は魅入ってしまった。

頭巾が取れたレイラの素顔はとても美しく、髪は金髪で目は碧色。

絵に描いたような美人だった。


「あ、ああ、俺の勝ちだ」

呪いのマフラーに命令を告げて、頭巾を解除させる。


「明日の正午だ、この教会前で待ち合わせだ」

「分かった」

「ちなみに暗殺でも偵察でも何でもない。だから頭巾は着けてくるな、普段の格好で来い」

「くっ・・・、分かった」


こうして何とかレイラと約束を取り付けた。

お読み頂き、ありがとうございます。

毎日22時に更新を予定しております。


感想・レビューお待ちしております。

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