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キリングワンアナザー ~8人の勇者と4人の魔王~  作者: 日進月歩
第ニ章 帝国篇 暗殺ギルド
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050_奴隷解放

「さぁ、着きましたぞ」

奴隷商の元へとたどり着いた。

この帝国内では普通に奴隷商がいる。

違法奴隷売買こそ、犯罪ではあるが奴隷をどこから入手したなどは特に調べられない。

つまり現場さえ押さえられなければ奴隷商は商品をどこからでも手に入れられてしまう。


「これはこれは、本日はどのようなご用で?」

「ここで買い取った奴隷の主人登録を変更したい」

「左様ですか、では奴隷をこちらに」

セーレは奴隷商の近くへ行くと首輪を外す。

首輪には所謂奴隷紋と呼ばれた痣のようなものが刻まれている。


「こちら手数料がかかりますが、よろしいでしょうか?」

「ああ、構わない。幾らだ」

「2gz」

結構するな。

俺は手持ちの金貨二枚を奴隷商へと渡す。


「宜しい。では血をお願いします」

奴隷商はナイフを渡すと、それで指を切れと教えてくれる。

奴隷の主従契約には血を持って縛り付けるらしい。

俺は言われるまま指先をナイフで切ると、その血を指示されたセーレの首筋へと垂らす。


「それでは変更を行います」

奴隷商はぼそぼそと何かを呟くとセーレの奴隷紋が光る。

きっと魔法の一種なのだろう。

こういった事も出来るのかと俺は興味深く観察する。


「完了です」

「ああ、そうか」

俺は初めて奴隷を手に入れた。


「じゃあ、奴隷を解放したいのだがどうしたらいい?」

「「「え?」」」

皆がいちように驚く。


「よ、よろしいのですか!?」

セーレが縋りそうな目で俺に話しかけてくる。


「あ、ああ。そのつもりであんたをもらったんだ」

「京様・・・。感服します」

老紳士は俺の行動に感動している。


「ほ、本当によろしいのですか、旦那?」

「ああ」

「この奴隷は別嬪だ。それに体も傷ついていない。今一度私どもにお預けすればそこそこの財が成せますよ?」

「いや、俺は彼女を開放する」

ちらりとセーレを見ると泣きながら喜んでいる。


「分かりました・・・」

「ちなみに解放料は幾らだ?」

「今回は、、、、タダにしておきます」

「いいのか?」

「えぇ、、、私も商人の端くれ。ここで人情を見せなければ商売の恥になりますよ」

そういうものなのか。

この奴隷商は根っからの悪人という事ではなさそうだ。

暗殺ギルドに見つからないよう細々と商売をやってくれと願う。

奴隷商はまたぼそぼそと呟くとセーレの首の痣が光る。

そして光終えると痣は綺麗に消えていた。


「ありがとうございます!!」

セーレは深々と頭を下げる。


「あー、気にするな。気にしないでいてくれると俺の方も助かる」

善行を積む気はなかったが、有名になったりするのは困る。

色々な意味で。


「ぎゃあああああっ!!」

奴隷商のテントの外から悲鳴が聞こえる。

何だろうと思ったが思い出す。

テントの中に呪いの品を持ち込めないと思った俺はテントの前に呪いの品達を置きっぱなしだった。


「しまった!じゃあセーレそういう事だから、後は好きに生きてくれ!」

俺は大慌てでテントの外を出る。

俺は呪いの品を持った悶えてる人を助けるとそそくさと呪いの品を持って、その場を立ち去る。

スラム街の空き地を目指して、給仕台をカラカラと押しながら歩いて行く。

俺は空き地にたどり着くと声をあげる。


「どこまで着いてくる気だ?」

「あの、、、私どうお礼を返したらいいのか」

ここに来るまでにセーレが後をつけていたのは知っていた。


「だから、そういうのはいいって」

「ですが!!私を奴隷から解放してくれた恩は一生をかけてでもあなたにお返ししないと!」

困ったな。

セーレは全くひいてくれない。


「セーレはどうして奴隷になったんだ?」

「はい、、、帝国の田舎出身なのですが税が重く払えなかったのです。徴収しに来た男達が税の代わりにと妹を攫おうとしたのを私が代わりに」

「なるほど・・・、違法に拉致され奴隷に落された訳か」

想像はしていたが、やはり人を拉致して奴隷に落とすなんて胸糞が悪い。

この話を聞くと、暗殺ギルドのやっている事を今だけは肯定したくなる。


「お願いします。私を好きにしてください!?」

「えぇ!?」

好きにって・・・。


「いやいや、何を言っている」

「京様が望むのなら、私を娶って頂いても構いません。それが嫌でしたら専属のメイドとして奉仕致します」

話があられもない方向に進んでいく。

・・・まぁこんな綺麗な人に奉仕されるなんて浪漫ではあるのだが。


「その、なんだ、俺は修行中だし、そういうのはちょっと考えられない」

「では待ちます!」

「ちょっと待ってくれ!せっかく奴隷から解放したんだ。そういうのはあんたの好きな人を見つけてやってくれ。申し出はありがたいが、気持ちを無視して側にいるのではあの男爵と一緒じゃないか」

セーレは困ったように、俺を見つめる。


「いえ、違います。私はあなたを慕っています。だからどうか!」

異世界に来てから俺はモテ始めてるのか錯覚してしまう。

だがそんな邪念はすぐに振り払う。


「それは勘違いだ。恩を好意として受け取っている」

「そんな事は!」

やれやれと俺はため息を着きながら、妹の話を切り出す。


「アミー。あんたの妹にあった」

「え!?」

「偶然だ、帝都の側で逃げるようにしていた所をちょっとな」

「妹に会ったのですか!アミーは無事ですか!」

「あ、ああ。無事だ。奴隷として売られようとしていた所を何とか逃げ出したみたいだ」

「そうですか、、、良かった」

「その時に、姉を待っていると伝えてくれとアミーに聞かされた」

「アミー・・・」

「だから、俺があんたを助けたのは妹のおかげだ。すぐに妹のいる所へ帰ってやるのがいいんじゃないのか?」

「ええ・・・、そうですね。分かりました」

セーレは納得してくれたようだ。


「じゃあ、これでお別れだ。次は奴隷商に捕まらないように気をつけて生きろよ」

「ありがとうございます!私は帝国南部のミリという小さな村にいます」

「ああ、覚えておく」

「もし立ち寄る事があったら必ず来て下さい!その時は妹と一緒におもてなしをさせて頂きます」

「楽しみにしておくよ」

セーレはもう一度深々と頭を下げると、今度は俺の前から立ち去った。

その際、泣いてるような気がしたが気にしないようにした。


・・・・・その報いか、俺は呪いの品の破壊の影響でしばらく謎の高熱にうなされてしまった。

お読み頂き、ありがとうございます。

本日も12時と22時に更新を予定しております。


感想・レビューお待ちしております。

誤字・脱字も報告頂けましたら対応致します。

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