049_奴隷ゲット
「一つ触ってもいいか?」
「触るのか!?」
「ああ」
俺は人形を取り上げる。
何だ、ただの人形じゃ・・・と思ったら異変が起きる。
人形は瞼をパチクリすると目玉がぐるぐると周る。
気持ち悪い・・・。
《許せないわ・・・私を閉じ込めたあいつを》
あー、また声がするよ
《許せない許せない。あなたを殺して・・・》
いいから、黙れ!!!
人形の動きがピタっと止まる。
「おおお!素晴らしい!まさか解呪出来たのでは」
そう言うとフルソン男爵は俺から人形を取り上げる。
「ぎゃああああ!」
また人形は気持ち悪い動きを魅せている。
メイド達がおろおろし始めたので、俺は仕方なく人形を叩いてフルソン男爵の手から放してあげる。
「はぁっ、はぁっ、助かった」
「まぁ僧侶じゃないから解呪は出来ない」
「そのようだな・・・」
「この呪いの品、焼くなり壊すなりして自分で処分すればいいのでは?」
俺はそう提案すると、フルソン男爵は困った顔をする。
代わりに先ほどの老紳士が答えてくれる。
「これらは呪いの品。もし破壊しようものなら、その呪いは破壊した者が身に受けてしまいます」
そういうものなのか。
初めて知った。
「つまり処分しようにも処分出来ずという訳か・・・」
フルソン男爵は困ったような顔をする。
「ぬぬぬ、かくなる上は奴隷達に破壊させてその身に呪いを受けてもらうしか」
後ろに並んでいたメイド達は一気に青ざめる。
もしかするとこれはチャンスだ。
「なぁ、これを解呪しようと僧侶へと頼んだら幾らになる?」
「えぇっとちょっと分かりかねますが、結構な額に届くでしょう」
「なるほど・・・」
ここで一つ賭けに出てみる。
「なぁ、男爵さん。奴隷も安くはないだろう?」
「あ、ああ、そうだ!それに我が家の奴隷達は私が選んだ奴隷達だ、それなりの額はしたぞ!」
「その奴隷たちを使って、呪いの品を壊させるのはもったいなくはないか?」
メイド達は少し安心した顔を見せる。
「そ、そうだな!」
「俺なら、きっとこの呪いの品を処分出来る。一つ条件はあるが、処分は俺が引き受けよう」
「本当か!!助かった僧侶殿!」
「だから、僧侶殿じゃないって、それに条件があると言っただろう?」
「うぅむ、、、金か?処分するより安くつくならばいいだろう」
「金じゃないって、俺に一人奴隷を譲ってくれないか?」
「何!?私の奴隷を譲れだと!」
「ああ、そうだ。俺も夢見て冒険者をしている。奴隷の一人くらい欲しくなるのは男の性だ」
「駄目だ!!私の奴隷達を譲るなど駄目だ!」
フルソン男爵は子供じみた駄々をこねてしまう。
「そうか、ならこの話は縁がなかったということだ」
俺は構わず席を立つ。
「待ってくれ!!」
「いや、悪いな」
俺は客室の外へ出ようとすると老紳士がそれを妨害する。
「お待ち下さい、京様」
老紳士は俺を立止せると、フルソン男爵の元へ行き耳打ちをする。
それを聞いたフルソン男爵は悲しそうな顔を見せるが、納得する。
「分かった・・・、奴隷一人だな」
老紳士は悪知恵を働かせたのかと思ったが、フルソン男爵の後ろに立つと俺へとウインクをしてくれる。
上手くいったようだ。
「ああ、そうだ」
「誰を連れて行く気だ?」
「そうだなぁ・・・」
あくまで自然に、一人を指差す。
「セーレか・・・、いいだろう」
フルソン男爵は不機嫌そうに立ち上がる。
「もう話は済んだ!後はその呪いの品を持って帰ってくれ!」
そういうなりフルソン男爵は部屋を去っていく。
続いて、セーレ以外のメイド達も部屋を退室していく。
「京様、こちらの給仕台をお使い下さい」
「ああ、分かった」
俺は呪いの品達を次々と給仕台へと乗せていく。
「奴隷を譲ってもらったがどうしたらいい?」
「えぇ、私と共にセーレを連れて、奴隷商で主人登録の変更を行います」
「なるほど」
俺はすぐにでもやった方がいいだろうと思い、老紳士と一緒に奴隷商の元へ行く。
「しかし、何であそこで助け舟を出してくれたんだ?」
「私は長くフルソン家へと仕えております。昔の旦那様…フルソン子爵様はそれはとても素晴らしいお方だったのですが、ここ最近始めた商売で人が変わられたようになってしまいました」
老紳士が話しているのはあの男爵の父親の事らしい。
「ピュレル様にはそうなって欲しくなく、奴隷を集めてはそれを使い潰すような真似をして欲しくはなかったのですよ」
きっとこの人なりの親心だろう。
今回はそのおかげでセーレを手に入れる事が出来た。
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