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キリングワンアナザー ~8人の勇者と4人の魔王~  作者: 日進月歩
第ニ章 帝国篇 暗殺ギルド
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047_違法奴隷売買

時刻は深夜。

スラム街の一角で人気の全くない屋敷の前に俺はいる。

俺は予め指定された位置に身を隠す。

レイラとギーも同様に身を隠している。

初めて殺人から、数日。

次の任務が言い渡された。

どうやらこのスラムにある屋敷で違法奴隷売買が行われるとの事。

これに関与する者の皆殺しだ。

俺は思い出すと、嫌になりため息をつく。


「はぁ」

何で俺がこんな外道な事をと、考え悲しくなる。

この間のベッヘルモット子爵の件から、数日街の様子を伺ってみた。


「おい、また暗殺ギルドが手柄をあげたらしいぜ」

「ベッヘルモット!貴族が率先して奴隷を売買するなんて、死んで当たり前だ!」

「良かったわ、これであの貴族に店を妨害されなくて済むわ」

どうやら街の人間は、悪事に染めていたベッヘルモットがいなくなった事が嬉しかったらしい。

あの時にギー達が探していたのは違法奴隷売買の証拠だ。

どうやらそれを幾つか複製をし、城の役人の元や冒険者ギルドなどに送りつけていた。

これによって暗殺ギルドが殺した貴族は悪事に手を染めていたと、帝国にも国民にも知れ渡る。

本来、暗殺行為で人を殺すなど罪に問われるだろうと思っていたが、帝国は暗殺ギルドを探しまわるような事はしていないようだ。


と、そんな事を考えていると遠くから馬車が近づいてくる音が聞こえる。


「きたか・・・」

俺はそれとなく見を上げると、ギーを見る。

ギーはハンドサインでまだだと指示を伝える。

馬車は屋敷の前に着くと、停車させる。

御者代わりを務めていた粗野な男が、馬車の荷台へ向かう。


「おい、着いたぞ、降りろ」

そう言うとボロボロの服を来た男女数名が降りてくる。


「こ、ここは?」

「お願いします、帰して下さい!」

「俺は何もしてない!!何でだ!?」

御者は苦々しい顔をすると、鞭を取り出し、奴隷に浴びせる。


「うるさい!黙れ!!」

「おやおや、せっかくの商品を傷つけてはいけませんよ」

「こ、これは失礼しました!タムズ男爵様!!」

御者は鞭をしまうと、その男に深々と下げる。

タムズ男爵と呼ばれた男と、その横には商人らしき男が並んでこちらへと向かってきている。

そして後ろには、護衛が数名。


「ふむ、これが本日の奴隷ですな」

その商人、、奴隷商は運ばれてきた奴隷達をじろじろと品定めをしている。


「お、お願いします、男爵様!どうか慈悲を!」

「何でもします!だから奴隷だけは!」

奴隷たちはタムズ男爵を見つけると、地面に頭を着けながら慈悲を貰おうと乞う。


「ふっ、下賤な者め・・・。税もロクに払えないお前達を何とか金にしようとしているんだ。ありがたく思え!」

タムズ男爵は一蹴する。

それを聞いた奴隷達の表情に絶望が浮かぶ。


「では男爵様、正式な勘定は後にして手付としてこれを」

男爵は奴隷商から袋を渡されると、中に入っている金を確認する。


「残りはしっかりと奴隷達の勘定を終えてからになります」

「ああ、頼むよ」

男爵は金額に満足したのか、ニヤリと笑いながら奴隷商に返す。


「ぐあっ!」

突然、男爵が金の入った袋を落とす。

よく見れば、投降用のナイフが男爵の手に突き刺さっている。


ギーかレイラ、どちらかの合図だ。

俺はダガーを取り出しながら馬車へと向かう。


「くそっ、賊か!」

「ぶっ殺せーー!」

「男爵、無事ですかい!?」

護衛達が男爵と商人の周りに展開する。

俺は構わず、その護衛達へと向かっていく。


「舐めやがってぇーーー!」

一人突出して、前へ出た男の攻撃を躱すと俺は回転し背中から深くダガーを突き刺す。


「ああああっ!」

致命傷だ、暫くは持つがすぐに死ぬだろう。

二人目、三人目と俺へと向かってくるが俺は同様に殺し続ける。


「おああああっ!!!」

「だ、男爵様!!」

レイラが隙を突いて、タムズ男爵を背後から突き刺したようだ。

ナイフを引き抜くとレイラは奴隷商をターゲットにする。


「ま、、、まさか、暗殺ギルド!?存在してるとは・・・!」

レイラは奴隷商と問答を一切せず、間合いを詰めるとナイフを振るう。


「ああああっ!!!」

レイラの一撃は、奴隷商の首を綺麗に切り裂く。

奴隷商が倒れると同時に、俺とギーが相手していた護衛の人間達も片付く。


「終わったのか」

俺は周りを警戒し見渡すが、殺した人間以外に人影はいなかった。


「助かったの・・・?」

「いいのか、俺たちは奴隷にならなくてすむのか?」

ギーは奴隷になる者達を並べると、体を見回す。


「何をしてるんだ」

「奴隷紋がないかを見ている」

レイラが代わりに答えてくれた。

先ほどのやり取りから、彼らはタムズ男爵の領地から運ばれこの帝都で奴隷にさせられようとしていたのだろう。

その中に見覚えのある顔があり、見てしまう。


「あの、何か・・・?」

「・・・・いや。あんたはどうして奴隷にさせられようとしたんだ?」

俺が見ていた女性は俺に気付き、声をかけられる。


「その・・・税が払えなくて滞納していたら、無理やり攫われたのです」

「そうか」

やはりどっかで見たような顔だ。


「まだ何か?」

「いや、どっかで見た顔だなと」

「まさか・・・!私には姉がいて、その人では!?」

「姉・・・?」

そんな人いたかなと思考を巡らせる。

武器屋での一件を思い出し、あのメイドに似ている事に気付く。


「おい!不必要に喋るな!」

レイラに怒られる。


「お前達、好きに逃げていいぞ」

ギーは彼らにそう言うと次々に手に縛られた縄を切っていく。


「いいのか?」

「ああ、俺らは暗殺ギルド レスカ。逃げられた際は俺らに助けられたと伝えろ。今後はそうそう手出しをされなくなる」

伝説とも呼べる暗殺ギルド レスカに助けられたとほうぼうに言い触らせば、貴族だろうと手出しはしづらくなる。

それほどまでに暗殺ギルドは貴族達にとっては畏怖の代名詞なのだ。


「ありがとう、この恩は忘れません!」

「助かりました!!」

彼らは次々にお礼を述べてくる。


「あの、私の名前はアミーです!姉はセーレと言います。もし・・・出会う事が会ったらアミーが待っているとお伝え下さい!」

アミーと名乗る少女は俺にそう伝える。

アミーは他の仲間達の元へ駆け寄ると、帝都を抜けだそうと去っていった。


「私情は禁物だ。暗殺を行っていくとこういった事はある。誰かに加担すれば身元がバレて私らが危険な目に合う」

「ああ、わかってるよ」

レイラなりの忠告だろう。

分かってはいたが、俺は何だか納得が行かなかった。

お読み頂き、ありがとうございます。


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