045_呪いのマフラー
帝国を散策しながら、俺は武器屋を目指す。
金もそこそこ貯まった事だし、いくつか武器を買い換えるつもりだ。
「いらっしゃいませ」
武器屋を見つけ、中に入り店内を見渡す。
色々のものが取り揃えられている。
「各種色々と取り揃えております。何かお探しですか?」
「ああ、武器を色々と買い換えようと思って」
「何がご入用ですかね?」
剣はピエールさんにもらったものがある。
「そうだなぁ。ダガー・槍・弓は置いてあるか?」
「これはまた、色々と武器を扱われるのですね」
「ああ、戦いの幅が広がるしな」
「本来は一つの武器を極める方が多いですからね。でも勇者の伝説の中に全ての武器を極めしものがいたとか」
「そんな勇者もいたのか」
スキルレベルがⅢの俺には程遠い。
「眉唾ですけど。ダガーはあちらに、槍はそちらですね。弓はこちらになります」
「ありがとう、見させてもらうよ」
教えられたところへ行き、物色する。
木製・鉄製・銀製など色々あるようだ。
ふと奥へ行くと一際目の放つ武器達が並べられている。
「ああ、こちらはミスリル製の武器になりますね」
「ミスリル・・・。ちなみにいくらだ?」
「12pzになります」
「!!」
1pzは100gzに相当する。
頭の中で計算してみると、日本円でおおよそ1200万円だ。
「さすがに、、、、手が出せない」
「まぁ、そうでしょうな。貴族の方でもお買い求める方は少ないですから」
「じゃあ、それとこれとこれを頼む。ああ、あと防具はどこに?」
「それでしたら、あちらですね」
指を刺された方に防具がずらりと並んでいる。
「邪魔だ、どけぃ」
防具を見ようとした、その時だ。
ぶよっとした感触に跳ねのけられる。
「うわっ」
「邪魔だ!」
まるでオークの腹のように膨らんだ派手な服を来た男がいる。
「あの大変失礼しました」
メイド服を来た女性に手を差し伸べられる。
「ああ、すまない」
その女性の手を掴み立ち上がる。
立ち上がる時に顔を見ると、首輪をしているのを発見する。
「奴隷か・・・」
「ええ、そうです。主が失礼致しました」
「ああ、いや、気にするな」
主人と呼ばれた派手な服を来た男、貴族だろうか。
そのものは鞄からゴソゴソと何かを取り出す。
「私はフルソン男爵だ。聞け、店主よ。今日は良い物を持ってきた!」
フルソン男爵はバッグからマフラーを取り出す。
「これだ、これを買い取れ」
「マフラーですか?」
武器屋の主人はマフラーを手に取り調べる。
すると何かに気付いた武器屋の主人はすぐさまマフラーを手放す。
「これは、呪われてるじゃないですか!」
「いや、違う。これには神の奇跡が備わったマフラーだ!」
どうやら貴族は呪われたマフラーを持て余してるようで、それを売りつけにきたのだ。
「こんなもの買い取れませんよ」
「何だと?この私が持ってきたものを買い取れないだと?」
「・・・ええ、うちでは呪いの商品は扱えません」
「くっ、貴様。店がどうなっても良いのか?」
「しかし、、、呪いの商品を扱ったなんて、世間体がございます」
呪われた品は縁起悪く、店頭に置いておきたくないらしい。
「分かった。神の奇跡を信じないからだな。おい!」
フルソン男爵は奴隷の一人を呼びつける。
先ほど手を差し伸べてくれた奴隷とは別の奴隷だ。
その奴隷は悲痛な目をしながら男爵の前に立つ。
「良いか見せてやる。これを身に付けろ」
「い、、、いやです。これを身につけた者がどうなったか・・・」
「ええい、うるさい!」
フルソン男爵は無理やり、奴隷の首にマフラーを巻きつける。
するとマフラーは一人でに動き、ギチギチと奴隷の首を締め上げる。
「ぐぐぐぐ・・・」
マフラーに首を絞められた奴隷は口から泡を吹き始める。
「おい!」
「いけません」
先ほどの手を差し伸べた奴隷が俺を静止する。
「手を出してはいけません。あなたまで奴隷にされてしまいますよ」
「くっ」
悲しそうな目で俺に告げる。
「どうだ、すばらしいだろう!神の奇跡だ!」
「こんな、、、危ないもの扱えません!」
「何!?まだ神の奇跡を信じぬのか。ならばもう一度見せてやる。おい!」
そう言い放ち、次の奴隷を呼びつける。
「おい!」
いい加減、俺も我慢の限界だ。
俺は助けてくれた奴隷の静止も聞かず、フルソン男爵の前に立つ。
「なんだ貴様!貴族の私に歯向かうのか!」
そういうとマフラーを俺に着けさせた。
マフラーが俺を締め上げる。
《許せぬ・・・、許せぬ》
何だ、この声は?
《殺してやる》
呪い・・・の声か?
《殺さねば恨みを晴らせぬ》
くそ、うるさいな
《何故、生きてる》
あーあー、生きてちゃ悪いか
《殺す殺す殺す》
殺さんでくれ。いい加減しつこいぞ!
俺はマフラーを思いっきり引っ張る。
《痛い痛い》
なら、静かにしろ!
マフラーが大人しくなる。
「マフラーが解けるだと!おい、貴様どういうことだ!?」
「いや、どういう事も何も・・・。というかあんたが俺に着けたんだろ!」
「そうだが、何故だ!?」
「知らないよ」
「どうやら、、、ただのマフラーとなったようですね。いかがしますか。ただのマフラーならいくらでも買い取りましょう」
フルソン男爵は顔を真っ赤にする。
「くそ、こんなものくれてやる!行くぞ!」
フルソン男爵は奴隷たちを連れて店を出て行く。
「ありがとうございました」
先ほどの奴隷がこそっとお礼を言うとフルソン男爵の後を追う。
「あー・・・、ところでこれどうしたら?」
「まぁ、店で買い取ったわけではないのでお好きにしてください。見たところ先ほどのような邪気は感じられませんね」
「そうなのか」
《苦しい苦しい》
どうやらまだ声はするみたいだ。
「お客さん、もしかして僧侶なんですか?」
「いや違うよ。ぼんやりまだ呪いの声はするし」
店主が苦い顔をする。
「分かりました、先ほどのお礼も兼ねて勉強させて頂きますので、どうかマフラーはそちらで処分なさって下さい」
「ああ、いいだろう」
何だか得をしたようだ。
このマフラー、思ったより従順だ。
普段はピタッと首元にくっついてくれるが、離せと命令すると離れてくれる。
しかも、命令一つで頭巾のように顔を隠してくれる。
「うーん、良かったような良くなかったような」
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