043_殺人
「はぁ!?殺せって、、、無理だろう!」
俺はどこにいるか分からないレイラに答える。
が、返事は返って来ない。
「バカか、殺されるのはお前だ!」
「賊は、全員始末する!」
ここの住人?は熱り立ち、俺へと向けて攻撃を仕掛けてくる。
「くそっ!」
ダガーと剣を取り出し、構える。
だが。
「しかし、、、殺すなんて・・・」
俺は距離を取り、武器をしまうと拳を構える。
「間抜けな奴め!俺らを前にして武器をしまうなんて!」
「手を抜いたつもりか!?殺されんのはお前だ!」
粗暴な男達は、俺へと向かい襲ってくる。
俺は敵の攻撃を躱すと蹴り飛ばす。
「ぐあっ!」
壁にぶつかり、卒倒する。
素手ならば、相手を無力化できる・・・!
ちらりと倒れた相手を見る。
姿を隠していたレイラが、俺が卒倒させた男の前に立っている。
「おい、まさか!」
レイラは迷うことなく、ナイフを倒れた男に突き刺し絶命させる。
「くそ、仲間がいたのか!」
「てめぇ、よくも!」
男たちは仲間を殺された怒りで余計に攻撃が激しくなる。
「殺せ!でなければ死ぬぞ!」
「バカを言うな!何で殺さなきゃならない?」
「無理なら、さっさと消えろ!!ただし、二度と私の前に姿を現すな!」
レイラは感情的に俺へと迫る。
くそっ、くそっ、くそっ!
「・・・・・」
俺は立ち止まり、目を瞑る。
「はっ、バカが、殺して下さいってか!」
男の一人が俺の様子を見て、斬り殺しにかかる。
シュンッ
「嘘だろ・・・」
男が膝を着き、倒れる。
攻撃を食らう瞬間に剣を取り出し、斬り殺した。
ああ、、、くそ。殺してしまった・・・。
しかし、それでも頭はクリアなままなのか。
こんなありえない状況なのに、物事は冷静に把握出来てしまう。
「やれば、出来るじゃないか」
「・・・・残りもやるぞ」
何かが吹っ切れた俺は、残りの男達を始末していく。
「これで終わりだな」
「あ、あぁ・・・」
俺とレイラの足元には先程まで生きていた人間の残骸が転がっていた。
俺は理解してしまった、人の殺し方を。
やり切れなさや後悔を考えるが、それでも頭の奥底では平然と捉えてしまっている。
「早く行くぞ、目標は上だ。ギーが先行している」
「分かった」
広間に出て、階段を目指す。
貴族の屋敷という割には寂れていて、家具には埃が溜まっている。
階段を登っていると、二階の部屋から口論が聞こえる。
「誰がいるんだ?」
「貴族だ。腐敗しきった人間のクズだがね」
階段を登り終えると、野太い悲鳴が聞こえる。
「どうやら終わったようだ」
レイラはそういうと二階の奥の部屋へ入る。
「ギー」
「ああ、始末した」
二人はたった一言で納得し合うと、無言のまま書類を漁る。
「こいつはベッヘルモット子爵だ。違法奴隷売買を行っていた」
書類を漁りながらギーが説明をしてくれる。
「帝国の貴族は、率先して悪事を行い、金を稼ぐ輩が多い」
「つまり、悪事を働いたから殺したと?」
「・・・・・・」
「復讐よ」
レイラが代わりに答える。
「復讐?」
「ええ、私は・・・私とギーは大切なものを貴族や皇帝に奪われた!」
「俺はお前らの復讐に加担させられた訳だ」
「嫌なら辞めてもいいと言った」
ため息をつく。
俺は師匠との約束を思い出す。
「分からねぇ・・・」
そう呟くと、頭巾の隙間からレイラの瞳が縋るように見ていた気がした。
「分からないけど、俺はあんたらを見極めないといけない気がする」
「そうか」
「師匠・・・・はあんたらを頼むと言っていた。その意味を知るまでは手伝ってやる」
ギーは俺の話を聞くと、レイラの方を向く。
「ありがとう」
レイラは静かに一言だけ喋った。
その後、目的の書類を見つけると、撤収することになった。
来た時と同じく誰かに見つからないように、スラム街にある薄暗い部屋へと戻る。
「しかし、あんたらの目的はなんだ?復讐と言ったけど具体的には何なんだ?」
「俺らは帝国へ復讐を果たす。腐った貴族の暗殺や帝国の不正を暴き、いつかは皇帝を暗殺する」
「皇帝を暗殺!?」
あまりに現実感のない目標に聞き返す。
「ああ、そうだ!」
レイラは憎々しげにそう呟く。
「なるほど・・・それは分かった。しかし、どうして命を賭けてまでする理由はなんだ?」
「それを俺から話すことは出来ない。リーダーはレイラだ。レイラが話すだろう」
俺はレイラを見る。
が、何も答える気はなさそうだ。
「まただんまりか。わかった、俺はこの後どうすればいい?」
「お前が協力している間は我らも便宜を図ろう。本来なら金銭を渡したいところだが資金不足だからな。他のことでお前への見返りとさせてもらう」
「便宜・・・ね。何をしてもらえる?」
「まずは寝食に関してだ。これを渡す」
「これは?」
「我ら暗殺ギルドの証だ。これをもって、スラム街の近くにある宿屋に行け。部屋と飯を用意してくれるだろう」
「なるほど、一応帝国にも協力者がいるわけだ」
「帝国の国民は、不満を持ってるものは多い。我ら暗殺ギルドの活躍を密かに喜んでいる連中も数多くいる」
レイラが口を挟む。
「腐った貴族を殺し、それで喜ぶ国民が大勢いるという訳か・・・」
「ああ、そうだ」
「お前の実力は分かった。だが、お前はまだ修行中の身だろ?俺が剣を教えてやる。剣の腕は覚えがあるのでな」
「アサシンが剣ね・・・」
「昔の事だ。それと暗殺おいて役立つ技術についても教えてやろう。これから人を殺す事も増える」
「その配慮は嬉しいのか嬉しくないやら」
「昼間はお前の好きにしていい。冒険者らしく、狩りでもしてくるといい?だが、決められた日にここへ集まれ」
「そうか、分かった」
「ここに来る時は誰にも見つからないようにしろ。それと緊急の場合は宿屋を通して、お前に連絡する」
「ルールはこれくらいか?」
「ああ」
「暗殺ギルドと言ったな。名前はあるのか?」
ギーがレイラを見る。
「ある。暗殺ギルド レスカだ」
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