038_魔王襲来2
「勇者の登場により、用意したモンスター達は壊滅。同行していた魔族も何人かやられた模様です」
「そうか」
間壱 壱成は腕を組み、考える。
「頃合いか・・・。我が行こう。巻き込まれたくなければ離れろ」
「は・・・はっ!」
話を聞いた魔族達はすぐさま森の奥深くへと逃げる。
間壱 壱成はゆっくりと城へと向かい歩き始める。
しばらくすると閃光弾に似た灯が空へと打ち上げられる。
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「閃光弾・・・?」
突然空が明るくなったと思ったら、灯が打ち上げられる。
その灯が消えると同時に、魔族が一目散に逃げ出す。
「くそっ、逃げるんじゃねぇ!」
二神は魔族を追いかける。
「深追いはダメだ!」
「ちっ」
一歩の静止で前線で戦っている兵と二神は、追撃を辞める。
「て、撤退したっちゅう事か?」
襲撃してきたモンスターはほぼ壊滅する事が出来た。
どこかからか歓声が上がり始める。
「はぁ、やっと終わったで」
「モンスター1,000体か…」
見回せばモンスターの死体で溢れかえっており、中にはモンスターに殺された兵士の死体もある。
魔王軍が引いてくれた事に安堵し始めた、その時だ。
急に重い気配を感じる。
「何だ!?」
魔族が逃げていった方向から男が一人歩いてくる。
長い黒髪をオールバックにし、眼光が鋭く瞳の色は燃えるような赤色。
肌は青白さを通り越し、紫がかっている。
長いマントに、長剣を差している。
『聞けぇ!!我は第1魔王 間壱 壱成!!人間共、我に跪け!!』
その男は大声でそう叫ぶ。
「ま、魔王!?」
「なんだ、体が・・・」
「怖い・・・怖い!!」
その声を聞いたもの、その姿を見たものは全員金縛りにあったかのように動けなくなってしまう。
「ど、、どうした、みんな!?」
一歩は周りの様子を見て、狼狽える。
「あ、、、あきまへん。あの人はやばいで・・・」
「ちっくしょう・・・、体が動かねぇ・・!」
一歩の近くにいた五十嵐さんと二神が答えてくれるがその表情はとても苦しそうなものだった。
「ど、どういうことだ」
周りにいる兵士や城門や城の中にいる人間達もすべて動けなくなっていた。
中には気絶してしまっている者もいる。
「ほぉ、貴様は動けるのか。骨折り損かと思ったが、来た甲斐はあったもんだな」
第1魔王と名乗った男は唯一動ける一歩へと近づくと話しかける。
「お前がやったのか!!」
「そうだ。我の固有スキルだ」
「固有スキルだと・・・、じゃあお前は転生者なのか!?」
「そうだ。魔王であり転生者だ。質問ばかりでつまらん、我は闘いに来たのだ。闘えるのは貴様だけだ、闘ってくれるんだろう?」
魔王はニヤリと笑うと長剣を抜く。
「くっ、闘ってやる!」
一歩は剣を構えるが、構えた瞬間にはふっ飛ばされていた。
「があっ」
「弱いな?ガッカリさせるな」
「い、一体何が・・・」
全く攻撃が見えなかった。
最初、何かのスキルかと思ったがすぐに気づく。
根本的にステータスが違うのだ。
魔王は単に速い攻撃を一歩へと仕掛け、一歩はそれに対応出来なかったという事だ。
「つ、強い・・・」
たった一撃でここまでの差を見せつけられ勝ち目はないと諦めかけた時、自分の固有スキルを思い出す。
「やってみるしか!」
一歩は剣を支えにして、立ち上がる。
そして一歩は心の中で念じる。
固有スキル【勇気ある者】
一歩はステータス画面を開きどうなっているのかを確認する。
名前:一ツ橋 一歩
職業:勇者
年齢:27
LV:45
HP:420 → 2100
MP:135 → 675
SP:100 → 500
力:134 → 670
体力:145 → 725
器用:112 → 560
敏捷:121 → 605
知力:109 → 545
対魔:115 → 575
幸運:78 →390
【固有スキル】
勇気ある者(敵の強さに比例してステータスが向上する。発動中はSPを消耗する)
└勇猛(恐怖が取り除かれる)
【スキル】
剣術Ⅵ
盾術Ⅳ
指揮術
魔力操作
├魔力操作 - 集
└魔力操作 - 散
【称号】
転生者
魔物殺し
剣の達人
勇者
強大な魔王を相手に、【勇気ある者】がステータスの向上をさせてくれる。
ステータス向上のおかげか体に力が漲ぎってくるのが分かる。
「貴方が転生者だろうと、関係ない。今ここにいる人を守るのは勇者の使命だ」
「ほぉ。ならば構えろ。我は逃げぬ。剣で我に応えろ」
剣を構えて、魔王へと向かう。
ガキンっ
魔王は剣を受け止め、鍔競り合いになる。
「なるほど。それが貴様の固有スキルか。一時的にステータスを向上させるものか、はたまた相手次第で能力を変化させるものか」
力で押し出された一歩は距離を取る。
「なるほど、おもしろい。そのスキルの代償効果か何かで恐怖が麻痺でもされてるのだろう。通りで我の固有スキル【壱意専心】が効かぬのか」
魔王の目を睨みつけ、じりじりと間合いを図る。
そして剣で打ち合う。
「気に入った!貴様には見処がある!」
「くっ、お前の思いつきでこの国を滅ばされる訳にも、俺が殺られる訳にもいかない!」
固有スキルのおかげで先ほどよりマトモに闘う事は出来ているが、それでも魔王の方が実力は上なのは明白だ。
一歩は改めて魔王の強さを思い知らされる。
「なんて強さだ!」
「我は魔国において、力の象徴だ。どの魔王よりも戦闘力では負ける気はしない」
魔王は剣に魔力を乗せ、放つ。
「くおおお!」
一歩はそれを防ごうと剣を縦にし構えたが吹き飛ばされる。
「くそが!何でお前なんだよ!俺にも力があれば、こいつと戦えるってのによぉっ!!」
二神は魔王と唯一闘える一歩を見て、憎々しげに己の弱さを吐く。
「一歩くん!!早う起きいな!!やられるで!!」
「か、体が・・・。どうやら俺の固有スキルの使用限界みたいです・・・」
一歩は固有スキルを初めて使ったことも有り、不慣れなせいか解除してしまった。
「どうした立たないのか?もっと我を楽しませてくれ」
魔王はゆっくりと倒れた一歩へと向かってくる。
「あかん!一歩くん、立つんや!」
このままでは一歩は魔王によって殺されてしまう。
「ええい、動かんかワシの足は!」
五十嵐さんは力を込めようとするが、魔王のスキルの影響で力を込めるのも難しかった。
固有スキル【絶対の守り】
五十嵐さんは駄目元で固有スキルを発動する。
「くっ」
五十嵐さんは気づく。
先ほどの縛られるような感じはなくなっていると。
「おおおおおお!」
五十嵐さんは気合で立ち上がると、魔王へと向かい始める。
本来の五十嵐さんの固有スキルは発動中動けなくなるというものであるはずなのに。
「任しときぃ。ワシが守ったるで・・・!」
亀のような歩みで一歩の前へと立つ。
「今度は貴様の番か。その動きの遅さ、まるで亀ではないか。そんなので我を倒せるのか」
「ワシは亀でええ!ワシがするんは、守ることだけや、このド腐れ外道魔王が!!!」
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