036_別れ
「いててて・・・」
「飲み過ぎだなぁ、こりゃ」
「何で俺より遥かに酒を飲んでいた師匠は平気なんですか?」
「そりゃ酒は英気を養う飲み物よ、それで体は壊さねぇよ、ハハハ」
根本的に体の作りが違うのだろう、気にしてもしょうがない。
俺は頭をさすりながら、馬車に乗る。
「いい事を教えてやろう」
「何ですか?」
馬車に乗ると師匠は俺に何かを教えてくれる。
「魔力操作使えるんだろ?それで体の毒素を取り除くイメージで循環させてみな」
俺は師匠に言われたとおり魔力を体内で操作する。
鈍ってるところを感じそこを流すような感じで循環させる。
「あれ、頭痛が良くなった気が」
「魔力操作で体内の毒素を取り除く事が出来る」
「ありがとうございます。通りで師匠はころっとしてるわけですね」
「俺は特にそんなことをしなくても、あの量じゃ二日酔いにならん」
やっぱり根本が違うみたいだった。
「ほれ、それより、別れの挨拶だ」
指を挿した先には、皆がいた。
「みんな・・・」
「やぁ、京。君には本当に世話になったよ。おかげで夢に近づけた」
「あぁ、そう言ってくれて俺も嬉しい」
「指揮術、今では京並に使える自信があるんだ。後は僕もCランクになって、ある程度の依頼をこなせるようになったら実家の商隊編成をしようと思う」
「そうか、うまくいくといいな」
エルクは手を差し伸べると俺はそれを掴み、固く握手を交わす。
「京…」
「キュウル、もっと魔法の腕が上達して師匠に追いつけるといいな」
「頑張る…。ありがとう」
「ああ!」
「最後に、私の師匠は賢者ナツ。孤児だった私に魔力の使い方と魔法を教えてくれた」
「賢者?」
「そう、この世界で唯一魔術を使える人間。京は魔法より魔術の方が使えそうな気がする。もしどこかで師匠に会えたら魔術の使い方を聞くといい」
「そうか、わかった!」
「でも教えてくれないかも…」
「前途多難なのは・・分かった」
俺はキュウルに手を差し伸べると、握手を交わす。
「う゛う゛う゛、私もいくーーー」
みんなでパショネを押さえる。
「まぁ、パショネは心配していない。何だかんだ強いし、すぐにランクも上がる」
「そうだけど、、、さ゛し゛いよ゛ぉぉー」
「また俺が戻ってきたらパーティを組もう」
「うん、、うん、、、わかった!」
パショネは皆に押さえられていたので、代わりに頭を撫でておいた。
「ホントに君はおもしろいねぇ」
「ピエールさん」
「君が帝国に行くってのは聞いたよ。ヒッグさんの話じゃ、相当忠告を受けたみたいだから僕から言うことはないけど」
「ええ、まぁ」
「ひとつ、頼みをしていいかい?」
「俺で出来ることなら」
「レスカ家の人間を見つけたら、助けてあげて欲しい。どんなことでもいい、困ってることがあったら君が出来る範囲で」
「わかりました・・・。けど」
俺はピエールさんが自分でやった方がいいのでは?と言いかけるが、先に言われてしまう。
「僕じゃあ、駄目だ。僕は守る事が出来なかったからねぇ。僕はここで冒険者としてやるので精一杯だ。帝国に戻れば、僕は復讐者としての道しか考えられないから」
「わかりました。ピエールさん、あなたには本当に世話になりました」
「気にしなくていいよぉ、魔銀の剣、大事にしてくれよ」
「はい!」
ティナさんも来るかなと思ったが、冒険者ギルドの受付業務がある為来られないそうだ。
ヒッグさんの伝言では帝国に言っても、女性に靡いたり、変な遊びを覚えたりしない事と釘を刺される。
昨日の宴会で同じ話を延々されたはずなんだが・・。
他に見送りに来てくれた人に挨拶をする。
またパショネに抱きつかれたが、エルクが引き剥がしてくれた。
さすがに時間なのか馬車の御者が急かす。
「旦那方、そろそろいいですかい?」
「ああ、頼む!」
「それじゃあ、また!」
俺は馬車の中から、皆に手を振る。
俺は自分が強くなったら、必ず皆に会いに戻ってこようと心の中で誓う。
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