034_決着
「おい!」
勝負を放棄したのかとヒッグさんが声をあげる。
「いや、待て!あの構えは」
俺が素手で構えたのを見て、師匠が止めてくれる。
「ここにきて、殴り合いに変えるとはねぇ。多芸を通り越して多才だねぇ」
「次で終わりにします。俺が持てる最高の一撃です」
せっかくもらった魔銀の剣でも全開の魔力量には耐えられなかった。
インド人により無理やり教えられた拳での突きならばどんな防御でも穴を穿てる。
俺は魔力を溜め、それを拳へと集める。
「僕も最高の一撃で終わらせてあげるよ!」
ピエールさんが加速する。
今まで以上の速さだ。
ピエールさんの足からミシミシと音を立てながら加速する。
おそらく義足を考慮して制御していたのだろう。
勝負も大詰めとなった今、構わず突っ込んでくる。
「それならば、致命傷を避けるだけだ!」
俺はピエールさんの高速で迫ってくる剣をバックラーで庇う。
だがその勢いに負けてしまい、腹部を切られる形になる。
「ぐっ、これでおしまいだ!」
俺は拳をピエールさんの脇腹へと放つ。
「がはぁっ!」
ピエールさんに一撃入れられた。
だが、俺は膝を着き倒れる。
ピエールさんは脇を押さえながら、剣を支えに膝を着かないようにしている。
何とか体制を立て直し、俺に剣を突きつける。
「み、、、見事だよ」
「そこまでだ!両者とも早く回復を!」
ヒッグさんが試験の終了を告げる。
「終わった・・・」
俺は安堵し、意識を失う。
ピロン
第5勇者が討たれました。
討伐した第1魔王と第3魔王にステータスが分配されます。
固有スキルは抽選になります。
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六花が机の上にそれを取り出す。
ドンッ
「でかいなぁ、、、何だこれ?」
「えっと、これはですね。私のドワーフの師匠と共に共同開発した魔導機関です」
「魔導機関?」
「はい、魔力を燃料に動くエンジンって所ですね。私、前世の授業で蒸気機関を覚えたばかりでそれを師匠に伝えたらコレを作ろうって事になって」
「ほぉーーー、これはこの異世界での技術革命になるで!」
五十嵐さんは目を丸くして驚く。
今まで見てきたこの異世界の文化では機械に該当するものはほぼ存在していなかった。
魔法が発達しているのもあるだろう。
もしこの魔導機関が普及すれば、大きな発展になることは間違いない。
「でも、これどうするんだ?」
「んー、どないします?」
「私はみなさんなら何か思いつくかなと思ったんですけど」
「車って思ったんだが、、、馬車が往来する中で走らせたら人の目もつくし事故にもなりかねないよな」
「まぁ、そうやろなぁ」
「列車ならどうだ?」
「それなら各国に協力してもらえれば、実現は可能やと思いますなぁ」
「列車、いいですね!魔導列車ってところですね!」
どうやら六花は列車案が気に入ったようだ。
「まぁ、でも列車ならレールが必要だ。それをレールを敷くのに何年かかるのやら・・・」
「それなら、京さんが魔術を使えばええんちゃいますの?」
「まじか・・・」
自分で言い出しておいて後悔する。
「まぁ、そんな事言わないで、×××・・・」
「え!?」
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「夢か・・・」
にしては妙にリアルな感じだった。
「おう、起きたか!」
「だから、顔が近いですって」
俺は試験の後、気を失いギルドの治療室へと運ばれたようだ。
「ハハハ、いつも通り大丈夫そうだな」
「ピエールさんは?」
「ああ、お前さんより傷が深くてな、まだ起き上がれないみたいだ」
「そう・・・ですか」
「やり過ぎたなんて思うなよ?お前さんはやれることをやった、それだけは間違いないんだから。それに治癒師の話じゃあ、傷は完治してるし後遺症が残るとかはないそうだ」
ピエールさんに手傷を負わせた事に俺は心配をする。
そんな俺を見兼ねて、師匠が俺にそう告げてきた。
「そう、、、ですね、良かった」
「そう気落ちするな!後でヒッグから通達はあると思うが、まぁ問題なく合格だろう」
「そうなんですかね、最後の最後でピエールさんには負けました」
「これはあくまでも試験だ。別に倒さなくてもいいんだ」
「まぁ、何か色々言われたんで、負けたのはちょっと悔しく思いまして」
「ハハハ、いいじゃないか!そう思うことは悪いことじゃない!」
「まぁそういうもんですかね」
「まだ本調子じゃないんだろう?もうしばらく横になってろ」
「はい、そうします」
俺は再び目を閉じるとすぐに眠りについた。
今度はさっきみたいな夢を見ることはなかった。
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