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キリングワンアナザー ~8人の勇者と4人の魔王~  作者: 日進月歩
第一章 王国・公国篇 旅立ち
34/119

033_Cランク冒険者の実力

ピエールさんはかなりの実力者だ。

前の昇格試験で、オークジェネラルと渡り合う程の腕前を持っている。

俺は師匠の教えの通り、奇襲を仕掛ける事にする。


「先にやらせてもらいます!」

魔力操作し、足に込めて加速する。

剣を抜剣しピエールさんへと突っ込む。


ファントムアタック。


「やはりそれで来たねぇ」

殺気に惑わされないよう、ピエールさんは俺を目で追いながら剣撃を受け止める。


「まさか、君の技を僕が受ける日が来るとはねぇ!」

そのまま押し返され、距離を取ろうとするがすかさずピエールさんは距離を詰める。


「一息つく間を与えないよぉ!」

ピエールさんの攻撃を躱す。

次の攻撃は躱せず手に持ったバックラーで防ぐ。


「くっ」

「剣の腕ではさすがに僕のほうが分があるねぇ」

左手にダガーを持ち、応戦する。

二刀で応戦するも、ピエールさんの剣閃の方が早く圧されてしまう。


「二刀でやっと僕の剣を受けれる程度だ。このままでは勝ち目はないよぉ!」

ピエールさんの剣筋は流れるように動く。

おそらくだが、敏捷ではピエールさんより俺のほうが速い。

にも関わらず、剣では圧倒的にピエールさんの方が早いのだ。

剣においてはピエールさんと俺とでは実力が違いすぎる。


俺は魔力を貯める。


ファントムアタック以上の魔力を。

加速し、ピエールさんを詰める。


「くっ、またか!」

ピエールさんはファントムアタックを見切ろうと見定める。

右の剣撃に殺気を込め、左のダガーでも殺気を込め、左右に殺気を放つ。


「なっ、殺気が二つ!?」

二つ目の殺気に反応してしまったが、すぐに立て直してくる。

俺は気にせず、斬りこむが防がれてしまう。

回転してダガーで斬りかかるが、かすっただけになってしまった。


「はぁっ!」

体制を立て直したピエールさんの突きが迫る。

俺は半身で避ける。


「本当に君には驚かされるねぇ」

絶好のタイミングでしかけたが防がれてしまった。

再び接近戦での打ち合いになるがじりじりと距離を詰められ、ピエールさんへの間合いへと誘導されてしまう。


「くそっ!」

中途半端に距離を取ると詰められ、ピエールさんに有利な戦い方を強いられてしまう。

足に魔力を込め、思い切り後ろへと下がる。


「距離を取っても無駄だよぉ。逃さない!」

先ほどよりも距離を取るが、間合いを詰めようとピエールさんが迫ってくる。

俺はアイテム袋に意識を移し、剣を収納する。

そしてアイテム袋から鉄の槍を取り出す。


ブンッ


「おおっとぉ!」

俺の槍でのなぎ払いは躱されてしまう。


「まさか、槍までも使えるようになってるとはねぇ。君には驚かされるねぇ」

槍の切っ先で連続突きを放つ。

躱しつつ、剣で捌かれる。

俺はギルドポイントを貯める間の依頼で、槍を買い練習をし槍術Ⅲを取得していた。

先ほどとは打って変わって、槍に警戒してかピエールさんも無理に間合いを詰めてこない。

槍と剣では槍の方が武器として相性が優っているのをわかっているからだ。


「さっきとは違い、こっちが有利になりましたね!」

「武器の相性まで把握してるなんてねぇ。最初から槍で攻めていれば防戦一方にはならなかったんじゃないのかい」

「まぁ、そうなんですけどね。ピエールさんの剣を受けたかったんですよ!」

「なるほど。試されているのは僕の方だったのかもねぇ」

またも距離を詰め、槍の内側に入ってくる。

だが無理に間合いを詰めたせいかピエールさんは剣を構えきれていない。

俺は槍から片手を離し、ダガーをつかみ振るう。


「くっ」

危険を感じたピエールさんに避けられる。


「僕の行動を読んでるねぇ。間合いを詰めさせないで、自分に有利なように戦いを持っていく。まさに僕がやっていたことを覚えて実戦に取り込むとはねぇ」

「言ったはずです、やれることをやっているだけだと」

今度はピエールさんが距離を取る。


「いい加減、俺の実力は分かってもらえたんじゃないですかね?」

「ヒッグさんは何も言ってないだろう?つまり、そういう事さ。それに君と戦うなんて絶好の機会だ、みすみすこんな所で終わって欲しくないねぇ」

「何でそんなに俺と戦いたがるんですか?」

「まぁ、剣士としては強者を求めるのは必然だろう?それに・・・」

「それに?」

「君は勇者かもしれない」

「え!?」

「ふふふ、いやぁそうだったらおもしろいなと思ってねぇ。もしかしたら魔王かもしれないし、魔人の類かも」

「揶揄ってるんですか?」

「いやぁ、大真面目だよぉ。君は特別だ。僕や君の仲間達とは違う何かを持っているそんな気がするんだよねぇ」

「買い被りすぎです」

「いや、そんな事はない。現に君はたった3ヶ月前までただの新人だったのに、今は僕を追い詰めている」

ピエールさんは剣を構えたまま、俺の動きを見逃さずに目で追っている。


「君はこの試験に合格したらこの国を出るんだろう?」

「ええ、その予定ですよ」

「次に会う時は僕は足元にも及ばない強さを手に入れてると思うんだよねぇ。その成長の早さ、ハルエルさんをもいつか越えられるだろうねぇ」

「そんな事は・・・」

「ないとは言い切れないわけだ。君は気付くべきだよぉ」

「俺は、、、やれる事をやってるだけです。そんな特別な何かがあったとしても、俺は自分が特別だとは思えないです」

「やれやれ」

ため息をつくとピエールさんは剣を降ろす。

そしてズボンの裾をめくる。


「義足・・・?」

「そう、、、昔のとある事件の時にねぇ。それまで僕は帝国の騎士団にいたんだよ。そこそこ名の知れた方ではあったかなと自負はしていたけど、その事件の時に足をやられてねぇ。僕は守らなければいけない方を守る事が出来なかった。騎士の矜持を踏み躙られた思いだった。僕は事件の首謀者も己の弱さも激しく憎んだよ」

ピエールさんが昔、騎士だったとは。


道理で他の人よりも綺麗な剣捌きをしている訳だ。

その足で冒険者になりCランクまで上り詰めたのは並大抵の事ではない。


「何が言いたいって、つまり後悔して欲しくないという事だよぉ。もしあの時の僕が君ならばきっと復讐者となって誰も止められる人がいなくなるんではないかと思う」

俺は否定出来なかった。

過去の、前世を振り返っても俺は出来た人間ではない。

もしこの世界で大事な人が出来、それを失ったら復讐者として成り下がるだろう。


それでも!


「俺は強くなって、目の前にいる人くらいは守れるようになりたいです」

俺は槍をしまう。

お読み頂き、ありがとうございます。


毎日22時更新予定。

感想・レビューお待ちしております。

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