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キリングワンアナザー ~8人の勇者と4人の魔王~  作者: 日進月歩
第一章 王国・公国篇 旅立ち
33/119

032_Cランク昇格試験

「増々強くなってるな、お前さんは」

「そりゃ、どうも!」

いつもの師匠との修行中に、師匠がふとそんな事を漏らす。


「ふぅ、こんなものか」

互いに剣をしまう。

最近の修行は、打ち込み自体は変わらないが木剣から真剣に変わった。

狩りで普段から真剣を使ってる俺は大丈夫だろうと思ったが、人を相手に真剣で打ち合うというのは重みが違う。

師匠はそれに慣れる為の修行でもあるといい、俺は続けていた。


「お前さん、覚えているか?」

「え、何のことですか?」

「Cランク・・・、もうすぐだろ?」

「えぇ、あとちょっとですね」

「お前さんがCランクになったら、この国を出る」

この国に来て、3ヶ月程だろうか。

知り合いも増え、冒険者ギルドでの生活も順調だった。

俺にとって、この国は居心地が良くなっていた。

だから考えないようにしていた、この国を出る事を。


「やっぱりな、、、ちょっとこの国が好きになり始めてるんじゃないか」

「まぁ、そうですね。その、前に言ったじゃないですか記憶がないって」

「ああ」

「師匠に出会って、ここに連れて来てもらって。色々ありましたが冒険者としてうまくやれてる。それに仲間も出来た」

「そうか」

「やっぱり離れるとなると、寂しく思いますね。何ていうか、、、居場所があるっていいなって感じてます」

「この国にいたいか?」

「この国にいて、師匠を越えられるならそうします。けど、それは無理だ。師匠についていくのが一番いい」

「強くなりたいか。強くなったらどうするんだ?」

「さぁ、そこまでは考えてなかったな。強くなれば、パーティ組んだ時迷惑かけないかなとか」

俺は笑いながら話した。


「ハハハ、お前さんらしい!次は帝国に行く。この国の後だからな・・・帝国はこの国よりも結構擦れてるからな、そこは覚悟した方がいい」

帝国か。

帝国と聞くとあまりいいイメージがないのは、前世での知識からだろうか。

他国へ行く以上は覚悟をしっかり持ってた方がいいと再認識する。


「分かりました。美味い酒があれば平気ですよ」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



それからさらに一週間経った。

いつも以上に依頼をこなし、ついに俺はギルドポイントを1000まで貯めた。

そして昇格試験の申し込みをする。


「早いな・・・!こんなに早く昇格するのはハルエル以来だな!いいだろう、今までの実績!人格にも問題なし!試験を受ける事を許可する!」

ヒッグさんは俺の申請を受け取ると、試験を快諾してくれた。


Cランク昇格試験―純粋な戦闘力を見るのが、今回の試験の要だ。

Cランク以上の依頼は内容も激しさを増す。

モンスター相手だけではなく、軍からの依頼で戦争幇助などで人間を相手にする事もある。


試験内容は決闘。

ギルドマスターの立会のもと、Cランク冒険者 または Cランク相当の人物と戦い実力が認められれば合格となる。


「どうする、都合が着けば明日にでも試験を開始するが?」

「ええ、お願いします。鉄は熱いうちに打てと言いますし」

「そうだな、分かった。明日の朝にギルドの訓練場へ来い!」

俺は明日へ向け、覚悟を決める。

早々対戦相手が見つかるのかと思ったが、ティナさんの話によると冒険者ギルドからの依頼でCランク冒険者に向けて発行されるそうだ。

だから当日まで誰が来るかは分からないのが鉄則だ。


「いよいよか」

「ええ、ついに明日でCランクになります」

「ハハハ、もうCランクになる気でいるらしいな」

「え、ああ、そうですね。これで落ちたらちょっと恥ずかしいな」

「まぁここまで上り詰めたんだCランク冒険者相手でも引け劣らないさ」

「そうだといいんですが」

「CランクとDランクでは大きな壁がある。何だと思う?」

「ええっと・・・、戦闘経験の差ですか?」

「近いが違うな。対人戦の経験だ。人を相手にした事あるかだ」

「対人戦ですか・・・」

今思えば、モンスターを相手に戦って来たが人はなかった。

盗賊でも相手に出来るかなと思ったが、こう治安の良い場所だと盗賊は滅多にいない。

その上、盗賊が出ればCランク以上が駆除してしまうおかげでDランク以下は盗賊と戦う事はほとんどないそうだ。


「俺との打ち込みで人を相手にするという心構えは出来てると思うが」

「ええ・・・そうですね。でもきっと大丈夫な気がします」

俺はこの世界に来てからの変化を思い出す。

どんな恐ろしい目に合っても、俺は動じていないのだ。

この感覚のせいで俺はどこか、覚めない夢を見てるような気分になってしまっていた。



翌日になり、指定された冒険者ギルドの訓練場へ行く。

すでにそこには俺が本日戦う試験官が待ち構えている。

その相手はピエールさんだった。


「やぁ、京くん。久しぶりだねぇ」

「まさか、ピエールさんが相手だなんて」

「意外かな?今回、君が試験を受けると聞いて、ヒッグさんに頼んで対戦相手にさせてもらったのさぁ」

「何故ですか?」

「んー、まぁ、前の試験の時の成長ぶりを見て、僕にどれくらい追いついたか知りたかったからかなぁ」

正直、知ってる相手と戦いになるとは思っていなかった。


「やりづらいかい?そう思ったからこそ、僕が志願したんだよぉ。戦う相手っていうのは何も悪人やモンスターだけじゃない。知り合いと剣を交える事はある。急激に成長してるんだ。そういった人はレベルは高いけど心が未熟な人もいるからねぇ」

ピエールさんは心の隙を突こうとしてくる。

この試験、思ったよりも手強くなりそうだ。


「まぁ、やるしかないでしょ。試験は倒せではなく、実力を示せですからね」

「その通りだねぇ。やってみないことには・・・だけど」

ピエールさんは普段以上に俺に絡んでくる。

きっとこの試験に、俺が試験を受けることに何か思う所があるのかもしれない。

俺が試験を受ける事は一日でギルド内で知れ渡ったらしく、ちらほらと観戦者がいる。

その中に見知った顔を見つけたので声をかける。


「お前ら、来てたのか」

「もちろん、僕らのパーティのリーダーの昇格試験さ。気にもなるよ。それにこの短期間で二つもランクを上げるなんて前代未聞だしね」

「京なら、大丈夫だよ!きっとピエールさんにも勝てるよっ!」

「無事に見届ける…」

「ありがとう、正直あのピエールさんだから勝てるかは分からないけど。やれるだけやってみるよ」

俺は気を取り直して、ピエールさんの方へ向かう。


「心構えは出来たかなぁ」

「ええ、もちろんです」

「それではヒッグさん、説明をお願いします」

「うむ!Cランク昇格試験だ。内容はピエールを相手に実力を示せれば合格だ。使う武器は自由だ。怪我をさせた場合はうちの治癒師が回復をさせるから遠慮なくやるといい」

「分かりました」

「双方、いいな!」

俺は静かに頷く。


「それでは、はじめ!!」

お読み頂き、ありがとうございます。


毎日22時更新予定。

感想・レビューお待ちしております。

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