031_初デート
およそ二週間ぶりに公国首都へと戻る。
師匠を始めとした、色々な人に行方不明として心配されてないか不安だったがそんな事はなかった。
どうやら師匠が謎のインド人に説き伏せられ、一時預けているとギルドに報告してくれていた。
知り合いなのか聞いてみたら、あんな気味の悪い男が知り合いなわけないだろうと笑いながら一蹴された。
「これで、838Pになりました。Cランクまであと少しですね」
「ああ、そうだな」
インド人との旅で結構な数を倒していたのも有り、一気にポイントを稼げていた。
Cランクまで後少しだ。
「京くん…Cランクになったらこの国を出ちゃうって本当ですか?」
「ん、ああ、そういう事になってるけど・・・」
そう、俺はCランクになったら公国を出る予定だ。
ヒッグさんやティナさんを始めとした冒険者ギルドの皆や、パーティ。
他にも街での知り合いも少しずつ増えていった。
知り合いが増えれば増えるほど、何だか寂しさを感じ始めていた。
「京くん?」
「ああ、ごめん、ちょっと考え事を・・・」
「その・・・、京くんは私を一度も誘ってくれないの?」
「え、え、え!?」
突然の事に、俺は変な声を出してしまった。
ティナさんは冒険者ギルドの花だ。
公都で色々な人を見てきたが、ティナさんは相当な美人の部類だ。
そんな人が俺に誘って欲しいと、面と言われるなんて冗談じゃないかと思っていたが。
そんな戸惑っている俺に後ろから野次が飛ばされる。
「く、くそ、またあいつか!」
「まさかティナちゃんの誘いを断るのか、あいつは!?」
「闇討ちだ・・・闇討ちしかねぇ」
何だか、野蛮な声が聞こえるが、、、
「あの、分かりました!行きましょう!」
こうしてティナさんとのデートが決まった。
待ち合わせ場所に早く着いた俺はティナさんを待つ。
こうして思えば、前世で彼女がいた事はあったが向こうから誘われるデートなんて初めてだ。
しかも相手はかなりの美人。
正直、なんで自分なんかがと思ったが、それは本人に聞いてみようと思う。
そんな風に考え込んでいると声をかけられる。
「京くん?」
「あ、ティナさん」
ティナさんは可愛らしいドレスに身を包んでいる。
「どうかな、似合う?」
「え、ええ、似合ってます!」
や・・・やばい、緊張してきた。
「そのとりあえずどうしましょうか?」
「んーそうね、どこでもいいわよ。京くんのおすすめのお店とかある?」
「おすすめか・・・。俺、モンスター討伐しかしていないから公都のお店ってあまり分からないんだよな」
「ふふふ、まぁそうよね。聞いた私が悪かったわ」
こんな事なら、エルクかピエールさんにでも相談しておけば良かったと後悔する。
「んー、じゃああそこはどうかしら。この間オープンしたばかりで人気らしいよ」
ティナさんが教えてくれたのは公都の大通りに最近出来たばかりのお店だ。
貴族がいないこの国では格式高い店よりも、雰囲気が良く食事や酒が楽しめる店の方が好まれる。
「じゃあ、そこにしましょう!」
「ふふふ、京くんがいいならそうしましょ」
俺はティナさんに連れられ、お店を目指す。
「そういえば、何で俺なんです?ピエールさんの方がイケメンですし、腕っ節ならもっと強い人が多いと思うのですが」
「ピエールさんはその・・・。他にも女性が多そうだし」
ティナさんは笑いながら俺にそう答える。
「京くんって自分で思ってるよりモテてるよ?冒険者としての実力もあるし、顔だって悪く無いわ」
「え?俺が?」
全く自覚のない事を言われて驚いてしまう。
「ええ、そうよ。最初はハルエルさんの弟子という事で、みんなどんな人なのか気になっていたけど。今の実力はあなたが勝ち取ったものよ」
「そ、そうなんだ・・・」
道理で、公都に来た時にやたらと視線を感じてた訳だ。
「もちろん私はそんな京くんを気にいったからなんだけど」
「あ、ありがとうございます!」
こんな面と向かって言われると恥ずかしすぎる。
「さぁ、着いたわね」
扉に手をかけると、中にいたボーイの人が気付いたのか扉を開けてくれる。
「へぇ、いい感じだ」
店内はお洒落な雰囲気だが、格式張ってなくて入りやすい。
「まぁこんな店、男の俺が一人で来るのも変か」
「じゃあ、行きたい時はまた誘ってよね」
ちょっとずつだが、ティナさんと仲良くなれてきた気がする。
「失礼、京様でいらっしゃいますね」
ボーイの人から名前を呼ばれる。
「え、あー、そうですけど」
「お待ちしておりました。どうぞこちらに」
え、何の事だ。
ボーイはすたすたと席を案内していく。
「あら、もしかして予約してたの?良くこの店に行くと分かったわね」
ティナさんも驚いているが、俺が予約をしたと勘違いしている。
何にせよ喜んでいるのなら黙っておくしか無い。
しかし、、、何だか嫌な予感しかしない。
「どうぞこちらです」
ボーイは席の前に着くと椅子をひいてくれる。
「遅かったね、京!」
「結構待った」
「や、やぁ、京」
そこにはいつものパーティの皆がいる。
「え、どういう事だ!?」
「ふっふっふ、どういう事も私とはデートしないのにティナとはデートするなんて」
「不公平」
「ごめん、京。これでも止めたんだよ、これでも・・・」
つまり、俺とティナさんのデートを阻止しようとパショネとキュウルが計画したのだろう。
「京くん、これはどういう事かな?」
ティナさんが笑いながら怒ってる・・・。
恐い。
「い、いやぁ、これは」
俺が焦っていると、ボーイがやってくる。
「お連れのお客様がお見えです」
「え、連れ!?」
頼む、これ以上面倒な事を増やさないでくれ。
「やぁやぁ、お待たせしたかな諸君。京くん、君にだけはティナを渡したくはないからねぇ」
また面倒な人・・・ピエールさんがやってくる。
「あら、ピエールさん。私は何度もあなたのお誘いをお断りしたはずですけど?」
「そんなぁ!僕には君しかいないんだよ。どうだろうここよりいいお店を予約してあるんだ」
「いきません!!」
もう訳が分からない。
「京、いいから私の隣に座って!」
「ずるい、京は私と魔道の話に興じる」
「まぁまぁ、間に座ってもらえばいいじゃないの」
エルクがうまくまとめようとするが、話をややこしくする。
「ああー、どうなってるんだ・・・。もういい!とりあえず酒だ!」
もうどうにでもなってしまえと俺は酒を一気に煽る。
「あら、京くんの飲みっぷり。冒険者らしくて素敵よ」
「京はお酒つよい!」
「すいません、とりあえずエールをどんどん持ってきてください」
俺の初?デートはめちゃめちゃになってしまった。
お読み頂き、ありがとうございます。
毎日22時更新予定。
感想・レビューお待ちしております。
誤字・脱字も報告頂けましたら対応致します。




