028_アスガルド王国での日常2
「今我らがいるのが、アスガルド王国。右隣にミズガルズ公国。さらに右隣がヴァナヘイム神国となります。そしてその3国を囲うように南に隣接しているのがニヴルヘイム帝国となります」
アスガルド王城での大きい会議室にて、大臣がこの大陸の説明を行っている。
席には勇者たちが並び、この世界の地理について勉強をしているが、第一勇者の席だけは空席となっている。
「あぁ、こんなのはいいんだよ!俺も一歩と同じく、討伐任務に当たらせてくれ!」
授業に飽いた不良のように喚きちらす二神。
「そんな事言わないで、地理は重要だわ。そんなに嫌ならここから出ればいいじゃない」
妨害をされた事に腹を立てた四恩が二神に文句を言う。
「ちっ、勇者の本分は魔王を倒すことだろ!勇者である俺らのレベルを上げなきゃ意味ないだろうが?」
王城に連れてこられてからというもの、城内にて訓練を積んでいるとは言え、実戦にいきなり出すのは難しいと王国は判断した。
王国の騎士団が勇者一人一人を実戦に赴かせ、レベルアップを図るという事でモンスター討伐に行く事になり、まずは一歩から行かせていているのだ。
「二神くんの言う事は最もなのですが、順番に討伐任務に行かせようという話じゃないですか。待ってれば行けるので、今は出来る事をやるのが優先じゃないでしょうか」
「わーってるよっ!」
三上の反論に答えるのが面倒なのか、机に足を乗っけて大臣の勉強を聞くだけの姿勢を見せる。
「あの、、、続けてもよろしいでしょうか」
「お願いします」
「先ほどお伝えした、アスガルド王国・ミズガルズ公国・ヴァナヘイム神国・ニヴルヘイム帝国は大陸の西部を占めており、人族の領域と呼ばれております」
「大陸の東側には何があるのでしょうか」
「はい、大陸東にはニダヴェリール共和国・アルフヘイム皇国などがありますね。ニダヴェリール共和国はドワーフが治める国でアルフヘイム皇国はエルフの治める国です」
「エルフにドワーフ・・・」
二神を除く、皆は多種族に出会える事を夢見ているようだ。
「ニダヴェリール共和国とは国交があるのですが、アルフヘイム皇国はいつの頃からか国交が無くなりました。人族の国ではおそらく国交はないかと思われます。そして、大陸の東端はヨツンヘイム魔国。魔王が治める国になります」
「一番端にあるんですね、、、」
「僕らが他の国に行くことはあるんですか?」
「魔王の国に行く際にはいくつかの国を通る事になるでしょう。また六花様などはスキルがものづくりに特化してることからニダヴェリール共和国から誘致したいと来ております」
「ほんとですか?ドワーフの国は興味があります!」
六花はドワーフ・・・というより物を作る職人が多いニダヴェリールに興味があるようだ。
「まぁ、もうしばらくレベルを上げてからという事になりますが…」
どうにも大臣…いや王国は勇者を外に出すのを避けている雰囲気があり、勇者たちはそれに気付いていたが保護してくれた王国に対して堂々と突っ込んではいなかった。
だが、その雰囲気を察した二神が声を荒げながら口を開く。
「なら、今すぐ行かせればいいだろう!?俺も外に出れるんならドワーフの国とやらについてくぜ!」
「し、しかし、勇者を連れて行くとなるとそれなりに護衛が必要になります!まだ騎士団は戻ってきおりませんので、もうしばらくお待ち下さい!」
王国内ではこう言ったやり取りが常日頃行われており、二神だけではなく、みんなも外に出られないストレスが溜まっていた。
大臣が話を終えると、皆それぞれ席を立っていく。
だが、第7勇者と呼ばれた七乃花だけは席を立たずボーッと窓を見つめ続けていた。
「ごめんなさい、七乃花…」
「・・・いえ、気になさらないで下さい。姫様がこうして気にかけて頂けるのは私にとっても嬉しいです」
「京さまはおそらく、王国内にはもういません。騎士団の何人かに調べて頂いたのですが王国内では見つける事が出来ませんでしたわ。父も・・・いえ王も気になさって、ミズガルズ公国の大公に京さまを見つけ次第確保して頂きたいと早馬で書状は出していただいてますわ」
「そう・・・ですか。じゃあ、国外にいるかも知れないという事ですね。ありがとうございます、姫様…」
姫の話が終わると、七乃花はまた窓を見つめる。
今すぐにでも、探しに行きたいのだろうが王国が外に出してくれない限りはここで待つしかないと諦めるしか無かった。
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最近の俺の日常はテンプレート化していた。
「じゃあ、師匠いってきます!」
「オウ、気をつけてな!」
大体平日は朝から討伐依頼などをまとめて受注し、午後にかけてモンスターを倒しまくる。
近場にいるヌーやウィーウルフを倒しつつ、森まで行きゴブリンやオーク、豹に似たモンスターのヒョウキを討伐しまくる。
そして、夕方までにはギルドへと戻り、魔石と素材を換金してポイントを貯める。
夜になったら師匠との特訓。
今まではただの打ち込みだけだったが、かなり師匠も攻撃をいれてくるようになり、それを躱しつつ木剣で打ち込むというのを繰り返す。
「やぁ、京」
「ああ、みんな集まってるな」
「依頼は大体こんなもんだけど、どうしようか?」
週末はパーティを組んで、依頼に当たる。
ソルトの街への依頼は中期期間だったが、短期期間以外は断るようにしている。
戦闘経験をたくさん積みたかった俺は護衛よりも討伐依頼を受けたいと皆に説明し、皆もわかってくれた。
大型のモンスターのグリフォンやゴーレムなど一人で倒すには難しいモンスターをパーティで相手にする。
俺は強くなりたい。
その一心だけで、かなりのハイペースでギルドの依頼を連日こなしていた。
「すごいですね、京くん。もう618pまで貯まりましたよ」
「何か我武者羅に依頼を受けまくってたらこうなってたよ」
俺は笑いながら返す。
「素材報酬はどうします?また預けますか?」
結構な数のモンスターを討伐した俺は小金持ちになっていた。
大金を持ち歩くのは怖いとエルクと相談した所、ギルドが預かってくれるのでそれを利用した。
ギルドカードを持つ、中級以上の冒険者はギルドカードがキャッシュカード代わりになり、他の冒険者支部でも預金が卸せる仕組みだとか。
「お願いするよ」
俺はギルドカードをティナさんに渡す。
ティナさんは受け取ったギルドカードで事務作業をこなしてく。
「預金も、結構貯まりましたね…。これは個人的なことですが、おいしいものなら食事の誘いは断りませんから」
「は、、、え、、と、はい、覚えておきます」
背後からまじかよとか、ため息、こいつならしょうがないなどの声が聞こえる。
オークジェネラル討伐の話が広がったのも有り、俺の認知度は広まったみたいだ。
それとここ最近の依頼達成数の多さは、目に見張るものがあり、無愛想な冒険者達でも挨拶をしてくれる人が増えた。
そして翌日、適当な依頼を受けるとモンスター討伐へと駆け出していく。
「よっ、おつかれさん!」
「いってきます!」
門番さんに挨拶をし、公国の門を出る。
大きい街の外では色々と行商人が露天を開いている事がある。
そこで俺は見つけてしまう。
「まただ、、、またあいつがいるよ」
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