025_戦いの後
次、目が覚めた時は真夜中だった。
眠気はあったが、色々ありすぎたのもあり、一旦外の空気を吸いに出る。
俺は寝ている人達を起こさないよう、こっそりと宿を出る。
「涼しいな」
まだ頭はぼーっとしていたが、たくさん寝たので体力は回復している。
夜の街は閑散としており、あまり徘徊して変な誤解を生まないよう宿屋の側にある噴水の近くに座る。
ふと人の気配を感じ、そっちの方角を見る。
「キュウル?」
「リーダー…」
「無事で良かった・・・。最後の方は俺も何がなんだかという感じだったから、、、顔を見られて安心したよ」
「ごめん…。私が不甲斐ないせいで連携に穴をあけた」
キュウルは連携に穴を開けたことを悔やんでいたようだ。
「私が魔法をもっと使えてれば・・・!回復魔法も覚えてればエルクだってすぐに助けられたのに!」
いつになく、淡々と喋るキュウルが感情をあらわにする。
「そんな事ないよ!」
振り向くと、パショネがいた。
「私が隙を見せなければ、エルクは傷を負わなかったんだ!キュウルのせいじゃない!」
「そんな事ない!」
二人とも自分が悪いと、声を荒げる。
「いや、俺が悪い」
二人はこちらを見る。
「俺が周りを見て、的確に指示を出せてれば、エルクが怪我を負う事も、商隊の人が死ぬこともなかった・・・!」
「「りーだーのせいじゃない!」」
二人して、俺のせいじゃないと叫ぶ。
「正直、慢心していた。考えればあんなオークの群れに新人で立ち向かう事自体、無謀なのに。俺はやれると思っていた。それにみんななら無事に乗り越えられると」
「でも!」
「これは現実なんだって、しっかり認識しなきゃいけなかったのに。どこかで甘えがあったんだ!」
「りーだー・・・」
「私は…私たちは弱かった」
「こんなことにならないように強くなりたいっ!」
「俺もだ・・・、みんなを守れるくらいに!」
気づくとパショネとキュウルは涙をボロボロと流していた。
俺は冷静に二人を見つめると、両の手で二人の頭をそれぞれ優しく撫でる。
「こわかったよ・・・!」
「私もこわかった!」
「あぁ、、、ああ!」
「はぁ、やれやれアドバイスしようと思ったんだけどねぇ・・・、僕の出番はなさそうだ」
「ハハハ、まぁそういうな!」
「ハルエルさん!?脅かさないで下さいよぉ」
「まぁ、俺も気になってだなぁ・・!」
「ハルエルさん、、、。京くん、あれはかなり化けますねぇ」
「だろ!俺が見つけた逸材だ。今度はオークごときに遅れを取らないようにみっちり叩き込んでやるさ」
「はぁ、本当に恐いですよ、あなたがたは・・・。レディ達の涙を拭うことも出来ないですし、今日はおとなしく戻りますねぇ」
俺らは翌日、馬車で戻ることになった。
来た時は護衛も兼ねていたから歩みは遅かったが、今回は冒険者しかいない。
行きよりも早く、公国首都に戻る事が出来た。
何度かモンスターに遭遇したが、俺らのパーティは戦闘に参加はさせてもらえなかった。
師匠に何とか説得をして、俺とパショネだけは戦闘に参加させてもらったが、怪我が治ったばかりのエルクと何故かキュウルは参戦しなかった。
後で聞いた話だが、こういう事件の後は心的外傷後ストレス障害にならないように問題ないとギルドが判断しないと戦闘はしてはいけないそうだ。
首都についた翌日、俺らは冒険者ギルドに呼び出されるなり、色々と質問された。
開放された後に、試験結果は翌日に発表するとヒッグさんに告げられる。
「師匠、オーク・・・オークジェネラルって強いんですか?」
俺は師匠との打ち込みの修行中にふと聞いてみた。
「んー・・・、まぁそこまでじゃないな。冒険者で上を目指すのであれば、あれくらいは簡単に倒せるようになっといた方がいいな」
あんなバケモノを簡単に倒す・・・か。
今回の依頼で俺は思い知った。
強いモンスターや人はまだまだたくさんいる。
俺が生きてくにはもっと強くならなくちゃいけないんだろ。
「師匠、どうしたら強くなれます?」
「お前さんを強くする方法はいくらでもある。それこそ付け焼き刃で強くする方法もなくはない」
「ちなみにどういった?」
「いや、教えられないな。今は地道でも、強くなろうとする気持ちを育てたり、こういう打ち込みを続けるのが一番いい」
すぐに強くしてくれと言いたくなったが、オークジェネラルを一刀で両断出来るほどの実力者がこう言うのだ。
逆らわず、今はその教えをしっかりと守るのがいいのだろうと思う。
「俺が、、、お前さんの実力を認めたら。剣を教えてやる」
「剣ですか?」
「ああ、剣は流派や技など人それぞれだ。剣に触れて間もない奴が達人の真似をすると、剣の本質を捉えられず一定の壁は超えられない」
達人ならではの、言葉だ。
「じゃあ、それまでは我流でいいんですか?」
「まぁ、そうなるな。お前さんのはかなり独特な動きなのは間違いないが」
これで認めて欲しいという訳じゃないが、自分の実力がどこまで上がったのか知ってもらいたくて提案をする。
「師匠、一つ・・・・俺の技を受けて下さい」
「技・・?まぁ、良いだろう!」
俺は体内の魔力を操作し、足に込める。
一気に加速して師匠へ接近し、武器を振り下ろす。
そして殺気に魔力を乗せて、幻を見せる。
「甘いわ!」
ゴチンッ!
「いってぇーーーー!!」
木剣で頭を思い切り殴られる。
「な、何で見破られるんすか・・・!」
「この技は初見のやつはひっかかるだろう。だが、俺のように何度も実戦を重ねたものにはそれは効かん」
「渾身の出来だと思ったのに・・・」
「まぁ、悪くない技だとは思う。ちなみに名前とかはつけてるのか?」
「いや、、、、そうだ、『そっちじゃないでSHOW!』ってのは?」
「だ、、、ださいぞ。まぁ、『ファントムアタック』とでも呼べばいいんじゃないか」
厨二っぽいのを避けたつもりが、ださいと呼ばれるとは・・・
「わ、分かりました・・・」
「しかし、ここまで魔力操作を身につけてるとは」
「あの、師匠。気になることが?」
「何だ?」
「オークジェネラルと戦ってる時に盾や剣に魔力を込めたんですが、盾はボロボロに剣は砕けたんですがあれは何なんですか」
「ああ、お前さんの魔力に武器と防具が耐えられなかったんだろう。魔力を込められるのは魔道具に分類する。一般に武器や防具の材質が悪いと魔力はほぼ込められんな」
「なるほど、、、道理で見事にダメになったのか・・・」
「まぁ、明日の試験次第・・・ヒッグがどうするかだが。Cランクの冒険者になるまではここ公国で頑張れ。依頼次第だが、夜はこうして相手をしてやる」
Cランク…俺にはまだまだ遠いように感じる。
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