022_迎撃・オークの群れ2
今までの戦いとやることは変わらず一体一体倒していくが、俺らの体力は徐々に減っていく。
体力が減っていってるせいで集中力は失われ、技や攻撃の威力にも大きく影響していく。
俺は弓を構え、引きつけて矢を射る。
ブシュッ
「ブォォォォォ!」
オークの眉間へと矢が突き刺さる。
もう何本も矢を放っていたのもあり、オークは致命傷を受け倒れてくれる。
「ピエールさん、矢がなくなりました!」
「了解っ!!」
ピエールさんはオークの攻撃を剣で防ぎながら俺に答えてくれる。
俺は右手にブロードソードを持ち、左にダガーを逆手で持つ。
弓矢の感覚がかなり手に残ってはいたが、いつも握っていた剣とダガーにしっくりとくる。
「なるべく手数を増やす。二撃離脱だ!」
俺は魔力操作にて足に魔力を乗せ、オークと皆がいる戦場へと駆ける。
「皆、よく持ってくれた!俺も戦う!」
皆は目の前に敵との戦いに目が離せないので、俺は大声で俺の存在を告げる。
すると、背後に気配を感じるとその気配は俺へと向かい攻撃を喰らわせてくる。
俺は勢い良く屈んで、横振りの槍を躱す。
体制を整え、その攻撃を喰らわせてきたオークへと向き直る。
武器を構えて、魔力を込め地を蹴りながら接近する。
俺は魔力をさらに溜め、殺気に乗せて放つ。
「グゥオオオゥ!!」
オークは槍を前へ突き出す。
だが、そこには俺はいない。
敵が攻撃を外した隙に、俺は右手の剣で一撃をお見舞いし、すかさず反転して左手のダガーで攻撃。
そしてオークがいない方向へと離脱。
「良い判断だねぇ。乱戦での戦い方も心得てる」
どこからかピエールさんの声がする。
「いいや、初めてですよ。こんなの」
乱戦の中、油断しているオークを見つけては攻撃を喰らわせる。
その後は無我夢中に、敵を見つけては攻撃し、敵の気配を感じれば避けていく。
ひたすら無心にオーク達を一匹でも多く、殺す事を考え続けていた。
「はぁ、はぁ・・・」
俺は息を整えながら、汗を拭う。
「もう何匹倒したんだ・・・」
そんな事を考えていると、悲鳴が聞こえる。
「うわぁぁぁー」
「く、くるなぁー」
俺はすぐにでも、悲鳴のある方へ振り向き状況を把握したかったが目の前にいるオークから眼を離せなかった。
「こうなるとは分かってたんだけどねぇ」
俺の背後を守ってくれるように、ピエールさんは俺と背合わせになるとそう呟く。
ピエールさんの一言でどういう事なのかを知ってしまう。
「くっ・・・!!」
「君のせいなんかじゃないさ。自分を攻める暇があるなら今は一匹でも多く、敵を殺すんだ」
また一人、また一人と悲鳴が聞こえ、気配が消えていく。
殺されたんだよな・・・。
「みんな、良く聞けぇ!」
突然、ピエールさんが大きな声で叫ぶ。
「これは商人としての名誉の戦いでも有るが、死を賭した戦いだ!無理と判断したのなら、逃げろ!!」
ほんの一瞬だが、ちらりとエルクの方を見る。
やり切れない、そんな表情をしていた。
「く、くそーーー!」
「ごめん、ごめんっ!!」
ピエールさんの声を聞いた何人かは命からがら逃げ出す。
それでも何人かは残った。
「やれやれ、僕としては、全員逃げてくれれば名誉の為に戦わず済んだんだけどねぇ」
きっとこの人は俺らが誰か一人でも残っている限りは最後まで戦うつもりなのだろう。
「京くん!聞こえるかい!?」
「ええ」
「陣形を変える!君のパーティを集めて、君が指揮してくれ。残った商隊員は僕が指揮するよ」
「了解!」
オーク達との間合いを見て、少し下がる。
俺は皆の位置を確認すると、大声を上げる。
「エルク!パショネ!キュウル!俺が指揮する集まってくれ!!」
「「「了解!」」」
俺らのパーティはこうなる事が分かっていたのか、俺へすぐ返事をしてくれた。
「残った商隊員は僕が指揮するから集まってくれ!」
残った商隊の人達は腕に覚えがあるのだろう、ピエールさんの指示変更に難なくついていく。
「俺らのパーティの連携通りやろう。俺とパショネで挟撃する。エルクは盾に、キュウルはエルクの後ろにいて詠唱の時間を稼げるようにするんだ!」
俺らのパーティはエルクを全面に俺とパショネが左右に、キュウルが後ろといつもの陣形を組む。
エルクが大盾でオークの攻撃を防いでる間に、指示を出す。
たった数日のパーティだが、体に染み付いているものなのか、指示を出すと同時に的確に位置についてくれる。
「ありがとう」
そう皆に聞こえないような大きさで呟く。
「おぉぉぉ!」
「やぁ!」
エルクの盾により大盾で敵の攻撃を防ぎ、パショネがすかさず追撃をお見舞いする。
いつものパーティでの連携攻撃に皆、体が自然とついていく。
次々にオーク達を倒し、数を減らせていけた。
だが、皆体力をかなり消耗しており、技のキレや連携にも影響が出始めているのが分かる。
「皆、辛いのは分かるが踏ん張り所だ!頼む!」
「「「了解」」」
俺も含めて、皆肩で息をしているのが分かった。
「もう半分は倒せたかな!?」
「どうだろう、こんな混戦だからさすがに倒した数までは把握しきれない!」
敵の攻撃を警戒しながら周りを見る。
さすがに序盤よりは数は減ったように思える。
陣形を保たれているが、このままだと敵を倒し切る前にこちらの体力がなくなるのが目に見えている。
「グゥオオオゥ!」
「ちっ!」
敵の攻撃を受け止め、距離を取る。
俺もまだ魔力を使い始めたばかりで、MPの底が浅すぎる。
そうそうフェイント技を多用出来ないなと噛みしめる。
「はぁっ!!」
ザシュッ
「ブオォォォ・・・」
ピエールさんがオークをまた一匹仕留めたようだ。
ピエールさんの職業は剣士だろう、横目で見たが剣捌きは見事なものだった。
商隊の人達との連携があればこそ敵の数を減らせてはいるものの、商隊の人達との連携が崩れればさすがにピエールさんでもこの数相手は厳しいだろう。
「ごめん!もうMPない…」
後方からキュウルが謝る。
魔法使いとはいえ、無尽蔵に魔法を仕えるわけではないのだ。
俺はそこまで考えていなかった事を、心の中で反省する。
「キュウル、戦線から離脱しろ!」
「でも!」
キュウルは仲間を置いて、ここで離脱しなければならない事に悔しさを覚える。
だが俺も今は余裕がある訳ではない、キュウルを庇いながら戦い続けるのは難しい。
「すまない、余裕がないから上手くフォローは出来ないが、MPを回復出来ないのなら離脱してくれた方が助かる!」
敵の攻撃を交わしながらキュウルに伝える。
「分かった!MPがなければ魔法使いはただの的・・・ごめん、みんな!」
悔しいが事実だ。
ここで守護対象が増えれば、敵に遅れを取ってしまう。
皆もキュウルの悔しさを分かっているのだろう、答えはしないが背中からキュウルの分まで頑張ると言っているようだ。
「パショネ、危ない!」
エルクの大声が聞こえる。
「え?」
ドンッ
何かが俺の前へ飛んできた。
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