017_連携攻撃
護衛依頼二日目。
商隊の人達と野営の片付けをし、出発する。
時刻は不明だが、霞がかった早朝である。
「今日もよろしくお願いしますね」
「「「よろしくお願いします」」」
ハムルさんは俺らに挨拶をすると、皆で声を合わせて挨拶を帰した。
昨晩は、眠くなるまで連携の話を詰めていた。
いくつかのパターンを用意し、こういった場合はこうしようという手順を皆で話し合った。
「りーだー!敵が来たよ、、、ゴブリン三匹!」
「みんな、落ち着いて。昨日教えた事を実践でやるだけだ!」
「分かった」
「りょーかい!」
「了解」
昨日の失敗を引き摺っているのかモンスターの襲来に戸惑ってはいたが、俺が声をかけると少し落ち着いてくれたみたいだ。
「エルク、商隊の馬車の前に!」
「わ、分かった!」
エルクは馬車の前に来ると、大きな盾を前方に構える。
「パショネ、敵が間合いに入ったら一撃入れるんだ!攻撃の後は、離脱!」
「りょーかい!」
ゴブリンの一匹がパショネの間合いに入る。
「いっくよー!」
元々はソロでやれていた実力があるパショネだ。
ゴブリンの単調な攻撃を躱すとすぐに一撃入れる。
「ギュアアアァァァ」
パショネの一撃がゴブリンへと入る。
パショネは攻撃が入ると、敵がいない方向へ離脱する。
「キュウル!」
俺が名前を呼ぶと、既に詠唱が完了しているキュウルが合図を送る。
「準備万端。ファイアーボール!」
ゴゥッという音ともに炎の球が、先ほど一撃を喰らったゴブリンへと直撃する。
「ギャアアアア!」
「まだ終わっていない!あと二匹。今度は俺が!」
全力で地を蹴り、残っているゴブリンの一匹へと接近する。
右手にブロードソード、左手にダガーを装備し、ダガーは敵から見えないように逆手で持つ。
ゴブリンを間合いに捉えると。右からの一撃。
ガキンッ
ゴブリンの持つ棍棒に防がれる。
隠し持った左のダガーをゴブリンの喉目掛け切り裂く。
ザシュッ
「ギュアアアァァァ」
これで残りは一匹となる。
「残りの一匹が馬車の方へ!」
「大丈夫、任せて!」
パショネが大声でエルクに知らせると、エルクは盾を前方へとしっかり構える。
「ギャッギャッ」
仲間を殺され怒っているのか、ゴブリンが手に持ってる剣をエルクへと振り下ろす。
「はぁ!」
エルクは攻撃を喰らう瞬間に、大盾でゴブリンの攻撃を押し出す。
ゴブリンは盾でのタックルを喰らい、体が浮いてふき飛ばされる。
「パショネ!」
「りょーかい!」
吹き飛ばされたゴブリンの着地点へ向かい、パショネが駆けつけゴブリンへととどめを刺す。
「ギャアアアア」
2日目の最初の戦いは連携が上手く取れ、敵を退治する事が出来た。
他にも敵がいないか、辺りを見回すがいなさそうだ。
俺は昨日話し合った以上の連携の出来にじーんと感動する。
皆の方をふと見てみると、ボーッと突っ立っている。
「あれ、うまく出来たよな・・・?」
俺は不安になり、そう呟く。
「「「リーダー」」」
俺の言葉でやっと気付いたのか、一斉に俺へ言葉を返してくれる。
「やったーー!!うまく連携出来たよーー!!」
「こんなにうまくいくなんて!」
「感激」
「良かった・・・、失敗したのかと思ったじゃないか」
「そんな事ないよ!!」
「リーダーの指揮は完璧だったよ」
「問題なし」
「あ、ああ、俺もここまでうまくいくなんて!」
「いやぁ、お見事。すごいねぇ、熟練パーティばりの連携だったよぉ。これを成せたのはみんなの信頼のおかげじゃないかなぁ」
ピエールさんは馬車の中から盛大な拍手をする。
「とはいえ、まだお仕事中だよ。これが出来たからって試験の合格を出すわけじゃないから気を引き締めてねぇ」
「「「はい」」」
この後も何度かモンスターと遭遇し襲撃を受けた。
だがゴブリンはもちろん、ウィーウルフの群れや、俺が初めて戦うモンスターなどもいたが戦えば戦うほど俺らの連携は強化されていった。
ピロン
指揮術を取得しました。
気づけばスキルを習得していた。
「いやー、爽快爽快っ!」
ニシシシと笑いながら、商隊によって出されたご飯を遠慮無くおかわりをするパショネ。
「本当に昨日とは打って変わって、ここまで連携が出来るなんて。ソロよりも今このパーティなら、中級モンスターが襲ってきても怖くはないよ」
「感無量…。リーダー、ありがとう」
次々に今日の戦果を褒め合っている。
「いや、俺だけの力じゃないよ。みんながうまく動いてくれてるのであって俺が頑張ったってわけじゃ」
「そういえばりーだーって、ダガー使えたの?剣しか無理なのかと思ってたけど」
「ああ、剣とダガーの二刀持ちはかっこよかったな」
「いや、ダガーは初めて使った。最初は勢いも合って二刀でダガーも持ってみたけど、今いち理解出来なかったから剣だけにしてみたよ」
「そうだ!リーダー、ダガーの使い方教えてあげるよ!」
「え、パショネってダガー使えたのか?」
「うん、使えるよ!元々ダガー使いだったけど、剣の方がパーティでは需要あるからね。だからあの時、無理にでも剣を買おうとしてたんだよ」
テヘヘと言った感じに、パショネが答える。
「ああー、なるほど。だからそんなに商人に値引きを強要してたのか」
俺はパショネから口止めされていた事を意地悪にもちょっとだけ漏らす。
「あー、あれはナイショって言ったじゃないか!でもちょうどあの時の借りを返そうと思ってたから、ダガーの使い方教えてあげるよ!」
「あぁ、助かる。あとで教えてくれ」
「僕もいいかな」
「エルクもダガー覚えたい?」
「いや僕はリーダーから戦闘中の分析の仕方を教えてほしい」
「俺か?」
「ああ、俺は将来、家の商会で商隊を組みたいんだけど、僕が指揮をする事になると思うんだ。だからリーダーの考え方を教授してもらえたらすごく助かるよ」
「俺のって言われてもなあ・・・、独自発想だから参考になるか分からないけど」
「ああ、構わないよ。これから出会う人に色々聞いて、自分なりに勉強したいんだ。代わりになるかは分からないけど盾の扱い方を教えるよ」
「盾?」
「盾は立派な武器種の一つだよ。スキルにも盾術というのがある位だし、リーダーみたく何でも扱える人には覚えておいて損ではないと思う」
「盾の扱いか、、、エルクの盾捌きを見れば、確かに魅力的だ。じゃあ、お願いしてもいいか?」
「ああ、ありがとう!」
「私も」
「キュウルは何が知りたい?」
「リーダーの事、考え方。戦闘中どう分析・判断してるか気になる」
「キュウルもか・・・」
俺はもしやと思い、キュウルに聞いてみる。
「じゃあ、代わりに魔法を…」
「それは無理」
「無理なのか?」
「やってみないと分からない」
「やってみないとなら、教えてくれないか?」
「無理・・・この旅じゃ魔法を教える事は難しい」
そういう事か、魔法は長時間かけて習得するものだから、この任務中じゃ難しいという事だろう。
「でも、魔力を感じたり操作する事は出来なくもない」
「ああ、なるほど。魔力を感じないと魔法を使う事が難しいって事か」
「ご明察。さすがリーダーは賢い。そういう捉え方は魔法を覚えるのには早いかもしれない」
「そうか、ありがとう」
こうして、俺らは互いにスキルを教え合う事になった。
あとでエルクに魔法について聞いたら、キュウルが話してた通り一朝一夕で出来る人はいないとの事だった。
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