015_Dランク昇格試験開始
「ハァ・・・」
俺は突然の事に、思わずため息をこぼした。
翌朝になり、俺は冒険者ギルドへ向かった。
着くなり、ティナさんに案内され、冒険者ギルド内のとある部屋へ案内される。
そこには昨日出会ったパショネと他にも二人が丁寧に椅子へ座っている。
しばらくするとヒッグさんが入室し、俺らの姿を確認すると大きな声でこう告げた。
「よぉし、よく集まった!これから冒険者ギルド、ランク昇格試験を開始する!」
「は?昇格?ちょ、どういうことですか?」
「これからお前らEランク冒険者の昇格試験だ!」
「すいません、、俺はまだ冒険者になったばかりですけど、昇格試験を受けられるんですか」
「安心しろ、ここにいる全員は昇格試験を受けられるだけの条件は満たしている。これで見事に合格すれば晴れて初心者という肩書を外すことが出来るぞ」
「ハァ・・・」
ヒッグさんの口ぶりからEランクの初心者というのは冒険者内では初心者という事になるらしい。
昨日、師匠が初心者だからといって色々都合してくれるとは言ってたが、試験受かったら手当出なくなるけどいいのか。
「よし、みんな疑問はあるだろうがまずは試験の説明をさせてもらう。今回の昇格試験は、パーティ適正を見る。これまでは初級モンスターをソロで倒してる奴も多かっただろうが、中級になると連携して当たらないと倒せない場合が出てくる」
今回受けるであろう受験者達は真剣に話を聞いていく。
「試験の内容は、商隊の護衛だ。初めて会う仲間と共に商隊を無事に護衛し、帰ってくるまでが試験の内容となる」
護衛任務か、、、まぁ昇格試験の内容としてはこんなところだろうか。
「商隊を送り届けるのはソルトの街までだ。上級などの危険なモンスターは出現しないが、盗賊が出る可能性はあるから気を引き締めて依頼に当たれ」
「あの、質問いいですか?」
「どうした、京」
「商隊の護衛という事は、盗賊とかも出るって事ですよね?」
「ああ、そうだ。もし盗賊が出た場合は、斬ってすてるもいいし、捕まえても構わない。その辺の判断次第では試験の査定にプラスさせてもらう」
盗賊を倒すなりした際の報酬は得られるのか、教えてくれるものかと思ったら試験での評価しか教えてくれなかった。
疑問顔でいると隣で聞いていた奴がこそっと教えてくれた。
「盗賊は基本的には捕まえて役所まで連れて行けば報酬は出るよ。ただ斬り捨ての場合は出ないね。ただ指名手配されている盗賊の場合は証を持って帰れば報酬とする事が出来るね」
「なるほどねぇ、ありがとう」
「気にすんな、これからしばらくは仲間じゃないか。僕の名前はエルク。君は?」
「俺は京だ。よろしく」
これからパーティを組む一人が常識人っぽいのに俺は安心し握手を交わす。
すると俺らの目の前に大きな影が出来、何事かと見上げると眉を引く着かせたヒッグさんが立っている。
「ほぉ、もう仲間が出来たじゃないか、エルク・京」
「いやー、それほどでも」
「俺の話を最後まで聞かずお喋りとはいい根性だ!」
俺とエルクは仲良くヒッグさんに頭を殴られる。
「さて、最後になるが今回護衛するハロルド商会の方だ」
部屋の隅で俺らの話を聞いていた男の人に向け、ヒッグさんは商会をする。
「どうも今回は依頼を受けて頂いてありがとうございます。ハロルド商会のキャラバンを率いるハムルと申します」
「そして、今回の試験の監査官も紹介する」
「やぁ、俺はパーティ桜風のリーダーを務めるピエールだよぉ。今回は君らの監査官という事だから、基本は何もせず見ているのに徹するよぉ。本当にやばい時は助けるけど、緊急事態以外は減点になるからねぇ」
ハロルド商会のハムルさんと監査官と呼ばれたピエールと呼ばれた男が、俺らに挨拶をする。
ハムルさんは人が良さそうなおじさんだ。
そしてピエールさんはノリが軽く女性好きそうな雰囲気である。
「ではそれぞれ、今回パーティを組む仲間とハムルさんとピエールに自己紹介をしてやってくれ」
「はい、それでは僕から。僕の名前はエルクです。剣の扱いはそこそこだけど、盾の扱いには自信あります」
「おや、君はエルクくんじゃないか。今回の旅はよろしくね」
ハムルさんとエルクは面識があるらしく、二人は握手を交わす。
「何だ、知り合いだったのか」
「はい、実家が商会をやってまして、それでハムルさんとは何度か顔を合わせた事があります」
「なるほど。まぁ、知り合いとはいえ今回は本物の護衛任務だ。手を抜かずしっかりやれよ。じゃあ、次」
「私の名前はパショネ。剣士をやってます。昨日はありがとうね、京くん!」
「ああ、気にするな」
パショネはハムルさんとピエールさんに軽く会釈をすると、俺へ向かい手を振る。
パショネを見て、俺は縁というものはあるんだなと一人納得する。
昨日の一件で恩を売っておいて良かったのかもしれない。
「じゃあ次」
「えっと、俺の名前は京。剣を使います」
「なるほど・・・君が。あのハルエルさんの弟子というのは聞いているよぉ。よろしくねぇ」
ピエールさんは俺の事を知っているのか、訳知り顔で俺を見てくる。
「え、君ってハルエル様の弟子だったの!?」
「すっごーい!」
「ハゲ・・・師匠ってそんなすごい人物なのか?」
「剣鬼ハルエル・・・、ギルドに登録してわずか2年でSランクに上り詰めた男だ」
「Sランク・・・」
「まぁ、若い奴らの武勇伝として話されるな。元軍人が冒険者になることはよくあるが、たった2年でSランクに登る事はほぼない」
「僕も一度会ったことはあるが、かなり豪快な人だからねぇ。京くんは振り回されてそうだねぇ」
「ええ、まぁそれなりに」
皆、師匠を知っているようで次々にその偉大さを俺に教えてくれる。
しかしSランクとは、、、あの人に拾われたのは幸運だったのかもしれない。
「じゃあ、次で最後だな」
「キュウル。魔法使い。まだ未熟者、初級魔法程度」
無口なのか人馴れしていないのか、キュウルは淡々と単語だけを紡ぐ喋り方をする。
皆、扱う武器が剣ばかりなので、一人だけ魔法使いがいて良かった。
俺は初めて会う、魔法使いに興味があり、早く魔法を見てみたかった。
「よし、それでは各自一時間後に出発する。準備を済ませたら、ここに集まるように」
それから俺らは改めて挨拶をする。
ほぼ俺の師匠の話が多かった気がするが。
俺は試験が始まる事を伝えに、師匠がいる宿屋へと戻る。
師匠はもうその事を知っていたのか、別段驚きはしなかった。
俺は師匠に気になっている事を聞いてみる。
「師匠ってSランクなんすね」
「ああ、そうだ。どうした、突然?」
「いや師匠って何も自分の事話さないから、ギルドで話題になって」
「まぁ大したことじゃないさ、Sランクになれたのも運が良かっただけさ」
「運が良かったって、実力がなければそこまでにはなれないんじゃ。それにその前は何を・・・」
「ところでお前さん、これから昇格試験だろ?準備はいいのか?」
俺の質問に師匠はあからさまに話を逸らす。
話したくない事なのだろうか、気になっていたがこれ以上は詮索するのを辞めた。
「え、ああ、準備はまぁ大丈夫かな。回復薬も昨日、師匠に分けてもらえたし」
「そうか、お前の実力ならば大丈夫だろう。ただ今回見るのは連携だ。相手を見て、自分を見る。相手は何が出来て、自分は何が出来るかだ」
「相手を見る・・・。まぁ、今後は師匠がいない時も多くなると思うので修行の一つとして連携もしっかりと覚えてきます」
「うむ、それと時間がある時は弓とダガーの練習もするといい」
「了解です。それではそろそろ時間なんでいってきます」
「おう、がんばれよ!」
師匠から簡単なアドバイスをもらうと俺はギルドへと戻る。
集合時間にはまだあると思ったが、皆集まっており出発の準備を手伝っている。
「それではDランク昇格試験の開始!」
出発の準備が終わり、馬車の前に集まるとヒッグさんは大声でそう叫ぶ。
こうして俺のDランク昇格試験…もとい護衛の旅が始まった。
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