014_初ショッピング
改めて街を見渡す。
商業と貿易の国の首都と言われるだけ有り、通りには活気が溢れている。
露天や店など色々なものが立ち並んでおり、歩くだけで目を惹かれる。
ウィンドウショッピングばりに露天や店を眺めながつつ、目的の場所を探す。
文字が読めない分、看板や扱ってる商品でどういう店なのかを判断していく。
「あそこなら武器・防具を扱ってそうだな」
店の前には見事な甲冑が飾られ、看板には剣と盾のマークが描かれている。
街中に武器屋があるのが当たり前な世界にいるんだなと考えながら店内に入って行く。
店内にはずらりと色々な種類の武器と防具が置かれている。
「ねー、頼むよ、もう少しだけ安くしてくれよ!」
「もうこれ以上は無理だ、諦めな嬢ちゃん」
店内に入るなり、店員と客が揉めているのを目撃する。
ちらりと横目にその姿を見るとあどけなさを感じる女性剣士だった。
「手持ちはこれしかないのよ!残りの分は必ず後日に都合をつけるから~!」
「ここに来て日が浅い奴に信用買いは出来ねぇぞ」
客と店員の口論の中、俺はめぼしい武器・防具を見繕っていく。
「あー、すまないんだが、これとこれと…そっちの値段が知りたい」
「革の鎧と盾、鉄の剣ですね。革の鎧は500sz、盾は120sz、鉄の剣は450szになりますね」
「ちょっと、私の話は終わってないんだけど!」
「さっきの値段よりはまけられないし、信用買いもやらないよ。それ以上居座るなら商売の邪魔だ」
あの子もひかないなぁ、何か理由でもあるのだろうから。
「そっちは何で揉めてるんだ?」
「鉄の剣を買いたいらしいんだが、予算が足りないんだよ。こっちはかなり勉強さしてもらったが、それでも足りないから断っているんだがね」
「そうか、こっちとこっちはいくらだ」
「ダガーだね、それは200szと木の弓は250szだ」
鉄の剣を諦めれば、新しい武器が2種も手に入る。
今使ってる剣はいくらで売れるか聞いてみる。
「すまないが、今使ってる剣はいくらで売れるか見てもらえるか」
「はい、ブロードソードですね、、、、これは!?」
「値打ちものだったか?」
「い、いえ、普通のブロードソードですね、至極普通の」
「それでいくらになる?」
「すみませんが、これは買い取りできません」
「何?」
「これは普通のブロードソードですが、出来栄えが完璧すぎる。かなりの名匠が打ったものではないかと」
あぁ、そうか、これは神から授かったものだから出来栄えが完璧なのか。
「何か秘めた力があるとか・・・?」
「ないです」
仕方ない、、、買い取ってくれるところにいくまではこの剣を使おう。
剣がないなんて師匠に言ったらぶっ飛ばされるもんな。
「じゃあ、さっきの鎧と盾、弓とダガーをもらいたいんだが、少し値引きしてもらえたりするか。かくいう俺も予算ギリギリだ」
商人はどこから出したのか、そろばんみたいのをパチパチと弾く。
「ええ、勉強させてもらいますよ。一式買って頂けますからね、全部合わせて1070szのところを980szでいかがでしょうか」
ちらりとさきほどの客を見やる。
うるうるとさせた目でこちらを見てくる。
「はぁ、、、これも何かの縁だろう」
情けはかけておいて損はないよな。
「すまない、それに鉄の剣をプラスさせたらいくらまで勉強させてくれる?」
「そうですね、、、1330szはいかがでしょうか」
勢いよくソロバンを弾き、こちらに聞いてくる。
「なるほど。だ、そうだお前の予算350szをくれれば、鉄の剣を買えるがどうする?」
「いいんですか!お願いします!」
「はぁ、旦那も甘いですね。よろしい締めて1330szお受け取りします」
こうして俺は新しい装備を手に入れた。
「ほんっとうにありがとう!私の名前はパショネ!」
パショネと名乗った女性剣士は鉄の剣をかざして、目を輝かせている。
一通り堪能したのか、剣をしまうとパショネは右手を差し出してくる。
「ああ、気にするな、俺の名前は京だ」
握手を交わしながら、俺な自分の名前を名乗る。
「京ね!覚えとくよ!あんたも冒険者だろ?この借りはかならず返すからね!」
急ぎの用でもあるのか、手を放すとパショネは大きく手を振りながら、通りに向かい駆けていく。
「借りはかならず返すって、、、そこは恩だろう」
「旦那、情けは人のためにならずとも言いますから、程々にした方がいいですよ」
独り言を言ったつもりが店主が聞いていたのか、俺にアドバイスをしてくれた。
「ああ、覚えておく」
宿に戻ると、師匠が待っていた。
「よぉ、無事に装備は買えたみたいだな!」
「えぇ、まぁ」
「弓にダガーね、、、」
「ダメでした?師匠的にはやっぱり剣一本のみのほうが・・・」
「構わねぇよ、お前さんは飲み込みが早い。色んな種類の武器に長けていた方が戦術の幅は広がるからな。
「はぁ、良かった」
「専門的なところは剣しか教えられんが、、、今は技術よりも根性を作ってるところだ。武器なんかで文句は言わねぇよ。ただ剣を売ってたらぶっ飛ばしてたよ、ハハハ!」
あぶねぇ、売らなくて良かったと安心する。
「ところで装備を買ったら、金がかなり無くなってしまいました。明日からギルドの依頼を受けて少しでも金を稼ごうと思うんですが」
「そう言うと思った。安心しろ、ここにいる間の宿代と飯代は出してやる。ただし、自分の装備などは自分で稼げ」
相変わらずの神回答に、俺は聞き返してしまう。
「何で、そこまでしてくれるんですか?」
「言ったろ、自活だ自活。まぁ、それにな・・・ギルドで正式にお前の師匠という事を任命してもらったしな」
「え、そんな制度もあるんですか」
「おうよ。冒険者ギルドも初心者が何も分からず死んでいくのは、今後を考えると良くないからな。初心者には色々と特典があるのよ」
「その一つが師匠と弟子だな。ある意味ギルドからの依頼とも言えるんだが、お前さんを一人前にするまでいくらか報酬が出るんだ」
「なるほど」
「まぁ、だからその辺は気にせず、修行に集中してくれればいいさ!」
「まぁ、そうですね、俺も何も分からず死にたくはないから頑張りますよ」
こうして、いつも通り師匠との修行を開始する。
ミズガルズ公国に来るまでに修行も徐々に変化していった。
最初はただの打ち込みだったが、たまに師匠からの攻撃や殺気をいれてきたりなど、バリエーションが増えてきた。
「よし、今日はここまでだ!」
「え、早くないですか?普段だとこれからが本番と言わん感じなのに・・・」
「明日は少し早いからな」
「明日って、ヒッグさんも言ってましたけど、何かあるんですか」
「そいつは明日になってからの秘密だな。ちゃんと体力を回復出来るように今日は早めに寝ておけよ」
「了解です」
まぁ、こういうのは今に始まったことではないしな、死ななければいいという考えで付き合っていくしかないなと諦め、俺は寝る支度をする。
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