109_第1魔王戦への秘策
俺は城の外へと向けて歩く。
「小僧、本当に大丈夫アルか?」
「分かんねぇ。ただ足止めを・・・いや、ここで魔王を倒せればいいんじゃないのか」
「しかし、例の魔王の能力を止める方法がなければマトモに戦う事が出来ないネ」
確かにその通りだった、恐怖によって拘束する能力。
「・・・ぶっつけ本番だが、方法はもしかしたらあるかもしれない」
「そうか。まぁ小僧を止める権利は、私にはないネ。それに勇者を名乗った以上はなおさら」
「あれは勢いってやつだ。それにあんたもついてくるのか?」
「一応、気を纏えるから多少は耐えられるネ。ただ、普段以上の実力は出せないと思うヨ」
アキームも覚悟を決めているようだ。
俺が行くと決めた時には、七乃花は気を失っていた。
もし起きていたら俺を止めて、自分が行くと言っていたかも知れない。
七乃花には悪いが、寝ている間に終わらせてしまおう。
無人の城門までたどり着く。
俺とアキームは一斉に門を開く。
「いたネ」
「あいつは、、、やっぱりそうか」
第1魔王・・・間壱壱成。
師匠が死ぬ前の日に出会った男。
「っ!!!」
突然、ビリビリとした空気が発せられる。
俺は思わず膝をついてしまう。
「これが、、、あいつの」
「思った以上ネ・・・」
アキームも立ってはいるが、、、それだけだ。
俺は立ち上がり、前へ進む。
「小僧、動けるのか!?」
「ああ、多少だが・・・」
俺は[理性]スキルのおかげで恐怖を感じながらも、かろうじて手足を動かす事が出来た。
俺の思っていた通りだ。
アキームには申し訳ないが、俺一人で魔王の前へと向かう。
「ほぉ、貴様。動けるのか。ん、どこかで会ったな」
「ああ、いつぞやな」
「そうか、あの時の。勇者だったとはな」
「お前こそ、魔王とは知らなかったぜ」
「恐怖を感じながらも、ここまで来るとは感服するぞ。改めて名乗らせてもらおう第1魔王 間壱壱成だ!」
「悪いな、膝がくがくで。俺は第8勇者、岡崎・・・いや、八月朔日 京八だ!!」
「第8勇者か。失踪していたと聞いていたがここで会えるとはな。このゴーレムは貴様の能力でない所を見ると、少なくとも勇者は二人いるのか」
「さぁな、そこまで素直に教えるほど。俺も人が良くないんだよ」
「何人いようと構わん。我が殺られる事などあり得ぬ。さぁ、武器を持て」
俺は震える手からアイテムボックスから剣を取り出す。
そして剣を掴むが、恐怖で上手く握れない。
「なぁ、こんな事言っても説得力ないが、俺はあんたに負ける気がしない」
「構わぬ。我はお前の気概を馬鹿にはしない。全身全霊で相手してやる!」
魔王は剣を構えるのを確認すると、俺はステータスを開く。
名前:岡崎 京
職業:ニート
年齢:25
LV:58
HP:512
MP:256
SP:??
力:179
体力:167
器用:203
敏捷:213
知力:198
対魔:187
幸運:226
【固有スキル】
深理解(物事を識ることによって深く理解する。理解した対象がスキルの場合、スキルLv6までを獲得出来る)
└冷静(感情がある一定を越えると冷静さを取り戻す)
【スキル】
剣術Ⅷ
短剣術Ⅵ
盾術Ⅵ
弓術Ⅵ
体術Ⅵ
槍術Ⅵ
鎚術Ⅵ
サバイバル術Ⅵ
料理Ⅵ
環境適応Ⅵ
指揮術
魔力感知
魔力操作
├魔力操作 - 集
└魔力操作 - 散
狂化
理性
【称号】
武器の申し子
転生者
魔物殺し
中級冒険者
暗殺者
竜殺し
龍殺し
そして、ステータス欄のグレーになっている[狂化]を選択すると発動させた。
「があああああAAAAAAAAAAh!!!!」
破壊衝動が俺の中に渦巻く、理性を奪い去ろうと一気に押しかかる。
だが、俺は[理性]スキルによって理性を失わない。
「成功だ・・・!」
「まさか・・・!貴様が例の勇者とはな!」
「例の勇者だと?」
「ふっ、我の同輩が貴様に手痛くやられたそうでな、貴様の事を相当に恨んでおる。手を出すなと言われたが、、、我の前に現れたのが幸運よ」
「そいつはありがたいね!!」
全身に力が入る。
いや正確には力みすぎており、力だけなら通常の倍以上になっている。
細かなコントロールは効かないだろう。
完全に技を捨て、力に頼るしか無い。
ただ[狂化]の影響で恐怖は一切感じていない。
魔王は魔力を溜めると剣撃と共に放つ。
それは赤黒い衝撃波となって、俺へと襲いかかる。
「ほぉ、それを防ぐか!かの第1勇者よりも上だ」
俺は剣で衝撃波を防ぐ。
こちらも負けじと魔王へと飛び込む。
技術が減った分、力や他のステータスがかなり向上している。
敏捷も倍だ。
力と速さで魔王を翻弄するべく、最高速度で突っ込む。
「早い!」
一瞬の隙を見て、斬りかかるが防がれる。
何度も何度も斬りかかり、防がれる。
だが、魔王も防ぐしか出来ない状態だ。
「くっ、まさかこれほどとは!」
「こっちは人をやめてる姿だ。これで負けてたら悲しいぜっ!!」
再び剣を防がれるが、俺は身を引かずさらに前へ出る。
そして左手に魔力を込め、殴り飛ばす。
「ぐぅおおお!」
これも[狂化]の影響か、龍の声は微かにしか聞こえない。
魔王は受け身を取り、すぐさま体制を立て直すとこちらへ攻める。
今度は攻守逆転だ。
俺は剣と龍の左手で防ぐ。
「龍の力か!まさか身に宿すとはなっ!」
「そんなにいいもんじゃないね!気づいたらあの怨龍が左手に住み着きやがった!」
魔王の剣は卓越していた。
力も早さもそうだが、その技術は聖騎士と呼ばれていた師匠をも上回っているように感じる。
剣だけでは相手にならず、左手も使って防ぐのが手いっぱいだ。
俺は全身に魔力を込め可能な限りイメージを膨らます。
魔王は警戒しつつも、その手を止めることはしない。
剣を受け止める。
「これでどうだ!」
剣を手放し、俺の構築したイメージを元に魔術が放たれる。
黒い霧が俺の全身が溢れる。
「こいつは何だ!」
「闇だ」
何てことはない、ただの闇を作った。
だが突然、視界が闇に覆われるというのは隙が生まれる。
俺は魔王の気を辿り、剣の一撃をお見舞いする。
だが防がれる。
そして、殺気による幻を見せる。
かかった。
魔王はそっちへと一瞬気をとられる。
その隙にまた左手でフックのように殴り、蹴り、そして再び殴り飛ばす。
「ぐぅあああ!!」
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