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106_緊急事態

「いいね、3匹相手か・・・!」

Bランクモンスターオーガを3匹相手に俺はそう呟く。


「オオオ!」

「ガアアッ!」

「ゴウウウ!」

3匹が同時に迫る。

俺は幻を作り、フェイントをかける。

敵が翻弄されるうちに、一匹目を両断する。

俺の攻撃の隙を狙おうと二匹目が襲ってきたが、すかさず躱すと首を落とす。

一瞬のうちに、二匹やられ焦る残ったオーガの胸へ一突き。

オーガは倒れる。


「こんなものかな」

解体をしながら、一人呟く。

また幾日か過ぎ、俺は冒険者ギルドで討伐依頼を次々にこなしていた。

先日のディグマの一件以来、体を動かしていないと余計な事を考えそうな事もあり、依頼を引き受けていた。


「おかえりなさい、京くん」

「ああ、ただいま。それでこれが今回の分だ」

どさっと、素材と魔石を出す。


「相変わらず、すごいわね」

「まぁ、こんなもんですよ」

受付嬢のヴィータさんが急ぎながらも丁寧に鑑定を始める。

俺はその作業をぼーっと見ていると、奥の部屋から人が出てくる。


「どうも、アルパさん」

ヴァナヘイム神国の神都にある冒険者ギルド長アルパさんだ。


「京か。今日も素材の換金か?」

「ええ、そうですよ。体がなまっていましたから、狩りながら感覚を取り戻しています」

「なるほど・・・」

「京さん、終わりました!」

ヴィータさんが換金額を提示してくれる。

そしてギルドカードを渡す。


「すごい、、、もうポイントが40,000越えますよ。Aランク到達も夢じゃないですね」

「あー、そうなるのか。これってAランクとかに上がっていい事ある?」

「強いて言うなら名声ですかね?後は強制依頼を断る事が出来るとかですかね」

「強制依頼。あー、戦争に参加しろとかそういうやつ?」

「えぇ、そうです。まぁ、戦争なんて魔族以外とでしか基本ないものと思ってたんですけどねぇ」

「どうかしたんですか?」

「あれ、知らないの。王国と帝国の戦争がもうすぐ始まるって」

「帝国?」

二神が王国へと戦争する?

王国にはまだ一歩がいるはず、つまり二神は一歩を殺すつもりなのか。


「京くん、大丈夫?」

「ああ、すいません、前に帝国に居たもんでつい気になって」

「そうだったよね。ごめん、気になるよね」

「いや大丈夫ですよ」



俺はいつも通り狩りから戻ると冒険者ギルドに立ち寄った。

その後、街を散策しているといつぞやのキュレープ屋のおっさんに会った。

何でもあんた達のおかげで商売が繁盛したからまた来てくれとの事だ。

俺はそれを七乃花に伝えようと、大聖堂に戻ってきたのだが、何だか慌ただしい雰囲気である。


「京八様!」

「え?」

修道女が大慌てで俺の元へ駆けつけてくる。


「どうかした?」

「いえ、急いで巫女様の元へ。星天の間です」

緊急事態というやつだろう。

俺は修道女のその雰囲気を察し、すぐに星天の間へと向かう。


「よぉ、来たのぉ」

巫女の婆さんが俺に声をかける。

周りを見ると、七乃花と四聖も揃っている。


「一体、何事なんだ?」

「魔王じゃ」

俺は一瞬、眉がぴくりとなっていただろう。


「この国ではない。隣のニダヴェリールだ」

「ニダヴェリールって、六花のいるところだろ?」

「ああ、そうだ。つい先程、ニダヴェリールのドワーフから緊急要請があった。第1魔王の襲撃を受けていると」

俺が会ったことあるのは第2魔王だ。

第1魔王は、王国を奇襲し五十嵐さんを殺した男だと聞いている。


「第1魔王・・・、王国に攻めてきたというやつか」

「ええ、、、あの魔王はすごく強い。きっとこのままだと六花ちゃんは」

七乃花の表情はとても暗い、それが魔王の強さを物語っている。


「おそらくですが、第1魔王の固有スキル。あれは第1魔王の姿を見た者、声を聞いたものを恐怖で縛る能力です。実際に私は王国でそれを体験しました、同様に王城にいた多くの者が動けなくなっていました」

「ふむ、やっかいだのぉ」

巫女は天蓋の向こうにいて、表情は見えないがおそらく困った顔をしている。


「おそらくはボルンハルトの事じゃ、最後まで戦うと言っておるだろうよ。せめて戦わない者だけでも、我ら神国が保護出来れば良いが」

「巫女がそうおっしゃるのであれば、その様に致します」

「あの!六花ちゃんを助けに行きます!」

「しかし、、、先の情報通りであればどう戦うつもりじゃ?」

「それは・・・、でもここで何もしてないよりは六花ちゃんを助けてこの国へ連れて戻りたいんです!!」

七乃花にとって、六花は妹みたいな存在だ。

俺が王国からいなくなり、一人寂しかった七乃花は同じく寂しい気持ちを抱いていた六花と寄り添うことで今までやってきていた。


「勇者がそう決めた事に反対する事は出来ん。好きにするとええ」

「ありがとうございます!」

七乃花は巫女へ向かい深々と頭を下げる。


「ニダヴェリールとやらにはどうやって行くんだ?他国って事を考えると数日はかかるんじゃ」

「それは大丈夫です。こういう時の為に、緊急用の転移装置が置いてあります」

「転移?」

「ええ、少人数用のものですけどね。避難に使えれば良いのですが、それは無理でしょう」

転移で飛べば、すぐに魔王との戦場という事になる。


「小僧、勇者でもないお前が行くというのかい?」

「まぁ、大切な義妹も行くんだ。それに六花も一緒にクレープを食った中だからな」

「はっはっは、相変わらず愉快だのぉ」

「むざむざ、命を散らしに行く訳じゃない。やばいと思ったらすぐに逃げてやる」

「ナツ・アキーム、ついてっておやり」

「「はい」」

俺も六花を救うべく、ニダヴェリールへ向かう。

お読み頂き、ありがとうございます。

毎日22時に更新を予定しております。


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