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102_教皇フューネル

ある夜、うなされて目が醒める。


「何だ、すごい寝苦しいぞ・・・」

俺は汗を拭う。

すると壁に立てかけてある、呪われた剣が不気味な光を放っていた。

しばらくすると光は大人しくなる。


「こいつのせいか」

賢者に無理矢理引き取らされたが、このまま持ち続けるのも駄目だと思う。

よく見ると聖骸布が黒ずみ始めている。

翌朝になり、俺はある男を訪ねに行った。


「何の用だ、小僧」

この国の四聖の一人、教皇フューネルだ。

俺の姿を見るなり、眉をしかめる。


「あんた、聖職者なんだろ?」

「ああ、そうだ」

「この剣なんだが、どうにかならないか?」

俺は聖骸布に包んだ剣を見せる。


「例の貴様の剣か。どうにかと言われても、ここまで呪いが強いと解呪は出来ないぞ」

「やっぱりか」

「この剣どうかしたのか?」

「ああ、最近になって呪いの力が強まってるように思えてな。近くに置いておくのは嫌なんだよ」

「ふむ、貴様は呪いの耐性が強いと聞いていたがそれでも無理だと」

「そうなるな。俺はこの剣を持つ事も出来ない」

「呪いにも相性があるのか・・・」

フューネルは何かを考える。

すると後ろから誰かがやってくる。


「フューネルさん!」

声をあげたのは騎士の格好をした男だった。


「またその話か。私にはどうする事も出来ない」

「それは分かってるけど、頼むよ!力が欲しいんだ!俺は魔王と戦いたい!」

「聖騎士は力があるからなれるのであって、聖騎士になるから力を得る訳ではない。それに誰しもが聖騎士にはなれるという訳ではないのだ」

「聖騎士?」

俺は思わず聞き返してしまう。


「誰だ、お前は?」

怒鳴っていた騎士が俺の素性を尋ねる。


「誰と言われても。岡崎 京だ。訳あって大聖堂に住まわしてもらっている」

フューネルはやれやれと言った感じで俺を見ていた。


「京!貴様が京なのか!」

「ああ、そうだよ。そんなに怒鳴るな。あんたは誰だ?」

「俺は聖騎士団の一人、ディグマだ!・・・聖騎士だったハルエルの息子だ!」

「息子だと?」

俺は出会ってはいけない人物に出会ってしまったようだ。

ディグマは俺の素性が分かるとさらに声を荒げながら俺に話を続ける。


「貴様のせいで父は!聖騎士が殺られるなんて!」

「落ち着け、ディグマ!」

フューネルは俺に掴みかかろうとするディグマを止める。


「何度も説明しただろう。あれはこやつのせいではない」

「し、しかし、魔王や龍なんて!!もしそうだとしてもすぐに逃げれば!」

ディグマは俺のせいで父親を失ったのだ。

俺はこいつに何も返せるものはない。


「ディグマと言ったか?あんたの言う通りだ。俺のせいで師匠は殺された・・・」

「貴様!」

「待たんか!ディグマ、落ち着け!」

「しかし、フューネルさん!!」

「ディグマよ、その考えがお前を成長させんのだ。本当に聖騎士を目指すなら、頭を冷やせ!」

「くっ!」

ディグマは早足で部屋を飛び出していく。

それを見届けたフューネルは椅子に座り直し、大きく息を吐く。


「小僧、お前も出ていってくれ。剣の再封印と処理に関しては調べておく」

「あ、あぁ。頼んだ」

ディグマと鉢合わせないよう、ゆっくりと部屋を出ようとする。


「時間が必要なのだ、、、あいつを失った事を忘れるには」

後ろでフューネルがそう呟いていた。


俺は翌朝、大聖堂の裏庭に向かった。

師匠が譲り受けたアイテムボックスから木剣を取り出す。


「懐かしいな。駆け出しの頃はこいつを振り回して練習したな」

俺は[狂化]スキルで暴走して以来、剣を握っていなかった。

俺は右手に木剣を持つ。


「今は片手しか使えないんだよな」

さすがにこう何日も何もしていないと気が引け、冒険者の依頼をこなそうと考えていた。

主に使うであろう剣を再び握れるよう、こうして一人で修行を再開した。


「はっ!」

何度か素振りをする。

だが左手が全く動かない状態で、右手での剣捌きはどうもしっくりこない。


「はぁっ!」

さらに何度か振るうが上手く行かない。


「重心がやや後ろ過ぎるからだ」

ふと後ろから声をかけられ、振り向く。


「なんだあんたか」

教皇フューネルだ。


「片手で剣を振るうにはもう少し軸足に体重を乗せるのだ。お前の今の剣の振り方では相手へ与える強さが弱くなる」

「詳しいんだな。もしかして騎士団にいたとか?」

「ああ、昔の話だ。私より才のあるものがいたからな・・・剣とは違う道を選んだ」

俺は試しにとさっきより踏み込み、木剣を振るう。


「さっきよりしっくりくるな。あんたの指摘通りだ」

「気にするな、昔取った杵柄だ」

「それより、俺に用か?」

「ああ、例の呪われた剣だが、あれは不要なのだな?」

師匠が俺にと渡してくれた剣だ。

そうそう手放したくはないのだが、呪いを振りまくのなら処分して構わない。


「ああ、師匠がくれた物だが、、、周りに迷惑をかけてしまうなら処分しても構わない」

「・・・そうか。色々調べたがあれの解呪は不可能だ。剣を壊すしか方法はない」

「そうか、仕方ないな。これから壊すのか?」

「いや、今日はそれを伝えに来ただけだ。迂闊に破壊すれば呪いが外へ拡散し何が起こるかわからん。結界で外界と遮断した状態で破壊をする」

あの剣の呪いはかなりやばそうだった、確かにその方法でやるしかなさそうだ。


「分かった。準備が出来たら教えてくれ」

「いいだろう」

俺は気を取り直し木剣で修行を再開しようと思ったが、フューネルはまだその場を離れなかった。


「まだ何かあるのか?」

「・・・・・小僧、貴様この先どうするのだ?」

一体、どんな答えを期待しているのだろう。

俺は巫女に宣言した通り、勇者としての名乗りを上げる気はない。

とりあえず今の自分の状況を見て、やる事をやる、それだけだ。


「巫女にも伝えたように勇者として行動する気はない」

「・・・・そうか」

フューネルはその場を後にし、俺はフューネルに教えられたように木剣を振るう。

お読み頂き、ありがとうございます。

毎日22時に更新を予定しております。


感想・レビューお待ちしております。

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