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第三景 ハンドルを握った声
トンネルが見える・・・。
トンネルからは涼しい風が吹いて来る。
私は道路の路肩に座って涼んで居た。
風に乗って囁く声が聞こえて来た。
それは枯れた女の声だった。
「ほんとう・・・。のたっ取点百。いなゃじい凄。?はんゃち父・・・るして配心ちゃん母の事を・・・ちゃん母はだ大丈夫。ダカラの父ちゃんだ。・・・ヨシオとあちゃが付いてるな。・・・お土産?・・・分かった。る持って帰ずかなら。・・・うん?・・・かべ食た? ばい食べ・・・三杯?・・・凄いね。こうかあの遊園地に?・・・じゃ、で三人・・・」
言葉は全て逆さまだ。
風に乗って私の前をすり抜けて行った。
すると急に後戻りして、またトンネルの中へ入って行った。
その言葉は正常に戻っていた。
突然、私の周りを黒い雲が囲んだ。
しばらくすると雲が消えた。
周りを見ると、見た事のない風景だった。
突然、トンネルの中で車のぶつかる音がした。
暫くして女の悲鳴が聞こえた。
悲鳴は風に乗ってトンネルから出て来た。
その声は人の殻を纏って、ハンドルを握っていた。




