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第一章 バットアンドガール その壱

誤字、脱字、気になる点などあればご指摘の程よろしくお願い致します。

では本編をお楽しみ下さい。


 「淀家のおっさん大分キレてたなぁ、こりゃすんなり終わりそうもないかぁ」


 「終わらないでしょ、事情がよく分からない俺でも、これきっと清正が無茶振りしてんだろうなってわかったよ」


 「あぁでもしないとお嬢さん連れて行かれてたし。それに連れて行ったらきっと帰してくれないよ、危険だぁとか、四回結線がぁとか言ってたさぁ、多分捕まったら陽気だけ永遠に吸われつづけて、お嬢さんは廃人ならぬ廃霊にされて終わりだね、淀家の当主は五光家の中でも群を抜いて、外道だからねぇ」


 (えっやだっ、絶対いやだ!えっ私大丈夫なんですか?)


 震える声が俺の腕時計から聞こえ、俺と清正は彼女に視線を落とす。


 「大丈夫でしょ、いざとなったら戦争だよ、その方が早いから」


 「いや一番だめでしょ」


 相変わらずの破天荒な思考に思わず呆れてしまうが、この破天荒に助けられた記憶は数多い、今回もそうだ。俺の事をただ一人友人と呼んでくれる清正も俺の大事なただ一人の友人である。


 「でもありがとう清正」


 (清正さんありがとうございます)


 俺が清正にお礼を告げたあとに彼女が繰り返す。

 清正はタバコに火をつけ、話しを切り出す。


 「さて問題はこのあとだねぇ、まずお嬢さん名前は?」


 「あぁそうだ名前聞いてなかった」


 そうだった、まだ名前すら聞いていなかった、立て続けに起こる事態にのまれて気が付かなかった。名前を知れば何か分かることがあるかもしれない。


 (あっはい私の名前は)


 彼女が名前を告げようとしたその時だった。

 

 「涼先輩っいつまで屋上でタバコ吸ってんすか?もう新しいバイトの子きたんですけど、連れて来たんであと頼みますよー!」


 屋上の扉を開けてバイトの後輩である木村が現れる。いつまでも休憩から戻って来ない俺に痺れをきらしやって来たんだろう。


 (そっか休憩時間とっくに過ぎてる、しかも新人来るの忘れてた)


 慌てて腕時計の時間を確認すると同事に、時計の中に彼女がいると思うと、急に顔を赤らめる俺であった。


 「悪い木村、今戻るから、あっ今日からだったな新人」


 「それじゃ後はあそこの涼先輩が色々教えてくれるから、ちなみに喫煙所はこの屋上だけだから、そんじゃぁ頼みましたよっ涼先輩!」


 木村は後は頼みましたよと言って一階へ降りていく。木村が去った影からバイトの子が顔を出す。


 「いやタバコとか吸わないし、うぅ、つーか屋上寒っ、すみません屋上寒いんで早く事務所戻りたいんですけど、初日から風邪ひくとかやってないんですけど」


 「えっ?」


 「えっ?」


 俺は悪態をつく新人を見て、思わず口を開け固まってしまう。同事に清正も加えていたタバコを落とし呆然と立ち尽くす。

 

 なぜなら


 「あぁ今日からバイトに来ました、水俣柚木みなもとゆきです、うーさむっ」


 (私の名前は水俣柚木みなもとゆきです)


 目の前で悪態をついてる新人の容姿が、腕時計を憑代にしている彼女そのものだったからである。


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