↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【全58話+外伝4話】されど胸の灯火は消えずに歩ませて~幻獣ハバキネスの件~  作者: ザイン=エル
第三章 今、創痍の胸に残るもの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/62

第五十一話 黎明の一閃

疲弊した全員に、巨大なフライングボットクィーンから暖かい緑の光が照らされる。

疲労感がふっと軽くなる。戦える──!

高所落下で一瞬気力を失っていたトロントにも、縫合した傷が開いてしまったノクトにも、再び闘志が戻ってきた。


「ハルジオのおかげで、まだやれそうだぜ……」


トロントは立ち上がって、片手剣と円盤型の飛刃ソイドを構える。


「ノクトは待って、もう少し回復させて」


ノクトは出血が止まり切る前に動いてしまっていたので、再びマリンに制止された。すぐ飛び出せないのがもどかしい。


『よくぞ仲間を救いました。これが今の人間の力なのですね!』


喜びさえ感じる声で、ハバキネスは襲いかかってくる。虹色の翼の鋭い斬撃がクレアに向かう。

クレアは一瞬にして集中、魔剣を盾のように使ってそれを完璧に防いだ。


「私いま、割と絶好調かもね!」


攻撃を弾いた瞬間、斬り返すようにクレアは魔剣を振るう。踏み込みが深い。ハバキネスの肩口をスパッと斬り裂いた。


「やるな、クレア!」


トロントは彼女を褒めると、一瞬ひるんだハバキネスにソイドを投げつける。白銀の竜は肩口に攻撃を受けたことで一瞬の隙ができ、ソイドを弾くに至らなかった。露出した胸部に当たるところだったが、わずかな回避行動で脇に当たった。


『さすがです!』


ハバキネスは胸部を一気に膨らませると、劫焔を吹き出した。あまりの熱さに、二人は慌てて後退する。


「普通の竜みたいに火も吹くってか」


「なんか意外じゃん」


トロントとクレアは、余裕のない中でも軽口を叩きながら構えを継続する。

その時には、ハバキネスは不思議な詠唱を開始していた。


『では、こちらの攻撃はどうですか……』


虹色の翼を天高く広げ、詠唱を完了させる。


『ライトニングブラスト!』


全体に対する光の爆発──

だが、全員が信じていた。

ハルジオのフライングボットクィーンを。


「ここで、応えないで、どうするのさ!」


ハルジオの気迫の叫び。フライングボットクィーンは、広範囲に淡い緑のバリアを展開する。

ライトニングブラストの光とクィーンのバリアが正面衝突し、見事にお互いを相殺しきった。

だが、すさまじい爆風で何も見えなくなる。


トロントは、そんな中でノクトの様子を確認する。マリンによる回復はある程度完了しているようだ。

すでにトロントの手には、琥珀色の玉石が握られていた。


「ノクト……お前に、勝機を作る。だから、一刀で決めろ」


トロントは静かに宣言する。それに乗って、クレアも元気よく応じる。


「おっけ〜、やろっか」


「クィーンも、手伝いますよ」


「私も……!」


皆が口々に言う。

ノクトは気を引き締めて、深く、うなずいた。

できるできないじゃない。やるんだ──

次の一刀で、幻獣ハバキネスを倒す。

ノクトは黒い玉石を取り出した。


『何を企んでいるのですか?さあ、来なさい!』


ハバキネスの凛とした声と爆風の中、クレアがまず先陣を切って飛び出した。跳躍した突進はしかし、ハバキネスに読まれていたのか、翼で弾かれる。

そんな中、カシャン、という何かが割れる音が響いた。


「喰らいな、ハバキネスさんよ……ソウルブレイク!《ソイショック》だ!」


トロントは上空に向けて広範囲のすさまじい煙幕を巻き上げる。

すべての視界を遮り、全員が全員、何も見えなくなる──

だが。フライングボットクィーンが天上からハバキネスを照らし、白銀の竜の位置を的確に全員に知らせていた。


《ソイショック》の桁外れな煙幕の中、ノクトの《ナイトキラー》ゆえの隠密行動が完璧に遂行される。

彼は、黒い玉石をその手に持ち、割る。カシャン、という音が静かに響き渡った。

その音に驚異的な速度で反応して、ハバキネスはノクトの方へと翼で斬撃を繰り出した。


「ノクト!」


トロントは鋭く叫ぶ。

その鋭い翼はノクトの胴を切断する──かと思われた。が、破壊されたのはハバキネスの翼のほうだった──マリンが先に詠唱していた単体バリアを差し込み、その攻撃を完全に無効化した。それだけではない。翼での攻撃があまりにも高威力だったため、バリアによる完全なカウンターによって、ハバキネスの翼爪を折った。ノルツが氷の手刀を破壊されたように──

ノクトは、そこから刀を地に着くほどに低く構え、速度を上げて突進する。その突進はさながら、黒豹のようだ。


「ソウルブレイク……」


その突進力をそのまま刃に乗せて、黒いナイトブレードを振り抜く──

なぜだろう……

刀を振り抜く時に、こんな気持になったことは、かつて無い。

だが、この感情を何と言っていいのか、彼にはわからなかった。


「《斬鉄剣》」


ナイトブレードは横一文字に白銀の竜の胴を薙いだ。

そして刀圧によって煙幕が全て開かれ、奇跡のように輝かしい太陽が彼らを照らした。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

【第三章 今、創痍の胸に残るもの】完結です!


そして【最終章 灰色の夜明け】(全六話)へ突入!!


もし面白かったら★&ブクマで応援していただけると作者が大変喜びます。

よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。