第四十七話 鉄翼は宿命を壊す
本日、時刻設定ミスで
最新話アップが遅れてしまい、
大変大変申し訳ございませんでしたm(*_ _)m
竜の咆哮が世界に響き渡る。それは、彼女の命を賭けた、最後の戦いの合図であった。
幻獣調査団の面々は、彼女の生き様を見せられた後で、彼女と戦うなんて……彼らは戦意を上げられずにいたが──
そんな中で、意を決したように、最初に武器を抜き放ったのはトロントだった。
腹に覚悟を決めた顔で、彼は言う。
「ハバキネスは、もう寿命が尽きるんだ……そんな中で、オレたちと戦って、人間の強さを知って逝きたいというのなら、それを叶えてやろうじゃねえか!」
それを聞いてクレアは頷きながら、背中の魔剣を引き抜き、構えた。
「強さを証明するとかいうの、割と得意だよ。やったろうじゃん」
さらに、ハルジオもフライングボットを三機飛ばす。
「ここまできて、負けるわけにはいかない……ハバキネスが歩んだ道が正しかったことを、僕たちの力で、見せてやりましょう……!」
ハルジオの言葉に、マリンも力強くうなずく。
「試練を超えましょう。そして、私たちの願いを、叶えましょう……!」
だが、ノクトだけが──
気力はまだ、ある。しかし、今まで受け続けてきた心身のダメージ、特に心にもたらされたダメージが響いているようで、緊張と、乗り越えがたい苦しみで、肩で荒く息をしていた。
すさまじい気後れと、しかも──あの竜を、あの人を倒さなければならないという現実が、アイリーンを失っているノクトに重くのしかかっていた。
しかし。
気持ちで負けていたら、勝負でも負けるだけだ──何のためにここまで来た……!
ノクトは気力を振り絞る。そして、ナイトブレードをゆっくりと抜き放った。
白い竜のハバキネスは、その五人を見て満足そうにうなずいた。そして、凛と響く声を張り上げた。
『その意気や、良し!フィールドを変えましょう。あなたがたにお見せします……人類の魔力と記憶が集結する地、伝説の《命の庭園》を──!』
ハバキネスが翼を大きく広げると、そこはもう塔の上ではなかった。
オーロラのような、不思議な空が広がる世界。そんな神秘的な場所に生えたあまりにも巨大な樹が、彼らのはるか上空まで枝と葉を広げている。
『ここで私は、願いの魔法の全て、そして人類の記憶を奪いました。そのとき、私は人であることをやめたのです』
白銀の竜は、カッと虹色の瞳を見開いた。
『さあ、来なさい!』
天に咆哮するハバキネス。巨大樹と共鳴して、その魔力は増幅されるかのようだった。
ハバキネスは、小手調べとばかりに翼による鋭い斬撃を繰り出した。翼には複数の爪が生え、鱗が群生しており、生半可な攻撃ではない──
クレアが大ぶりの魔剣でもってそれを受け止めるが、すさまじい威力で、体ごと弾かれる。
「クレア!」
それを予期して、ウエイトがあるトロントが支えた。
「ありがと!」
礼を言いながらクレアは、トロントの支えをバネにして反撃に転じる。
魔剣による跳躍攻撃は、アーティファクトによって超強化されている。腕にあるジャンプウイングが光り輝く──ハバキネスはそれを察し、後退して回避することを選んだ。
「ちぇ、察しがいいなあ」
クレアの斬撃は空を切り、スタンと着地する。
『フフッ……こんな素敵な戦いを、早く終わらせるわけにはいきませんからね』
ハバキネスは戦いを楽しむように笑う。
そして、聞いたこともない不思議な言葉で魔法を詠唱する。
「おい、なんかやばいの準備してるぞ」
トロントが鋭く叫ぶ。
その詠唱を妨害しようと、ノクトがナイトブレードを構えて突進した。
ノクトはナイトブレードを突き込む。だが──
その攻撃は普段の鋭さと比較すると、天地ほどの差がある。ハバキネスは詠唱を継続したまま回避した。
『そんな気持ちの入っていない攻撃では私は倒せませんよ、ノクト!』
回避した返しに、翼による斬撃がノクトに迫る。
「クッ……!」
ノクトはナイトブレードを盾のようにしてなんとかその斬撃を弾く。
ノクトを吹き飛ばした彼女の詠唱は止まらない。虹の翼を高々と広げ、光の魔法が炸裂する。
『ライトニングブラスト!』
広範囲の光の爆発が巻き起こる。
だが、ハルジオはそれを想定して準備をしていた。三機のフライングボットがメンバー全員を覆うバリアを展開。その光の爆発を完全に無効化した。
『素晴らしい技術です、ハルジオ!』
ハバキネスもそれを認めて褒めた。
しかし──
バリア残量はもう残り少ないようで、ハルジオには、次の一回が最後である表示が見えていた。ハルジオは緊張して額から汗を流す。
その思いを、読んでか、読まずか──
『ならば……これはどうかわしますか?私に、人類の知恵を見せて──!』
翼を広げて鎮座するハバキネスの正面に、虹色の巨大な五芒星の魔法陣が描かれる。
一目見てわかる。これは、ただの魔法ではない──幻獣ハバキネスの超大技だ。
『ペンタグラム・レイ!』
何重にもなった光の柱が、大災害の如き勢いで重なって五人に襲い掛かった。
速度は遅いが、圧倒的な光の超エネルギーと、巨大なる壁の如き殲滅範囲。
ノクトは、急いでアイリーンを首元から制服の中へとしまいこむ。
ハルジオは、もう一度バリアを起動する。
だが──
この攻撃は三重の全体攻撃だった。第一波から第三波が連なり襲いかかる。
フライングボットで防げるのは最初の第一波だけ。
今できることは限られている。とにかく、焼き尽くされないよう全力を尽くすしかない──!
「頼む!フライングボット……!」
ハルジオは最後のバリアを展開する。そのバリアは第一波を無効化するとともに、一瞬にして砕け散った。すぐにハルジオは立て直そうとする。
「もう一回……頼む、最後のエネルギーで……!」
もう、完全なバリアが張りきれないのはわかっていた。しかし、ここでやらねば、全員が焼き尽くされる──
「頼む……!」
ハルジオは、無理やりバリアを展開する。
先ほどよりも弱いバリアが展開し、第二波を半分ほど無効化した。
トロントは皆をできるだけ守ろうと一歩前に出ているが──
「ううっ……!」
「あっつぅ!」
それでも、凄まじい熱量によって全員が猛烈なダメージを受ける。ジリジリと皮膚が高熱に照らされ、肺が焼けるようだ──
しかも、それだけではすまなかった。無理な運用をしたフライングボット三機は、無情にも粉々に砕け散った。
「ああ……フライングボット……!」
だが、この犠牲がなければ第二波で全員が息絶えていただろう。フライングボット三機を失いながら、第二波まではどうにかダメージを受けつつもやり過ごした。
しかし、最後の第三波が死の運命を連れて迫っていた。
ノクトはダイスで⑥【大失敗】連打。
フライングボット破損。
マジやばいです。
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