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【全58話+外伝4話】されど胸の灯火は消えずに歩ませて~幻獣ハバキネスの件~  作者: ザイン=エル
第三章 今、創痍の胸に残るもの

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第四十四話 絆、揺るがず

「連携するぞ」


ノルツが魔法の詠唱を完了させる前に、ノクトは早口に全員に対して提案した。

今までノクトからそんな提案をされたことがなかったメンバーは一瞬面食らったが、すぐに笑って受け入れる。


「面白い。やってやるよ」


「まかせとき〜」


「バリアは僕に任せて!」


「絶対に、外しません」


短く、だが気迫を込めて、彼らは返事をした。


「お前たちを、信じる。行くぞ!」


ノクトが先陣を切って、影のように飛び出す──

マリンは既に何か不思議な言葉で詠唱を開始していた。

ノルツが置いたトラップ魔法は、ノルツの向いている方向を北として、北〜北東には存在しないとのこと。ノクトはその間へと俊敏に滑り込んだ。足場にトラップは無い。


「いちいちトラップを避けやがって、ムカつく奴らだ……だが、遅い!」


たった今、ノルツの魔法詠唱が完了した。突進してきたノクトもろとも全員を、左手に準備された土の魔法で叩き潰すつもりだ。

上空から落石のごとく、超重量の岩が降り注いだ。


「ひしゃげて、潰れろォ!下賤のゴミ共!」


まともに食らったら全員が肉塊になっていたことだろう。だが──

ハルジオのフライングボットが展開する緑のバリアが、彼らを完璧に守った。岩は弾かれ、的外れなところへドシンドシンと落下した。

だが、その一回で効果を失い、バリアは砕け散る。

突進で近づいたノクトのナイトブレードは、ノルツの首を完璧に捉えようと迫る。

しかし、


「ならば、これはどうする!」


左手に展開された炎の魔法が火を吹く。先程、トロントの飛刃ソイドを完全に溶かしきった凶悪な炎だ。絶対に受けてはいけないものだったが──

ナイトブレードがノルツの首を切断するより早く、ノクトの顔面に地獄の業火が炸裂した。叫ぶ暇も無い。火炎に包まれたノクトは顔を抑えながらよろよろと後退し、その場に崩れ落ちる。


「はははは!まず一人!」


その油断は──致命の隙となる。

その時にはもう、高々とクレアが跳躍していた。トロントが自身の組んだ腕を投擲台として──


「あんた、長い人生だったね」


クレアの静かな一言は、ノルツが最後に聞いた言葉となった。

白く光り輝くジャンプウィングで、クレアの斬撃は超強化される。凄まじい勢いで、魔剣は垂直に斬り降ろされた。

脳天からの一刀両断。

そして、クレアは着地した。


マリンは、過度の緊張で震えて、立ち上がれなくなっていた。心臓があまりにもうるさくて口から飛び出してしまいそうだ。本当に、作戦は成功していたのか……?


ノクトが倒れた姿勢のまま、天に向って親指を立てているのが見えた。

それを見て、マリンのほうこそ倒れてしまいそうなくらい安堵した。ノクトに対して、マリンが単体バリアを差し込んでいたのだ。無論、それは完璧に攻撃を無効化していた。


「もう、こんな作戦、絶対嫌!」


思わず本音で叫んでしまったマリン。


「マリンなら──」


ノクトは姿勢を変えて大の字になって、この美しいオレンジ色の不思議な空だけを視界いっぱいに広げていた。どうしてか、清々しい気持ちだった。

ノクトは、マリンに怒られた時のことを思い出していた。


「オレを、死なせないだろ」


マリンは半泣きになって怒りながら、

「当たり前です!」

と叫んだ。

ハルジオ、トロント、クレアが安堵しながら駆け寄ってくる。






ハバキネスは、ゆっくりと立ち上がる。

死んでいったもう一人の友人を思い、目を伏せ、祈りを捧げていた。

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