表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/22

04. 魔法科の一日~戦闘魔法初級~

 入学二日目から、早速授業開始だ。


 授業内容は多岐に渡るけれど、全て、初級、中級、上級とある。魔法科は内容が多岐に渡るので、専門教科を決める。


 専門教科は上級を履修しなければ卒業できない反面、専門教科以外は初級でも単位さえ取れれば問題ない。


 私はほぼ全教科で飛び級を目指しているので、飛び級試験ばかり受けている。


 今日も午前中は試験だ。最初は魔術回路論。どのような組み合わせが有効かとか、魔法を発動させるために必要な回路はとか、延々と記述させられる大変疲れるものだった。前世で暇にあかせて魔法書を読み漁っただけに、魔術回路論を含めて理論関係は得意だ。多分、上級クラスに入れるのではないかと思う。


 午後からは戦闘魔法初級だ。ひらひらしたローブは危険だからと、更衣室で訓練着に着替える。学園で顔を出すのは躊躇いがあるけれど、この授業はローブが無く、顔を晒さなければいけない。


 広めの演習室に入れば、十人の同級生の中、八人が揃っていた。自己紹介で魔法騎士を目指すと言っていた二人以外は、全員戦闘初心者だったらしい。魔道具を作ったり、魔法薬を作るのに戦闘スキルは必要ないから、当然なのかもしれないけれど。


 この講義だけは先生が四人もいる。それだけ危険だということなのかと思うと、ちょっと怖い。


「まずは火球を部屋の端にある人形にぶつけろ」


 言われた後、詠唱して火を発動させて球体にしたら、誘導して人形に当てる。


 うん、ちゃんと火球が作れたし、人形の中心にも当たった!


 ちょっと嬉しいと思いながら周囲を見れば、私と同じように当たったと喜んでいる。


「バカヤロウ!!」


 なのに何故か罵声を浴びせられる。


「そんなにちんたらやってたら逃げられるだろう、もっと早く動け!!」


 そう言って先生が手本を示す。行くぞといった瞬間、一瞬で火球が現れたと思った直後、人形に当たる。手元ではなく、人形の至近で火を呼び出しているみたいだった。しかも無詠唱で。


「弱くて良い、できるだけ早く攻撃を当てろ!」


 怒られてできるだけ早く魔法を起動する。人形の直ぐ近くに火を呼び出したので、さっきよりずいぶん早い。威力も弱くて良いらしいから、無詠唱にしてみた。種火のような小さくて弱い火だったけど。


「無詠唱か!」


 直ぐ近くにいた教師から声をかけられた。


「ええ、弱くても良いとのことだったので……」


「そうよ、今のようにできるだけ早く攻撃を当てて! 安定して早い攻撃ができるようになったら、徐々に威力を上げていくの」


 私の傍にいるのは女性教師だった。この国では女性騎士が存在しないと思っていたけど、魔法騎士なら女性もいるのだろうか。


「女が珍しい?」


「ええ、この国では女性騎士がいないと聞いていたので」


 正直に肯定する。


「王都にはいないわよ。でも辺境だと男手が足りなくてね。攻撃魔法や戦闘が得意なら、女でも騎士になるの。私はラングーラン出身でね」


 成程、ラングーランは魔獣の多い辺境だ。隣国とのいざこざは少ないけど、魔獣が多すぎて、人同士が戦う状況ではないからだと言われている。


 前世では殆ど王都から出たことが無かった。今世でも領地と王都の往復だけで、辺境まで足を伸ばすことも、他国に行ったこともない。長期休暇に入ったら、一度国外旅行に行ってみようかな。その前に来年来る可能性が高い嵐が片付いたらになるけれど。


 この後、授業が終わるまで、教師から「遅い!」と延々怒鳴られる。


 まずは無詠唱で初級魔法を出すのが直近の課題だ。


 私の他にも無詠唱で初級魔法を発動させられる同級生は、威力を上げろと檄を飛ばされる。


 皆、戦闘能力は低いけど、魔法士を目指す人たちばかりなので、授業が終わるまでには全員が無詠唱魔法に成功した。


 でもそんな程度で教師が納得する筈もなく、威力が弱いとか、無詠唱でも遅いと怒られまくる。最低限、街道で頻繁に出現する魔獣を倒せる程度になれとのことだ。


 この後、防御魔法も授業で習うけれど、そちらも街中で強盗に襲われた時に、警備兵の救援が来るまで持ちこたえろとか、要求が高い。


 王国きっての名門学園なのだから、戦闘系が専門でなくても最低限、魔法で身を守れて当然だそうだ。


 戦闘魔法初級の単位が貰えないと卒業できないから頑張らないと。


 普通は二、三年かけて単位を取得するみたいだけど、私は一年で終わらせる予定だ。領地に戻る道中にでも、護衛付きで魔獣狩りを試してみても良いかも。




 初級の火魔法を出すだけの授業だったのに、終わってみれば疲労困憊だった。馬車の中でエメに着替えを手伝ってもらった後、気付いたら寝ていた。


 目が覚めたら自室のベッドの中というのは大変恥ずかしい。


「お目覚めですか?」


 にっこりと微笑むエメが、幼子を見るような眼差しをたたえている。


「オベールさんが、マリスお嬢様をベッドまで運んでくださいました」


 えっ!?


 そんな恥ずかしすぎる……。


「恥ずかしがることはありませんよ。淑女とはいえ、まだまだ育ち盛りですからね。学園の授業についていくだけで大変でしょう? お母さまも入学したての頃はよく馬車の中で寝てましたよ」


 お母さまも寝てたのね……。って、寝てたのは馬車の中だけで、ベッドまで運んでもらったことはないのでしょう!


 やっぱり恥ずかしすぎる……。


「マリスお嬢様、お母さまが学園に入学したのは十二歳ですよ。七歳の頃は遊び疲れて、オベールにベッドまで運ばれたことが何度もありますよ。結構なお転婆でしたからね」


 私の心の中を見透かしたように言葉を重ねる。


 七歳の身体は、まだまだ体力が無い。ちょっと体力作りをしないと駄目なのかも。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] うん?手元でなくてもある程度任意に場所に炎を生み出せるのですか。じゃ別に大きな炎でなくても対象の口内や頭蓋内で炎を生み出せば大火力でなくても殺傷可能ですね。
[一言] まだ読み始めですが面白いです( ・`д・´) 引き続き読ませて頂きます( ・`ω・´)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ