雪国の朝
「ひっ……つめたっ……!」
朝、氷のように冷たい畳の床が頭の中の眠気を一掃する。
カーテンを開け、窓の外を見るとしんしんと雪が降っている。
このくらい降り積もってしまえば東京なんてもう電車は動かないんだろうなと、
雪国の人がマウントを取る理由が少しわかった気がした。
パジャマから私服に着替えて階段を下りる。
居間にはおばあちゃんが作ってくれた豆腐の味噌汁と菜っ葉のおひたしが食卓に並んでいる。
「あれ? ご飯がない」
「おはよう柚ちゃん、お餅食べる?」
おばあちゃんの声がキッチンからして私はキッチンに向かった。
キッチンの冷たい床は歩くたびギシギシきしむ音がする。
「食べたい! あ、そのお餅……」
東京の家には冬になると豆の入ったお餅が届くのだが、そういえばおばあちゃんの手作りで
わざわざ毎年欠かさず送ってくれていたことを思い出した。
年季の入った灯油ストーブの上にフライパンを置き、その上にお餅を置く。
しばらくするとお餅がぷくーっと膨らみ始めた。取り皿に大さじ一杯の砂糖と同じ分量の醤油をたらし
その上に焼きあがったばかりの熱いお餅を乗せる。
お餅の熱が砂糖を溶かし、醤油と混ざりあう。
シンプルながらも最強の組み合わせの完成だ。
「いただきます」
今のこたつで暖を取りながら朝ごはんを食べる。
まだ湯気の上がるお餅を砂糖醤油のたれに絡め、のどに詰まらせないように注意しながら少しずつ口に運ぶ。
少し甘みのあるお餅と甘じょっぱい砂糖醤油が口の中で絡まりあう。
おふくろの味ってきっとこんな感じなんだろう。
懐かしいというかあたたかさを感じる。
この季節限定の味だ。
朝ごはんを食べ終えて、こたつに入りながらゴロゴロして、テレビの天気予報の積雪量に驚愕したり
おばあちゃんのクロスワードパズルを手伝ったりしていた。
ピンポーン
玄関の呼び鈴が鳴って、おばあちゃんが早速玄関に向かった。
「まぁ、寒そうな格好ね~……雪代さんのお孫さん?」
「佳代子ちゃん?」
玄関にはこの雪の中を歩いてきたとは到底思えないミニスカート姿の佳代子ちゃんがいた。
「やほ~迎えに来たよ~」
「柚ちゃんに用があったんだね、今日は寒いから柚ちゃんはあったかい格好で行っておいで」
おばあちゃんに言われた通り、私は寒さを考慮した服装で外に出た。
「今日も寒いね~」
その発言は雪の日にミニスカートを履いている人が言えるものではないと思う。
そんなことを思いながら新雪の降り積もる道を歩く。
今日もまた佳代子ちゃんと温泉街の散策が始まる。
最後まで読んでいただきありがとうございます!




