佳代子ちゃんのスキー教室!②
最初はカニ歩きでスキー場の斜面を横向きに登る練習。
正直言って地味というか。地道だけどそれなりに体力を奪われる。
日頃の運動不足も祟り、思っていたよりも体力を消耗していく。
私はいつもより相当重たい足取りで五メートルほど斜面を登った。
「よし! オッケー!そこからゆっくり滑っておいで~」
五メートル下にいる佳代子ちゃんが優しい口調で言った。
「ゆっくり……滑る」
スキー板を斜面の下方向に向かって動かす。
すると徐々にまっすぐになったスキー板が雪の上をズルズルと滑り始める……が
だんだん速度が増していって私の脳内は即座にパニックに切り替わった。
「━━━━━━━━きゃああああああーっ!!!止めてえええ!!!」
「柚ちゃん! スキーの板をハの字にしてみて!」
私は藁にもすがる気持ちでスキー板をハの字にしてみる。
するとみるみるうちに速度が落ちていく。
「凄いよ柚ちゃん! もうボーゲンできちゃった! 意外とセンスあるかもね?」
「え? これってすごいの?!」
「スキーほぼ初心者ですぐにボーゲンできる人は結構少ないんじゃないかな~あたしも初めて滑った日にはできなかったし」
「そ、それでも頑張ってインターハイまで行ける佳代子ちゃんも私はすごいと思うよ? 私ならきっとどこかで挫折しちゃうもん」
「柚ちゃんありがとぉぉ!なんか十数年分の苦しみ全部チャラになった気分!」
「そう? なんだかこっちも嬉しいや」
「よし、じゃあ上手に転ぶ練習は普通のゲレンデでやろうか、リフト乗るよ! 二人乗りだから安心して!」
「二人乗り……か」
やっぱり、佳代子ちゃんは強い人間だ。
そんな感じで私は緩やかだけど順調にスキーの腕が上達していった。
スキーの腕よりもリフトに乗る瞬間に太ももの裏にリフトがぶつかって痛いのが難点だった。
◇ ◇ ◇
そして時刻はあっという間にお昼を回った。
今日のお昼ご飯はスキー場にあるペンションの食堂のカレーライス。
甘口で食べやすくてご飯も甘みがあって美味しく、ペロリと食べれちゃう。
「このカレーね、隠し味が入ってるんだけど……何かわかる?」
窓際の席で一緒にカレーを食べている最中に佳代子ちゃんが突然話を切り出した。
「え~なんだろう、梨とか?」
「残念! 正解は……ピーナッツバター!」
「え!? カレーにピーナッツバター!?」
「入れるとカレーがまろやかに仕上がるらしいよ!」
「へぇ~帰ったらお母さんに教えてあげようかな」
私はそう言ってカレーをもう一口食べる。
そこはかとなくピーナッツバターの風味がカレーの奥にいたような気がした。
「柚ちゃん、良ければ後でまた温泉行かない?」
「え! 温泉!? 行く行く!」
「決まりだね! よーし、じゃあ午後も頑張ってこう!」
「「おー!!!」」
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