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温度で覚えている
記憶には温度がある
あの夏の日のアスファルトの熱さ
冬の朝に触れた水道の冷たさ
誰かの手のあたたかさ
言葉より先に体が覚えている
悲しかった日の空気はじっとりと重くて
うれしかった日の風は軽かった
出来事は忘れても温度だけが残ることがある
なぜあの場所を懐かしく思うのか
うまく説明できないのは
それが言葉じゃなくて
温度の記憶だからだ
冬になると、あの人のことを思い出すのも
たぶんそういうことだ
寒かった日に隣にいてくれた
その温度が
体のどこかにまだ残っているから
温度は嘘をつかない
体はちゃんと覚えている
忘れたくないものは
言葉にするより
もう一度触れてみるといい




