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名もなきうた  作者: 空野 翔


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2/5

忘れ方を知らない

忘れようとすると思い出す

それが記憶の意地悪なところだ


忘れたふりをしばらく続けていたら

本当に薄くなってきた

それが少し寂しかった


忘れたかったはずなのに

薄くなると寂しいなんて

勝手だと思う

人の気持ちは勝手なものだ


忘れるというのは消えることじゃなくて

置き場所が変わることだと

誰かが言っていた


引き出しの奥にしまわれているだけで

なくなったわけじゃない


ふとした瞬間に

においや音や季節の空気で

するりと出てくる


それを懐かしいと感じるか

まだ痛いと感じるかは

その日による


忘れ方を誰も教えてくれなかった

でも考えたら教えられるものじゃない


自分の速度で

自分だけの忘れ方で

少しずつ、置き場所を変えていく


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