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名もなきうた  作者: 空野 翔


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名前を呼ぶということ

名前を呼ばれると振り向く

それは当たり前のことだけど

考えてみると不思議だ


自分でつけた名前じゃないのに

これが自分だとずっと思ってきた


親が呼んでいた声

友達が呼ぶ声

好きな人が呼ぶ声

同じ名前なのに全部ちがって聞こえる

声のトーンで自分の立ち位置が分かる


名前を呼ぶことは

その人の存在を確かめることだと思う


ここにいる

あなたはここにいると

声に出して証明すること


久しぶりに会った人に

名前を呼んでもらったとき

覚えていてくれたと思って、嬉しかった


記憶されているということは

存在したということだ


誰かの名前を呼ぶとき

ていねいに呼ぼうと思っている


その名前はその人そのものだから


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