第21話 トトロとナウシカ抹殺会議
――殺し屋円卓会議
重厚な石造りの広間。
天井は高く、燭台の炎がゆらゆらと揺れ、
まるで生き物のように影を踊らせている。
その中心――
巨大な円卓。
そこに座るのは、“人間ではない連中”ばかりだった。
「……遅いわねぇ」
紫の唇から、細く煙が吐き出される。
ボンテージファッションに身を包んだダークエルフ――ガレリア。
脚を組み、退屈そうに煙管を回す仕草すら、
どこか芝居がかっている。
「全員揃ってるのかよ?」
とんがり帽子のドワーフが机を叩く。
「まだだ、ポール」
「だから俺はポールじゃねえ!!ジャンだ!!」
「ポールは私だ」
中央のドワーフが静かに手を挙げる。
「……お前らさぁ」
ガレリアが肩をすくめる。
「見分けつかないのよ。スリーポリンキーズ」
「だから違うって言ってんだろ!!」
三兄弟の怒号がハモる。
「うるせえなぁ……」
低く、苛立った声。
全員の視線が入口へ向く。
ギィ――と扉が開き、
現れたのは、
黒スーツに赤ネクタイ、筋骨隆々の男――虎徹。
その後ろに、
虎のマスクをかぶった獣人――アントニオ。
「遅えぞ兄貴!!髪決まるまで待たされたんだぞ!!」
「うるせえ黙ってろ」
虎徹が一蹴する。
「やっと全員ね」
ガレリアが煙を吐く。
空中に、黒いモニターが展開される。
そこに映るのは――
ハヤオとセリス。
「今回のターゲットはこいつらよ」
「王党派、ヴァルカナ家の生き残り」
「早い者勝ちで殺しなさい」
沈黙。
そして――
「殺る」
最初に動いたのはドワーフのジャンだった。
「ポリンキーズ、お前らじゃ無理だ」
虎徹が鼻で笑う。
空気が一気に張り詰める。
「……なんだと?」
ジャンの目が細くなる。
「先にテメェを殺してやろうか?」
斧を握る虎徹。
「いいねぇ、それ」
ガレリアが愉快そうに笑う。
「やめろ!!」
声が野太くなる。
さっきまでの艶やかな声とは別人のようだ。
「……おいオカマ」
虎徹がニヤつく。
「ハヤオは強ぇぞ」
「オカマじゃないわよ」
ガレリアが睨む。
「ドラァグクイーンと呼びなさいな」
「で、問題はそこじゃねえ」
虎徹がモニターを指す。
「こいつだ」
セリス。
「……鬼人か」
静かに口を開いたのは、
白目の男――ローハン。
「わしは目が見えん」
「ハヤオの匂いは覚えとるが……」
「もう一人は保証できんぞ」
「構わないわ。報酬は出す。カツシン」
「だから名前で呼べ」
「師匠、俺が補助します」
金髪ジャージの青年が軽く手を挙げる。
「すまんな、ウツセ」
「で、基本料金は?」
カマキリ頭の男が首を傾げる。
その隣、蜂の女が静かに微笑む。
「仕事は仕事よ」
「うわっ、出たよショッカー」
虎徹が笑う。
「カマキリ男と蜂女」
「ショッカーとは何だ」
「仮面ライダーだ」
「仮面で馬に乗るのか?」
「馬じゃねえけどな」
「ほんと、人間って雑よね」
蜂のソフィーがため息。
「同感だ」
カマキリのガブリエルが頷く。
「話を戻すわ」
ガレリアが指を鳴らす。
「奴らは鬼の国へ向かう」
「そこに入られる前に殺しなさい」
「ちなみにな」
ドワーフのポールが聞く。
「ハヤオのあだ名って何なんだ?」
「……トトロ」
虎徹が即答。
「は?」
「定着しなかったけどな」
「じゃあ決まりだ」
虎徹がニヤリと笑う。
「コードネーム」
「トトロとナウシカ」
沈黙。
そして――
「……全くわからん」
全員一致。
それでも、
誰一人として席を立たない。
理由は一つ。
全員が理解しているからだ。
これは――
“殺し合いの前哨戦”だと。
虎徹が立ち上がる。
「じゃあ、狩りの時間だ」
アントニオが笑う。
「いいねぇ兄貴」
炎が揺れる。
影が歪む。
そして――
この場にいる全員が、
同じことを思っていた。
(――どいつが一番先に殺す?)
暗殺計画、始動。




