7時限目 ラーズグリーズの悪魔
あきくん... あきくん...
真白たんの声が聞こえる気がする。
気のせいだろうか。
モヤがかかったような。そんな世界。
おかしい.….. おかしい.…..
世界が僕に対して、こんなに厳しいわけがないのだ。
前は、誰とでも普通に話せてたはずなのに。
あの日を境に、僕の人生は一変してしまった。
最愛の母が急死したのだ。
母はいつだって優しかった。
母だけが僕の唯一の理解者だった。
なのに...
「あきくん!あきくん!」
「真白たん...?」
「たんってなに?笑 あきくんすごいうなされてたよ」
目が覚めると保健室のベッドだった。
「あきくん昨日もどうせノベルゲームやってたんでしょ〜?笑」
「ご、ごめん...真白...」
「今日学校お休みするべきだったね〜?」
「お義父さんに怒られちゃうなぁ」
「教室に戻るよ」
「だ〜め♡」
「あきくんの健康管理は私の仕事なの」
「今日は早退するよ。先生には伝えてあるから」
ちょっと待ってくれ。真白たんってやっぱり天使なのか?
「それともあきくん。私から逃げられると思ってるの?」
なぜだろう...心臓の鼓動が速くなる。
脳が“ここから逃げろ”と言っている気がする。
だが天使がそれを許してくれない。
結局その日は早退することになった。
「ただいま...」
「お邪魔しまーす」
時刻は14時、相変わらず玄関の扉は鍵がかかっていなかった。
「おう、明。真白ちゃん。どうしたんだこんな時間に」
「あ、父さん...」
「あきくんが体調不良だったので、早退してきました」
俺が説明し切る前に真白たんが説明してくれた。
やっぱり真白たんは天使だなぁ。
「そうか。父さん今から仕事だから。真白ちゃんいつも悪いな。明のこと、頼めるか?」
「任せてください。お義父さん」
「じゃあ、行ってくる。あと2人とも、くれぐれも、ほどほどにな」
「あきくん何しよっか?時間はたっぷりあるね〜」
「エスコン5やる」
「ラーズグリーズの悪魔?」
「え、真白ちゃんなんで知って...」
「あきくんのことはなんでも知ってるよ?」
「ダヴェンポート大尉が好きなことも」
チョッパーの話はしたが、彼の本名を話したことはない。
「あ、真白ちゃんもエスコン5好きだったんだ」
多分SNSか何かで知ったんだろう。
彼女だけは俺の唯一の味方だ。
頭にモヤがかかる。
“高度5000フィート以上を維持しろ”
“弾着、今”
ユークトバニアの潜水空母シンファクシから発射された散弾ミサイルで、味方の空母が沈んでゆく...
「思うんだけどさー!空母の護衛の駆逐艦が1隻ってどうなのよ?」
「縦深浅すぎない???」
「対潜哨戒は駆逐艦の仕事だろ?オーシアの機動部隊終わってるよね!」
「オーシア海軍のドクトリン終わってる!!!」
「あきくんうるさい。ちょっと今良いとこなの」
真白たんは俺のベッドで漫画を読んでいる。
真白たんスカート短すぎない?パンツ見えそうなんだけど!
もうちょい、もうちょい......白!!!
Pull up! Pull up!
「あ!!!」
「マジか.…..ミッションやり直しだよ〜」
真白たんの方を見る。間違いなく白だ。
やっぱ天使は白が似合うなぁ。
「あきくん視線でバレバレだよ〜笑」
やばい!いつからバレてた?!真白たんに嫌われたら俺は生きていけない。
「な、なんのこと?」
「パンツ、見てるでしょ?」
「見てない!見てない!」
「そんなに見たいなら言ってくれればいいのに〜♡」
「え?」
「なーんて、冗談だよ〜笑」
「はは...」
冗談のはずなのに、なぜか安心できなかった。




