5時限目 山口多聞はローマ人だった
「ただいま〜」
「お邪魔しまーす」
ただいまと言っても、父は夜勤なので自宅には誰もいない。それにしても、オートロックだからと言って玄関の鍵をかけないで出勤するのは如何なものだろうか?それが世間の常識なのか?
帰宅後、俺の部屋で真白たんとゲームや読書をするのが日課になっている。
「真白ちゃん。見たい映画があるんだけど、一緒に見ない?」
「いいよー!何て映画?」
「これ!」
棚から俺が大好きな映画 聯合艦隊司令長官山本五十六を取り出す。
「何これ?」
「聯合艦隊司令長官山本五十六!!!」
「れんごうかんたい?」
「うん!聯合艦隊司令長官山本五十六」
「どれが苗字でどれが名前なの?笑」
「山本が苗字で五十六が名前だよ!」
「じゃあれんごうかんたいは何?」
「これは帝国海軍の役職だね!聯合艦隊司令長官っていうのは、帝国海軍のNo.2なんだよ!」
「んー、あきくんの趣味って変わってるよね?」
「それって面白いの?」
「ごめん...真白ちゃん...興味ないよね...」
「そんなことないよ!見よう見よう〜!」
「山口多聞提督...山本長官...(号泣)」
「なんか難しい話だったけど、面白かったねー!」
「でしょ!でしょ!」
「ちなみに山口多聞少将はローマ人なんだよ!」
「ローマ人?どゆこと?笑」
「説明するね!山口多聞少将の俳優は阿部寛でしょ?」
「うん?」
「阿部寛はテルマエ・ロマエでローマ人の役やってるから!山口多聞少将はローマ人なんだよ!」
自分でも何を言っているのかわからなくなってきた。
「え?なんで同じ俳優さんだとローマ人になるの?日本の軍人さんなんだよね?」
「それは...えっと...」
「あきくんのこじつけだよね?笑」
何も言い返せない。
「ごめんなさい...」
ポツダム宣言である。
「なんで謝るの笑 かわいいねあきくん♡」
恥ずかしさで死にたくなってきた。
誰か俺を殺してくれ。
「あきくん元気ないね?」
俺は死にたいんだ。
「さっきの続きしてあげよっか?」
「さっきの続き?」
「キスの続きだよ♡」
「だ、唾液の交換は風邪やインフルのリスクしかないよ!」
「うっさい!」
真白たんに無理矢理体を引き寄せられる。
キス
真白たんの唇を感じる
脳内に宇宙が広がっていくのを感じる。
願わくば七難八苦を我に与えたまえ
って!違うだろ!
慌てて真白たんの肩を掴んで引き離す。
「真白ちゃん!キスすると赤ちゃんができちゃうんだよ!」
動揺しすぎて何を言ってるのかわからなくなってきた。
「あきくんとの赤ちゃんならできちゃってもいいよ♡」
「え???」
「おっと、もうこんな時間だね。また明日ねー!」
時刻は21時を過ぎていた。




