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オルター・イグジスタンス  作者: 夢見る冒険者


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第3話 ボッチは才能ですか?

その後も僕だけがどこか浮いている空気感だった。当然だろう、みんなは僕と違って、褒められるようなスキルを与えられたのだから……。


対して僕は、どっか不気味なスキルを授けられたせいか、兵士からもクラスメイから敬遠されていた。仮にこれが、強力な能力でも「未来視」とか「第六感」なら分かりやすかった。そっちの方だったら警戒されなかっんだろうな……。


なんて羨まし気に僕は彼らを見つめ、はぁ~と溜息を吐きながらついて行った。一通り案内が済まされると、食堂に通される。そこには勇者一行を祝う歓迎会用の食事が用意されていた。


もちろん表向きは新人兵士を歓迎する会とのことだった。というのも魔王軍の密偵がいる可能性がいるからこその警戒らしい。なので明日からは他の兵士と同じような食べ物とかになるようだ。さっき案内された部屋も、狭かったし。というか僕だけ一人部屋って……。


まぁ、いいんだけどね。……ぐすん。


周囲とどこか馴染めない中、僕は食事を喉に通す。意外にも料理の味は悪くない。人の好みはそこまで変わらないのかもしれない。


というか隠しスキルとかないのかな?ステータスオープンとかいったりして……


————ブウンッ。


突如現れたウィンドウ画面に驚き思わず声が出そうになる。若干前のめりになったからだろう、隣に座っていた女子が驚いたように僕を見つめて、少し席を離した。


……ごめん、今のは僕が悪いよね。


と項垂れつつ、僕はウィンドウに視線を戻す。というかコレってさっきの結果と違くない。だってそこに描かれていたのは


職業:The Fool

スキル:Alter Existence

称号:<英雄に憧れし者>


そう記載されていた。もしかして、日本語表記がデフォルトだから、勝手に翻訳された?というか、The Fool? Foolじゃなくて?と疑問に思ってしまう。愚者と指すだけならFoolが一般的だ。Theとなると特定の者を指す。


象徴的な存在か、その場に一人しかいない者。……え、愚か者ってクラスで僕だっけ弄られてますかね、コレ?というか、Existenceなら存在を変えられる感じだよね。なら、現存する全てに適用しろよと思ってしまうが嘆いても始まらない。


結局その日はただ、ステータス画面とにらめっこするだけで終わってしまう。隣にいる男子たちの笑い声を聞きながら僕だけ一人用の狭い部屋で眠りに着くのだった……。


この後に辛い日々があるとも知らずに……。


***


次の日からはいよいよ訓練に入っていく。僕たちが集められたのは魔法使い用の訓練場だ。


天井は高く、壁には王国の紋章を描いた純白の旗が等間隔に掲げられている。室内には魔法使い用の的だろう。ダーツのように中心に円形の赤い部分。そこから離れるごとに、白➔茶色➔黒で的が分けられている。精度などを測るのだろうか?


なんて、クラスメイトと一緒に待っている。それでも昨日の影響だろうな、どことなく距離が遠かった。


多分、教室で過ごしていたときはいてもいなくてもどっちでもいい存在だった。それが、昨日からは傍にいて欲しくないという想いがひしひしと伝わってくる。誰とも視線が合わない中で唯一、西宮さんだけはこちらを向いて、ふっと笑みを向けてくれる。


その対応にどこか安心すると同時に、


(やっぱり、好きだなぁ~)


と自分の気持ちを再確認する。きっとこの想いは叶わないんだろう。けど、初めて誰かを好きになってその相手が彼女で良かったと心の底から誇りに僕は思うんだろう……。


いや、やっぱり誰かと付き合っている姿を想像したら耐えられませんでした……。


***


僕たちの講師をしてくれる人たちが、重厚な扉を開けて入ってくる。甲冑を着た人が6名ほど、それにローブを纏った人が一名だった。そのなかで最初に紹介されたのは、魔法を担当する講師だ。


ゆったりとした魔女らしいローブに、とんがり帽子。少し猫背気味の姿勢も相まって、まるで物語からそのまま出てきたような雰囲気をまとっている。かと思えば体つきむっちりとしており、とりわけ胸元が印象的な女性だった。


ついで、甲冑に身を包んだ戦士らしき人達も紹介されていった。全員が鍛え上げられた屈強な肉体を持つ兵士ばかりで、立っているだけでも迫力がある。眼光も鋭く、あんな人たちにしごかれるのかと思うと、少し背筋が寒くなった。


そんなことを考えているうちに、僕たちはそれぞれの担当へと振り分けられていく。


「なるほどね。君のステータスなら、魔法職が向いているかな。……というか、魔力量だけなら勇者並みだね」


その言葉を聞いた瞬間、胸が高鳴った。


(もしかして……僕にも可能性があるのか?)


今まで期待なんてされたことがなかったからこそ、その一言だけで心が躍る。僕のステータスは身体能力などはゴミだが、魔力だけは高い。昨日までは比較が出来なかったが勇者並みなのか!と思わずステータスを見ながらにやける。


力:10

防御力:10

魔法耐性:10

俊敏性10

魔力量:100


まぁ、他の数字に関してはかなり弱い。というか、女子でも力の最低数値が20だったので、僕はクラス最弱である。けれど、平均ステータスが40で、殆どの人が65に到達しないことを考えると、やっぱり100は魅力的だ。だって、現状最高数値は100なんだから!!


まぁ、相良の場合は、オール100なんだけどね……。


相良が歴代最高の勇者でも平均85が最高の中で凄いと騒がれるなか、僕はほくそ笑んでいた。きっと、僕には逆転がある。スキルの方が重要視されていようと。古代魔法とか、それに匹敵するものを身に付けられるはずだ!


なんて浮かれていたんだ、その時の僕は……。


期待を胸に、僕は魔法職のところに集まる。当然のように男子がこちらに参加する人はいないかった。なにより、


(マジか……)


汲み分けられたところで待っていると、西宮さんもこちらに集まっていたのだ!!これは他の男子を出し抜けるチャンスなのでは?そう自然と胸が高鳴って、喉がなった。


他の男子が、戦士用の訓練場に向かう中、僕は胸の大きな魔法職のお姉さんについて行き、訓練を開始するのだった。

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