表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オルター・イグジスタンス  作者: 夢見る冒険者


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/22

第18話 初めてのレベルアップ

その後も模擬戦は続き、僕は相手の癖や動きを少しずつ見抜けるようになっていった。あと一歩で、もう一人倒せる。そんな手応えを掴んだところで、その日の訓練は終わりとなる。


僕に負けたクラスメイト達はどこか悔し気に僕の方を見つめ、あと少しというところまで追い詰められた彼もまたどこか、悔し気にぎゅっと手を握っていた。


それにどこか悪いなという気持ちも感じる。きっと今までは僕が一番下だったからこそ余裕があった。けれどその優位性は無くなりつつあり、佐野が呆れたように彼らを見つめていた。


180cm以上のガタイの良い彼に睨まれてどこか怯える気持ちは良く分かる。僕もまた、あの時の出来事は軽いトラウマでもあったから、彼とはあの日以来目を合わせることは出来ていなかった。


そんな中で教官が声を出す。


「どうしますか?今日は残って訓練する方がいれば、私達も残りますが」


なんて他の教官たちもそんな提案をする。当然のように僕も残るし、ガレスさんも付き合ってくれる。静まり返る訓練場。


やがて、ゆっくりと手が挙がった。僕に負けた三人だった。


「……残ります」


悔しさを滲ませながら、それでも前を向いて答える。その姿を見て、佐野は少しだけ視線を緩める。どこか怯えていた彼らもようやく肩の力を抜いた。


意外だったのはそれ以外の人達も手を上げて


「俺も残ります」

「私も」


なんて、一人、また一人と訓練場へ残る。何が彼らの心を動かしたのかは分からない。ただ一つだけ、確かなことがある。


この日を境に、このクラスは変わり始めた。誰も油断しなくなった。努力することを、当たり前だと思うようになった。


その事実に焦りがないと言えば嘘になる。彼らとの差がまた開くということに。なにより、次の演習でレベルが上がれば、その差は歴然となるだろう。それでも、この結果クラスメイトである彼らの生存確率があがるならいいと思う。


きっと西宮さんならそう告げそうな気がした。



***



あの日から、訓練に励む者は多くなった。時には佐野や坂田でさえ居残って剣を振るうようになる。それでも、その差は歴然だった。相変わらず彼らは、僕たちの何倍もの速さで強くなっていく。


スキルを使うたびに剣筋は洗練され、体の使い方も研ぎ澄まされていく。まるで剣が自分の体の一部になったかのように、鋭く、速く、そして重い一撃を放つ。


「やっぱり、うまく力を伝えるのは難しいな」


そんなことを口にしながらも、その剣閃は見るたびに鋭さを増していく。その底知れない成長ぶりに、思わず末恐ろしさすら覚える。


そうして一週間が過ぎた僕達は、再度遠征へと向かうのだった。



*****



「左近寺左任せた」

「OK」


以前と同じように森に入った僕達は戦闘を開始する。最初は2体で身体を慣らし、現在は3体のゴブリンと戦闘をしている。


左近寺が左端の一体に距離を詰めて、相手の攻撃をスッと左に躱し、そのまま前のめりになった相手の背後を切りつける。訓練によってその鋭さは更にましており、一撃でゴブリンを絶命させる。


右端にいる敵に関しては平山が対処する。斥候という身軽さを武器にする彼は、相手の隙を測るようにフェイントや軽い攻撃を放つ。当然拮抗したように見える敵は、焦らされるのに耐えられなくなり大ぶりになる。その隙を突くように瞬間的に加速した彼が心臓を一突きし、相手を絶命させた。


左近寺が剛なら、平山が技という感じだ。そうして浜松さんもまた、魔法を完成させて放つ。僕が抑えていた敵にのみ攻撃がいくように、魔法をホーミングさせて、敵を倒した。


ようやく戦闘に慣れてきた僕たちはハイタッチをする。少しずつこの世界になれるように、小さなことから互いに褒めるようにしていた。


自分たちの成長を実感しながら、僕達は再び次の獲物を探し始めるのだった。そうして、みんながまたレベルを上げた瞬間、僕自身もまた全身がふっと軽くなり、力が内側から湧き上がってくるような、不思議な感覚を味わった。


「もしかして……レベルアップ?」

「おっ、いよいよ白石もレベルアップか!」


左近寺がどこか嬉しそうに僕の方を見つめてくる。どこか戸惑いつつ、口持ちがにやけるのが分かる。


「体が急に軽くなったようになる感じだよね」

「そうだよ!! それがレベルアップだよ」


なんて浜松さんも笑みを浮かべながらこくこくと頷く。


「良かったな白石」

「うん!!」


平山のその言葉に頷いた。ガレスさんどこかほっとしたように、それでも自分事のように嬉しそうにニカッと笑う。


「なかなか上がらないから心配してたけど、よかったじゃねぇか」

「はい! これで少しは皆に貢献できそうです!!」


自然と笑みを零しながら胸に手を当てる。本当によかったと安堵していた。自分でも気付かないくらいに、不安が募っていたのだろうな……。


さて、どれくらい上がったのかな?少し疑問に思いながら見つめると、かなり上昇していた。


力:48 → 68

防御力:50 → 65

魔法耐性:28 → 35

俊敏性:55 → 68

魔力量:180 → 230


「すごい全体的に20くらい上がっていますよ!!」

「そりゃすごいな、勇者並みじゃねぇか!」


ガレスさんもどこか楽し気に笑いつつ、少し顔を顰める。何か懸念があるように。


「……っていうか、お前、どうやって自身の数値を知ったんだ?」

「え?」


思わず僕は首を傾げて、ガレスさんを見つめてしまう。……あぁ、そっかこういうのは他の世界から着た僕達の特権というヤツだろう。そう納得してみんなに尋ねる。


「みんなも見られるよね?『ステータスオープン』って念じれば」


そう尋ねる、佐近たちは顔を見合わせ、一斉に首を横へ振った。


「いや、俺たちは見られないけど」


その言葉に平山も浜松さんも頷いていた。……?もしかして僕だけの特権とか。状態を把握できる感じの。そう仮定して僕は左近寺たちの方を見つめるが特段ステータスが表示されることは無かった。


「鑑定持ちじゃないとしたら、スキルの能力なのかもしれないな」


なんて仮定しつつ、僕自身もまたその可能性が高いと感じていた。自分だけを把握できる能力。それはいったいなんて考えていると、敵の気配がする。


「どうやら検証している時間はないようだな」

「そうですね」


僕は切り替えて敵と対峙するのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ