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オルター・イグジスタンス  作者: 夢見る冒険者


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第13話 初めての戦闘を終えて

戦闘を終えた僕たちは、木陰に腰を下ろし、それぞれ木の幹にもたれかかっていた。


誰も口を開けなかった。項垂れたようにただ地面を見つめ全員が、半ば呆然としていた。本当の意味で、魔物と戦うということ。それがどういうことなのか、今初めて僕たちは理解したのだ。


直接戦った僕たちは先程の感触がまだ残っているせいだろう。手をじーっと見つめてはぎゅっと手を握ってしまう。さっきまで生きていた命を、この手で断った。その現実から目を逸らさないように。


そんな風に空気が重い中、沈黙を破るように、教官がパンパンパン、と両手を打ち鳴らした。


「初めての実戦、お疲れ様。もっと取り乱すかと思っていたが……意外によくやった」


教官の表情はどこか誇らしげであった。それが本心だと分かっている者の僕たちは素直に喜べていない。そんな中、このチームのリーダーである左近寺が返す。


「……そうですかね」

「あぁ、そうだ」


教官は深く頷いて肯定してくれるものの、この中で素直にその賛辞を受け取れるものはいない。


「僕たち、本当の意味で命のやり取りをするってことを、何も分かっていませんでした。あの時、白石が前に出なければ、僕たちは仲間が傷ついていても動けなかったかもしれない」


そんな言葉に驚いてしまう。そう思ってくれたことに嬉しいと感じる。けれど僕だって左近寺たちがいなければ行動できなかった。最初に攻撃する勇気がなくて、左近寺が攻撃してくれたから僕も踏ん切りがついた。


もし一人だったらきっと僕は硬直して見合っていたままだろう。そんな僕たちの様子を見る教官の目はどこか温かな目だった。僕に色々と教えてくれる時の様な懐かしいものを見るような目立った。


「最初は誰だってそうだ。怖くて当たり前だ。ションベン漏らさなかっただけマシだろ?」


なんて笑って告げてくる。確かにそうかもしれないな。なんて思っていると、浜松さんがきゅっとふとももを内側に曲げる。それに僕は気付かないふりをしつつ、教官を再度見つめる。


「お前たちは生き残った。逃げずに立ち向かえた。それが今日、一番大事なことだ」

「……そうですね」


僕は小さく呟きながら頷く。それに他のメンバーも頷いていた。そうやって、自分に言い聞かせるように。


「どうする、いったん戻るか、それとも、再度挑戦するか?」


その問いかけに対して左近寺に視線が集まる。この場のリーダーであるからこそ、彼に選択権が与えられている感じだった。


「おれは……進みたいと思う。お前たちはどうだ?」

「僕も挑戦したい。ここで逃げたら、ずっと恐怖したままだから」

「私も……次こそは、戦いたい」


それに左近寺は頷いた。


「白石はどうなんだ?」


唐突に尋ねられて思わず目を丸くしてしまった。まさか意見を求められるなんて思っていなかったから。


「僕も挑戦したい。もう、逃げ出したくないから」


それに左近寺は頷いた。


「なら、行こう」


そうして僕たちみんなは立ち上がる。全員が立ち上がり、歩き出す中で左近寺が、立ち止まる。不思議そうにする中で、


「白石、さっきは助かった。ありがとう」


そういって颯爽と彼は歩いて行く。それに残りの二人が驚きつつ、


「ありがとう、白石」

「白石君。さっきはありがとう」


と感謝の気持ちを伝えてくれる。それに驚きつつ、嬉しさも込み上げてくる。チームとして認められたような、どこか仲間に入れて貰えたような気がしたから。だから、


「おれの、ほうこそ、ありがとう。真っ先に攻撃してくれたから、僕も武器を振り下ろせた」


その言葉に、左近寺は照れたように頬を人差し指でかきつつ、先へ進んでいくのだった。



***



僕たちは再び森の奥へ歩き始めた。二体以上で行動する魔物を見つけた場合は撤退する。無理せず、今は先頭に慣れるために一体だけの魔物を探しては、確実に仕留めていく。


一歩踏み出す覚悟を決めたからだろうさっきまでよりも迷いなく剣を振れるようになっていた。浜松さんもまた、魔法で攻撃をする。慣れてきたからだろう、先制で魔法を放ち相手に重傷を負わせることに成功することがあった。


そうして4度目の戦闘を終えた時だった。左近寺が驚いたようにビクッと肩を震わせる。それに警戒して僕が周囲を見つめると。


「ごめん、勘違いさせたな。急に体が軽くなったから驚いたんだ」


その意味が分からず僕が首を傾げていると。


「あぁ、レベルが上がったんだな」


その言葉に全員が驚いた。そう言う要素もあるのかと。


「にしてもやっぱり異世界から来た奴は成長が速いな」

「そんなに早いんですか?」

「あぁ、通常なら、15回くらいの戦闘を得てレベルが上がるもんだ」


その言葉に納得する。


「個人差はあるだろうが、他の三名もどうようにすぐに成長するだろう」


教官の言葉通り、次の戦闘で、平山が、さらに次で、浜松さんのレベルがアップした。きっと活躍に応じてレベルが上がるのだろう。そう考えていると左近寺が提案してくる。


「大分戦闘にはなれたと思う。どうだ、二体いる相手にいどまないか?」


真剣な表情で見つめる彼の視線に思わずごくりと喉が鳴るのを感じる。現状は確かに余裕が出て来ていたからだった。レベルアップしたという事もあり、左近寺一人でも相手できるくらいにはなって来た。だから


「うん、僕は良いと思う」

「あぁ、僕も良いと思うぜ」

「私も、良いと思います」


その言葉に左近寺が頷いた。


「よし、行こう!!」


そうして僕たちはいよいよ二体同時の魔物へ挑むことになった。


「僕が一体を相手する。二人はもう一対を、浜松は援護を」

『了解!!』


僕は盾を構えながら距離を詰める。こらえきれないゴブリンが剣を振り下ろし、しっかり受け止めたところで、平山が攻撃をする。右腕で持っている手首らへんをスパッときり、相手が武器を落とす。その間に僕がゴブリンを切りつけた。


傷は大分深く、よろけたところを、平山が攻撃し止めを刺した。


(もう一体は……)


そうして見つめた先には、浜松さんが魔法で上手く牽制し、その隙に左近寺が敵を切り裂いた所だった。その傷は深くゴブリンはドサッと倒れて絶命する。


相手がいきだえたのを確認し僕たちは戦闘を終えた。


「パーティーとして少しは仕上がって来たな」


その言葉に頷き、僕たちもまた少しずつ距離が縮まっていったのが分かる。背中を預けるくらいには、互いを信頼し合っている。それが伝わって来た。


その後は同様に二体の敵を倒していく。そうして合計で15体ほどの敵を屠ったところで僕たちは戦闘を終える。時間が少し余っているくらいではあるものの、無理をして傷を増やさないようにするためだった。


そうして僕たちは拠点へと戻るのだった。

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