第5章第27話〜姉妹〜
「チッ…!」
ベータへの標的は俺に変更され俺は刀を抜く、しかし奴は既に俺の前に迫り斧を振り上げていた。
「貴方の断面…見せてくださいよぉ!」
「はぁぁ!……くっ!?」
振り下ろされた斧はギリギリ直撃は防いだ、だがその一撃が重すぎるため受けきれず…奴はそのまま斧を振り下ろしきり、俺はそのまま斬られた。
「チッ…!離れろ!」
「おっと…」
薄皮一枚斬られたがそのまま俺は暗器のクナイを二本投げ、そのまま俺は後ろへバックステップをし距離を取り、追撃を仕掛けようとするベータを山岡さんとアリスがその道を塞いだ。
「勝斗!?」
「大丈夫ですか!?」
林とアイリスが駆け寄る、俺がまともに斬撃を受けたのは今まで見たことがなかったのだろう。
「大丈夫、薄皮一枚斬られただけ」
とはいえ出血はしているため、治癒術を自身に掛けながらにはなっている。俺はそのままベータと交戦している山岡さんとアリスの方へ視線を向ける。
「遅い、そして踏み込みすぎです」
「クソがぁ!このバケモンが…!」
「腹立たしいことこの上ないですわ!」
2人の援護をするためにランチェスターを乱射し、距離を取らせた。ヒットアンドアウェイ、一撃を喰らわせて退くを繰り返し距離を取る。
「…小賢しいですね、少しばかり本気を出させてもらいます。」
『ゲノムブレイク』
ベータは斧を地面へ叩きつけると同時、地面が割れて紫色の光が扇状に広がっていき、俺達は回避する間もなく当たってしまった。
「くっ…大丈夫か…」
「問題…無いですわ…」
「チッ…あんなん避けれるかよ…」
「生きていましたか、多少はやるようですね」
ベータはゆっくりと倒れ伏しているアリスに近づき斧を振り上げる。
「させっか…よっ!」
『ホーミングソード』
マナを使って生成した光の刃が12本、斧を振り下ろそうとするベータに向かっていき、ベータは刃を払いながら後ろへ後退する。
「…まだ技出せるのですね…」
「生憎な、しぶといんだわ」
『幻烈刃』
刀を一振りしマナを刃状にして飛ばした、赤い斬撃が奴に目掛けて飛んでくる。
「出力はまぁまぁですね、余裕です」
ベータのやつは斧を一振りし斬撃を消し去った、だが既に俺は奴の懐を取っている。
「どーせならお前も斬られろよ!」
『極炎刃』
炎を纏った刃を上に向けて斬りあげた、奴は半歩引いたがそれでも胸元が斬れる。さらに横から山岡さんが青龍刀を振り上げている。
『岩砕斬』
「くっ…!」
奴は山岡さんの横薙ぎを薄皮一枚で回避した、そしてすぐさま暗器の六角を俺と山岡さんに向けて投げた。
「チィッ…!」
「うぉぉ!」
その六角は俺の脇腹を薄く削りとる、山岡さんは横跳びをして回避をしダメージは免れた。
「…さきに貴方から」
「速いっ!?」
ベータは瞬間移動したかのように山岡さんの懐を取っていた、その右手は既に斧を振り下ろそうとしている。山岡さんは回避したばかりであり受けが間に合わない。
「潔く、散ってください」
「ぐぁぁぁ!!」
山岡さんは袈裟に仕留められ、その場に仰向けに倒れ、右手の青龍刀が力無く落ちた。
「…あれから反応できるとは…やりますね、ですがもはや虫の息…」
「させませんわ!」
「山岡っ!」
アリスと林がベータの左右から槍を振るう、しかし奴は後ろに退避し林を蹴り飛ばし、アリスに凶刃を振い落とした。
「くぅ…!」
「アリス!」
「シュッ…」
俺と林がアリスを助けに行こうとした途端、六角を一本ずつ投げ、俺は右の二の腕に、林は太ももに刺さってしまい助けに行くのに遅れてしまう。そして既に斧を振り下ろそうとしていた。
「裏切り者には死、あるのみです」
「…っ!!」
アリスに向けて刃が振り下ろされた、その時。
「アリス!!がはぁっ!!」
「お姉様ァァァァ!!」
アイリスがアリスとベータの間に入り、振り下ろされた凶刃に袈裟に深く…とても深く仕留められてしまった、その傷は服どころか…胸から腰まで、ザックリと斬られていた…。いくら吸血鬼といえど助かる見込みは既に無かった。
「…妹を庇って自らが犠牲に…まるで人間のようなことをしますね」
息が絶えそうなアイリスにベータは感情を無にして問いかける。
「お姉様…!お姉様…!!」
「…アリス…よか……た……」
「アイリス…!」
『雷牙突』
俺はすぐに駆け寄りアイリスから離れないアリスに振ろうとするベータの横に突っ込んだ。せめて、今だけは。姉妹の時間を奪いたく無い。
「お姉様…!お姉様…お姉ちゃん!なんで!」
「アリス…あな……たが…生きて………よかっ…た…ア…リス……貴方は……私の……ゴフッ…自慢の……いも…うと…です……わ………最期に…お姉ちゃん……ってきけれて…良かっ………た…」
そう言い残し、吸血鬼姉妹の姉、大剣使いのアイリスは永遠に目を閉じてしまった。
「お姉ちゃん…!お姉ちゃぁぁん!」
アリスはアイリスを抱き抱え俺と鍔迫り合いをしているベータを睨みつける、その顔は普段の品の良いお嬢様の顔つきではなく、怒りに燃えた、般若のようだった。




