第5章第5話〜広島へ行く前に〜
「…美香、俺だ、勝斗だ。」
美香の部屋の前へ行き、ノックをする。しばらく広島を空けるため一眼だけでもと思い向かったのだ。
「俺、明後日からしばらくの合間広島に行くからさしばらく会えないんよ、一眼だけでも良いから会えないかな?」
俺がそう言いしばらく待つが出てくる気配がない。
(会えないか…)
内心がっかりしながらも、仕方ないよなと割り切って去ろうとした時、部屋の扉が少しばかり開いた。
「…入って…」
そう言うと美香は部屋へ入っていき、俺も続いて部屋に入っていく。部屋に入り室内に置いてある椅子に座り込み、美香も座る。
「…まだしんどいか?」
俺は当たり障りがないように、慎重に言葉を選んで美香に問いかけると美香は肯定するようにゆっくりと縦に頷き、目を伏せる。
「まだ怖いの…お父様やお母様みたいに…貴方や文乃が死んじゃうんじゃないかって…」
美香の声は震えており時折あの時の事を思い出してしまったのか嗚咽も混じっている。
「勝斗は怖くないの?死ぬかもしれないんだよ?」
「怖くない、と言えば嘘になるな。でも俺やみんなが戦わないと更に死傷者が多く出てしまう。」
美香は俯いてしまった。
「…確かに死ぬのは怖い、俺も目の前で両親が死んだかならな…でもだからと言って諦めて折れていい理由にはならない。」
俺の言葉に美香は、はっとしたような表情となり俺の方を見る。
「美香、諦めるのは簡単だ、でもそれは大将や死んでいった奴等に顔向けできるか?」
俺は美香の手を優しく握り問いかける、美香はほんの少しだけ考えるかのような素振りをするとすぐに頭を横に振る。
「そうだよな、なら分かるよな?大丈夫、俺がお前を支えるから。」
美香の頭に手をポン、と乗せると美香は縦に頷いた。
「よしなら頑張れ、俺はしばらく広島にいるけど時々連絡するから。」
「…時々…じゃやだ」
「じゃあ3日に一回?」
「毎日」
おぉう…と呻きながらも頷くしかなく承諾した、そして俺は美香の様子を見てもう大丈夫だな、と判断したため頭から手を離し部屋から出ようとする。
「勝斗」
「ん?」
「…バーカ」
「んだとこの野郎」
「…ふふっ、いってらっしゃい、気をつけて帰ってきてね」
「おう、いってくる」
名残惜しいがそろそろ出ないと準備が間に合わなくなるため部屋を出て準備に取り掛かった。
「一先ずは大丈夫そうだな、お節介かけて良かった」




