第17話 ティーチャードクター①
秀、璃海、杏奈の3人は予定通りに遊園地で合流した。しかし、百合だけが時間になっても現れない。スマホを見ると、百合からのLINEが届いていた。
「ごめん、今日は行けなくなっちゃった。3人で楽しんでね。」
突然のことに焦ったが、とりあえず電話してみることにした。しかし、電話をかけてもつながらず、心配になった秀は何度も電話をかけ続けた。
ようやくつながったと思った矢先、百合は「ごめん、勉強しなきゃいけないから」とだけ言って電話を切ってしまった。その言葉に、秀は余計に混乱した。昨日課題を終わらせたはずなのに、なぜ今日まで勉強する必要があるのか。
そこで秀は、百合が親とうまくいっていないという話を思い出した。百合に何かあったのではないかと思い、百合の自宅に向かうことにした。
「広尾、上野の家に案内してくれ」
「え?」
「お前は上野と家が近いんだろ?あいつはまだ家にいる。迎えに行くぞ。」
「う、うん…。」
璃海の案内で秀たちは百合宅へ向かった。
3人は百合の自宅に到着した。その家はとても広くて整っていた。豪邸とはいかないまでも、どこか上級階流の匂いを漂わせていた。インターホンを鳴らすと、百合の父親が出てきた。身長が高く、頭もよさそうだったが、どこか冷めた目をしているように感じた。
「すみません、百合さんはいますか?彼女に会いたいんです。」
百合の父は秀をじっと見つめ、少し考え込んだ後で答えた。
「残念だが、百合は今は家にいないよ。彼女は少し時間を必要としている。」
「いいえ、彼女は家にいます。」
「なぜそう言い切れる」
「さっきLINEが来たんです。勉強する、って。百合は昨日課題を終わらせた。なのに予定を取りやめてまで勉強するなんておかしい!」
「しかし、家にいるとは限らないよ。」
「なら確かめるまでです。」
そう言うと秀は百合の家へ上がり込んだ。
「ちょ、待ってよ!」
という璃海たちの声を無視し、秀は奥へ進む。彼には百合が家にいるという確信があった。そして2階に上がり、扉を開ける。すると、そこには本の山に囲まれた百合の姿があった。
「秀くん!?」
「お前……」
その山は全て参考書の類だった。唖然とする秀に、百合の父が声をかける。
「君。誰だか知らないが、人の家へ勝手に上がり込むというのは失礼じゃないのかい。」
すると百合が父に向って大きな声で言った。
「もういい加減にして!!私にだってやりたいことがあるのに!」
訳が分からない秀に、彼女は「行くよ」と言い、彼の手を引いた。
「おい上野、これはどういう…」
という秀の声を無視し、百合は秀を引っ張っていく。
「どこへ行くんだい。」
「そんなの関係ないでしょ!」
百合は少し涙目になりながらも、秀を連れて玄関を飛び出した。




