初依頼
カントウサノビ討伐。
僕と舞亜は、依頼にあった場所まで来ていたが。
「草原だな」
「魔物すら見当たらないわね」
そう、場所は草原だった。さらに次元魔法で索敵を行い、周囲には魔物が全く居なかった。
「周囲3㎞見たが、魔物が居なすぎだ」
「誰かが討伐したのかしら?」
舞亜が聞いてきたが、僕は首を振った。
「それだと魔物の残骸が無いのが不自然だ」
「やっぱり」
舞亜も可能性を考えてくれたが、正解な気がしない二人だった。
「《能力解禁》を買ったから、レベルの制限が消えたのにな」
「どうする、お兄ちゃん?」
「とりあえず周囲の探索だな」
ここまで来たのに成果0は嫌だしな。
「お兄ちゃん、その索敵って、どのぐらいMP 使ってるの?」
「ん?あぁ、大体3㎞を1分でMP が5減ってるくらいだな」
ぶっちゃけて言うと、舞亜の《天才》程ではないが、俺のMP の回復量は多い、1分で1%回復する。
つまり、今のぼくのMP回復量は1分で17だ。
ちなみに、舞亜の方は1分で55だ。
「お兄ちゃんの次元魔法は、私でも取得出来ないのよね?不思議だわ」
「・・・」
そうなのだ。僕のスキル《強奪》は、舞亜には一切効かないし、逆に舞亜も僕が元々持ってる魔法は下位互換なら出来たが、そのままの魔法はコピー出来なかった。
そんな話しをしている間に索敵に魔物が引っ掛かった。
「やっと引っ掛かった」
「やっとね」
「行くか!」
「えぇ、お兄ちゃんよろしく♪」
僕は舞亜をお姫様抱っこをして、足に力を込めて、その場から、姿を消して魔物の所まで跳んだ。
「到着っと」
「速いね」
僕は走っていくつもりが、ステータス補正で1歩で目的の場所に着いてしまった。
『ギュロ』
「見つけた」
「良かったわ。最初に見つけれて」
そこには、今回の依頼の討伐対象の魔物のカントウサノビがいた。僕は、すぐに鑑定を使いカントウサノビのステータスを見た。
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『カントウサノビ』
レベル11
HP: 220/220
MP: 50/50
スキル
《無音》Lv3
ユニークスキル
《鎌鼬》
《風ノ剣》
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こいつには、性別の項目が無いな。それに意外とステータスも低いな?もう少し上だと思ったんだが……、やっぱりランクEだと、この辺りが限界なのかもしれない。
「鎌鼬は使えそうだから欲しいな」
「そうね♪」
舞亜も笑いながら賛同してくれた。だから、僕の行動は速かった。
僕はカントウサノビに近付いたが、カントウサノビは周囲に無数の鎌鼬が発生していた。僕は鎌鼬を避けたが追尾能力があったのか、いきなり方向転換をして襲ってきた。
「仕方ないな」
僕は次元魔法で鎌鼬がある次元を、この次元から外した。これにより、鎌鼬は消滅した。
『ギュロ!?』
「よし!」
上手くいった!次元魔法による魔法消滅の成功だ。
「そろそろ終わりだ!」
僕は、一気に距離を詰めてカントウサノビの首を蹴り飛ばした。カントウサノビの首は何処かに消えた。
「・・・魔石があれば大丈夫だな」
少しやり過ぎた感があるが気にしないことにした。そして、舞亜がゆっくり歩いてきた。
「終わった?」
「今さっきな」
「スキルは奪ったの?」
僕は舞亜の質問に首を振った。舞亜が、何で?っと聞いてきた。
「確かにスキル《鎌鼬》は珍しいスキルだったけど、今の僕なら《風魔法》で簡単に代用できるしね」
「なら、私にも出来る?」
「勿論!」
僕はカントウサノビの魔石を拾い思ったことが一つあった。
(あれ?そういえば、僕1度も武器を持って戦闘してないな)
基本的に素手か魔法でしか戦闘していなかったことを思い出し、街に戻ったら武器を購入しようと決め、舞亜と共に街に戻った。