7 婚約者レオ(2)
「デイジー、僕との婚約を破棄して欲しい。」
苦しい表情でレオが言った。
これは簡単に決めた事では無いと察して受け入れた。
「分かったわ。ただ、理由を聞かせて。」
ゆっくり頷いたレオが話し始めた。
「僕は賭博に手を出してしまったんだ。」
思いがけない言葉に息を呑む。この国では賭博は重罪だ。何故、そんな事を。
話しを聞くとキッカケはミリア嬢だった。自分に好意的なミリア嬢に浮かれてしまい、誘われるまま行った場所は賭博場だった。
隣国では賭博は合法。この場所で働くのは隣国の民しかいない。だからここは治外法権、賭博をしても罪にならないと言われ、ミリア嬢に勧められるままお金をかけてしまったとの事。少し考えればそんな事はありえないと分かる筈なのに。
「その代償は多額の支払いと君への裏切り。事が公になれば処罰されるだろうし、君との婚約は解消されるだろう。…言い出せ無かった。」
多額の支払いは分割して図書館でミリア嬢に渡し、賭博場に人が少ないと無理に誘われる事もあったらしい。
ひとつ救いだったのはレオは賭博に夢中にはならなかったらしい。負けた金額も自分の財産の範囲内との事だった。
「これからの事を考えましょう。ミリア嬢についてはクロエ王女様から調べる様に言われてるの。この件は最初から仕組まれている。被害者はきっと貴方だけじゃないわ。」
「デイジーありがとう。すまない。」
張り詰めた糸が切れたのかレオの目に涙が溢れた。
そして、つられるように私も涙が流れた。これはデイジーの記憶が感情に混ざっているのだろう。
デイジーの大切な幼馴染をこんなに苦しめるとは。ミリア嬢は絶対に許さない。




