6 婚約者レオ(1)
流行り病で床についていた時、レオから見舞いの花束が届いていた。回復した際にはお礼の手紙を出した。
それから2週間は経つが何の音沙汰も無い。
デイジーの記憶ではレオは真面目で心優しい青年の筈だ。
朝早く侍女マリーがこれまでの報告をした。マリーはレオの侍従マックと接触、マックはミリア嬢と出会ってからレオ様が変わってしまったと言っていたらしい。
「最初は少し浮かれた様子もあったそうなのですが、最近では塞ぎ込む事が増え心配されてるようです。また、夜に1人で出かける事もあるようです。馬車が迎えに来るそうですが、侍従らには行き先も知らせ無いとの事です。」
「レオはミリア嬢と図書館で会ってるのでしょう?じゃあ会えなくなって塞ぎ込んでる訳じゃないわね。では私との婚約を破棄したくて悩んでるとか。そして皆に隠れて夜に逢瀬を?まさか、あのレオが….。」
デイジーの記憶の優しいレオを思い出す。
マックにレオの予定を聞いておき、屋敷に在宅中を狙って訪問した。
突然の訪問に驚いたレオだが、追い返す事はせず客間に通してくれた。
レオの濃い赤毛には少しウェーブがかかっている。そして優しい面持ちをしている。でも今日は表情が暗い。
「体調が良いようで安心したよ」
向かいに座るレオが目をあわせようとしない。
「レオ。ミリア嬢と会っている事は知っているわ。」
テーブルに先日のお茶会で踏んづけたレオのネーム入りハンカチを差し出した。
「これはミリア嬢が私の前に落としたの。でも私、踏んでしまって。でも綺麗に洗ってもらったから大丈夫よね。お返しするわ。」
「踏んだのか?君が?」
信じられないというふうに私を見て、少し笑った。
そして額に手をあて呟いた。
「会わないうちに強くなったな君は。それなのに僕は。」
言葉に詰まる様子に何かを抱えていると確信する。
「レオ。幼馴染として貴方を心配しているわ。どうか、悩みがあるのなら打ち明けてくれないかしら。」
沈黙の後、レオが重い口を開いた。




