5 王宮医師セオドア
お茶会の後、丸眼鏡の王宮医師へ会いに向かった。
先日の診察のお礼を持ち、王宮医師団の部屋まで続く長い渡り廊下を歩いた。
廊下脇には緑が多く、なにやら変わった植物が植えられいる。そしてその植物の中に丸眼鏡のセオドア先生がいた。
「セオドア先生!」
私の声に驚いて振り返ったセオドア先生が、細い目を更に細くして微笑んだ。
「これはこれはデイジー嬢。とても張りのある良いお声ですね。」
ヒョロッとした長身の丸眼鏡の医師は、濃い緑色の癖がかかった髪を後ろで短く束ねていた。
先日のお礼にお菓子を渡し、王宮医師団の部屋まで渡り廊下を一緒に歩いた。
「実はセオドア先生にお願いがあって来たのです。」
「私にですか?」
不思議そうにするセオドア先生は部屋にいた医師見習いにお菓子を渡し、デイジーに紅茶を出すよう指示した。
「はい。約一年程前に先日の私と同じような高熱、または重い病気から一命を取りとめた方を知りませんか?」
薬草を分けていた手を止め、セオドア先生はうーんと唸った。
「そうですね。王都にいる貴族でしたら調べられるかもしれません。それでよろしいですか?」
「ありがとうございます。セオドア先生の調べられる範囲で構いません。‥見つからなければ国中を探すまでです。」
「何故そこまで。…いえ、詮索はよしましょう。」
デイジーの強固な意思に、巻き込まれないようと思ったのかセオドア先生はスッと引いた。
その後、デイジーは薬草が香る部屋で紅茶を飲んだ。
セオドア医師は薬草を振り分け、医師見習いに指示して忙しそうだった。
ふと部屋の奥に白いカーテンに囲まれたベッドが並んでいるのに気づいた。窓からは淡い光が差している。
近づいてベッドに横たわり目を閉じると、前世の病室の様だ。樹先生を思い出す。もし、樹先生が転生して金髪の王子様になっていたらどうしよう!…でも貧乏な人でもいい。会いたい。
居心地が良くて侍女のマリーが迎えにくるまで、ぐっすり眠った。




