4 王宮のお茶会
今日の王宮のお茶会では主催のクロエ王女、他多数の令嬢が集まっていた。
そこには栗色の髪をクルクルと巻き髪にした、可愛らしい顔をしたミリア嬢もいた。
着席前、ミリア嬢にレオの名の入った刺繍入りのハンカチをわざと目の前に落とされた。勿論、私は気づかぬ振りをしてソレを踏んづけた。
その瞬間、周囲の御令嬢達から称賛とも思える小さな声が上がった。
同時にミリア嬢が小さく悲鳴を上げた。私がハンカチ見て狼狽すると思っていたのだろう。
その隙に侍女マリーがサッとハンカチを拾い上げ「こちらで綺麗にしてお返し致します。」と言って颯爽とその場を後にした。
先程の出来事からもミリア嬢が他の令嬢から疎まれている事がわかる。
お茶会後、ミリア嬢が寄ってきて囁いた。
「流行り病で高熱が出たそうだけど、そのせいで随分と勇ましい性格になったのかしら?それとも、私への嫉妬でお優しい性格まで変わってしまわれた?」
私はあきれてしまいため息をついた。すると周囲を確認してから私の手を掴み自分の髪を触らせた。
「きゃ!痛い!何をなさるの?!酷いわ!」
涙を浮かべたミリア嬢の三文芝居に驚いていると、お茶会を見守っていた第二王女の護衛が駆け寄ってきた。
「私は大丈夫です。すみませんお騒がせして‥。」
ミリア嬢は涙を流しつつ、護衛に上目遣いで可愛らしく囁いた。そして私にだけ見えるようにニヤリと笑い去って行った。
ミリア嬢の演技に騙された護衛が不審な面持ちで私を振り返った。
「下がって頂戴。」
クロエ王女の声に護衛はスッと持ち場へ戻っていった。
「デイジー嬢、大丈夫ですか?」
近くで見るクロエ王女は薄い金色の髪に大きなグリーンの瞳。そして華奢な身体つきをしていて輝いてみえた。
「ありがとうございます。私はミリア嬢には嫌われているようです。」そう言って微笑むと、そのままクロエ王女に個室へと誘われた。
客間らしき個室に入り椅子に座るとすぐにクロエ王女が話し始めた。
「デイジー嬢、率直にミリア嬢の事はどう思われますか?」
私は素直に話す事にした。
「ミリア嬢は私の婚約者と恋仲になっているようです。純粋な恋でしたら幼馴染として婚約の件も含めて考える余地もあるのですが、今、状況を確認中です。」
クロエ王女は頷き神妙に話し始めた。
「噂でご存知かもしれませんが、ミリア嬢はこの数年で何人かの婚約を破談にしています。私が去年から主催してるお茶会の参加者では既に2人、破談になっています。」
クロエ王女の言葉に噂は本当だった事、そして次はレオが標的になっている事を確信した。
「狙われるのはおとなしく真面目な令嬢が多い様です。今まで、気づいた時点で声を掛けてきましたが、皆さん自分を責めるばかりで引きこもってしまわれました。」
クロエ王女が落胆した声で視線を落とした。
「なんとお可哀想に!」
私がミリア嬢に怒りの表情になるとクロエ王女の目が光った。
「ハンカチを踏むような勇ましい姿をみて私は確信しました。デイジー嬢、一緒にミリア嬢の罪を暴こうではありませんか。そして結婚前の令嬢の幸せを守りましょう」
私、樹先生を探したいのだけど‥と、口に出かかったが、美しい王女に頼まれていいえとは言えなかった。




